産業・経済・技術

2012年12月21日 (金)

2012 MRS Fall Meeting & Exhibit報告

 November 25-30, 2012 @ Boston, MA

米国のMaterials Research Society 主催の国際会議および展示会に参加しました。材料物性科学の国際会議としては世界最大規模とされています。今回は約6,400人の参加者があり、過去最大規模でした。毎回ほぼ同じ時期にBostonの中心部にあるHynes Convention Centerで開催されます。今回はMRS OnDemandを初導入し、一部のセッションや会議風景、そして展示会の様子などのストリーミング映像がネットで公開されていました。

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Hynes Convention Center 内吹き抜け回廊

 

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会場となったHynes Convention Center/各フロアを結ぶエスカレータ群

Registrationが始まった11月25日(日)から早くも特別セッションたとえばRare Metals Workshopやエネルギー問題と地球温暖化対策についての招待講演などがありました。特に米国ではシェールガス産業の成功が、米国の石油や石炭への依存度を急速に減じていて、さまざまな良いインパクトを社会に与えていくことを述べていました。”Sustainability”をキーワードにしてさまざまな議論に発展していました。

 

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大会場での技術発表風景/極めてゆったりとした会場

11月27日(火)からは技術展示会も始まりました。北米を中心にあらゆる物性計測器や分析装置、薄膜形成装置、ナノ材料関係などのキーの技術をもつ大小さまざまな250社以上が出展していました。極低温分野で極めて重要な技術を有する超オタクの或る会社、J社も出展していて、その展示会の充実ぶりには思わずため息が漏れそうになります。単なる商品の展示ではなく見学者が求めているソリューションを提供しえる技術を垣間見ることができるよろず技術相談所のようなというと褒めすぎでしょうか。やたら規模だけが大きい展示会ではなく内容が伴った密度の濃い展示会でした。薄膜技術屋の小生にとっては居心地が良く、この展示会を巡るだけでも元が十分に取れたような気がしました。

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展示会場の風景(1)Boston周辺の企業、MITでの研究と密接に関係

 

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展示会場の風景(2)/広大な会場を埋め尽くした250社の展示ブース

技術セッションは技術分野ごとに細分化されています。たとえば流行のGraphaneを例にとっても用途別に細かに分かれていたりして、それがパラレルセッションだったりするとどれが本当に自分にとって重要なプリゼンなのか瞬時に判断しなければならず、規模の大きな学会はどうも苦手です。技術内容ごとに分かれているだけで内容のレベルは玉石混交のように感じました。著名な研究者の発表の次に大学院生のがあったりします。また大きい会場のほうに重要な発表が多いと思いきや、むしろ狭い会場のほうで注目の発表があったりします。このへんの矛盾が生じてしまうのは、事務局の会場振り分け決定にあたって、各セッションへの投稿数が注目度の判断基準になっているようでした。


技術発表の半分以上がアカデミック分野からのものです。大学と国の研究所の関係者が6割以上を占めるようです。そのせいでしょうか、重箱の隅をつついているだけで何のために何をやって何が得られたがはっきり響いてこない発表が多くみられました。厳しく言えば学生さんの発表機会を提供する教育的効果重視型の国際会議ともいえます。

変わったセッションでは政府系機関ばかりが集まったセッションがありました。どうやったらNSFから研究資金がつくのかについてその秘訣などを教えてくれるのもあり、それによれば提案を複数出すより一つに絞って、それにいろいろ詰め込むほうが有利であることや期限ぎりぎりではなく十分余裕をもって提出することなど披瀝されていました。国家防衛局DTRAから資金を得る場合には大量破壊兵器からの脅威を減らすエアフィルターやバイオセンサなどの関連ですが、あくまでも資金提供の決定権をもつプログラムマネジャーが望む具体的な要望に合わせていかなければならないことなどが披露されていました。

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会議場のロビー風景/窓際ではパソコンを充電しながら仕事する人々

技術発表では以下のようなセッションがありました。先入観も手伝ってか、ほとんどすべての内容がエネルギー・環境問題に絡めているようで、相変わらずCarbon Nanomaterials関係の話題が目立ちました。

Symposium E: Photovoltaic Technologies Materials, Devices and Systems

Symposium F: Oxide Thin Films for Renewable Energy Application

Symposium O: Next-Generation Polymer-based Organic Photovoltaics

Symposium P: Single-Crystalline Organic and Polymer Semiconductors

 Fundamentals and Devices

Symposium SS: Quantitative In Situ Electron Microscopy

Symposium WW: Roll-to-Roll Processing of Electronics and Advanced

                                                       Functionalities

Symposium ZZ: Communicating Social Relevancy in Materials Science

                                                      and EngineeringEducation

Symposium X: MRS Medal Award Presentation

Symposium G: Materials as Tools for Sustainability

Symposium I: Functional Materials for Solid Oxide Fuel Cells

Symposium K: Hierarchically Structured Materials for Energy Conversion

                                                             and Storage

Symposium CC: Optically Active Nanostructures

Symposium VV: Advanced Materials Exploration with Neutrons

                                                            and Synchrotron X-rays

Symposium UU: Scanning Probe MicroscopyFrontiers in Nanotechnology

Symposium D: Energy-Critical Materials

Symposium W: Carbon Nanomaterials

Symposium GG: Mechanical Behavior of Metallic Nanostructured Materials

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2012年8月 8日 (水)

日本を元気にする産業技術会議シンポジウム「日本の競争力を創造する化学産業の将来展開」@日経CR  【BEANSパネル展示報告】

 7月25日、独立行政法人産業技術総合研究所主催の表題のシンポジウムが開催されました。出席者は約300人。その場で現在、産総研が絡んでいる技術研究組合のポスター展示会があり、「技術研究組合BEANS研究所」としてパネル展示およびパンフレット等の配布を行ないました。パンフレットは約100部配布しました。

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「日本の産業界に再び活力を取り戻し、我が国が世界のイノベーションのハブとして機能し、ひいては国内の雇用創出に繋げるためには、今こそ産学官連携の在り方を見直し、互いの機関がが有する確かな技術、優れた人材、最先端の設備を結集する必要があります」ではじまる本シンポジウムでは産総研が一組合員として技術研究組合に参画している事例報告がありました。

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 太陽光発電技術研究組合(PVTEC)、技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC)、技術研究組合FC-Cubic、次世代化学材料評価技術研究組合 CEREBA、技術研究組合次世代パワーエレクトロニクス研究開発機構(FUPET)などに交じって我ら「技術研究組合BEANS研究所」も来場者に紹介しました。

 はやく日本を元気にするには我々は何をすべきか真剣に考えさせられた午後でした。 (yt)

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第23回マイクロマシン/MEMS展@東京ビッグサイト【BEANS展示ブース報告】

  7/11-13/2012に東京ビッグサイトにて開催されました。5年間のBEANSプロジェクトも今年は最終年度となりました。フィナーレを盛り上げるかのように会場に過去最大規模のブースを出展し、ブース全体にゆったりした見学動線を実現し、最新の研究成果を具体的に「見える化」することに注力しました。BEANSのシンボルマークとなりました「豆の木モニュメント」は地球上から健やかに伸び、ついに雲を突き破って成果の実を結びさらに発展していくさまを表現しました。

 

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Dcm_6052_6◆来場者数:展示会全体では3日間で10,985人の入場者がありました。(昨年はSURTECHも併設されており、12,861人でした)  ブース内で配布しましたパンフレットなどから推定しますとBEANSブースへの来場者は約2,000人でした。

 
◆MacroBEANSでは「メートル級タッチセンサ」を実演しました。ナノ加工をした繊維状基材で作製したタッチセンサーシートを用いて人の動きを検知し、ゲーム分野やリハビリ・フィットネス分野、介護分野への応用が期待できることを紹介しました。さらに各種センサや太陽電池、LED照明を組込み実際に動作する「究極のエコハウス」も登場させ人気を博しました。

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  ◆LifeBEANS九州からは有機半導体薄膜を駆使した太陽電池や熱電デバイス、そして有機EL照明など出品しました。有機ELでは光取り出し効率の最高記録レベルの達成などナノ構造により飛躍的に性能向上がはかられた成果も紹介しました。

 

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◆3D BEANSでは「3D構造に微粒子を側壁のみに配列に成功」「トレンチ構造の粒子配列をガスセンサに応用し感度向上」「中性粒子ビームによる超低損傷・平滑エッチングの実証」「耐摩耗特性に優れたマイクロプローブ」「フェムト秒アシストエッチングによる3次元ナノ構造形成」などナノ加工技術の最前線を紹介しました。

 


◆LifeBEANSからは「3次元肝細胞組織構築」とそれを用いた薬物代謝解析を本邦初の3D実写映像で紹介しました。これは動物実験を減らした創薬加速を狙っています。またこれまでテレビや新聞で報じられてきました「完全埋め込み型血糖値センサー」の実用化に向けた最新の進捗状況も紹介しました。

 
◆これまで研究開発において裏方に徹してきた「シミュレーション技術」についてはBEANSにおけるその貢献度から特集を組み「革新的未来技術の創造に貢献するBEANSシミュレーション」と題してその実施体制も含めて成果の実例を紹介しました。

 
◆最後に、BEANSが各方面から注目される所以のひとつであります国のプロジェクトとしてはユニークな「知財成果展開への取り組み」を紹介、BEANSで生まれた特許群はBEANSプロジェクトが来春終了したのちも広く使われていき、我が国の産業活性化につながることを目指した活動を紹介しました。

 

  BEANSプロジェクトとしましては、これまでマイクロマシン/MEMS展には2009年度から4回にわたり出展してきました。企業や大学のBEANS研究員みずからが説明員となり、自身が作成したパネルの前で来場者からの期待や反響をじかに肌で感じ、研究内容を研ぎ澄まし、研究を加速させていくことを狙いました。そのような意味でも、BEANSプロジェクトの当事者である研究員のみならず、日頃からさまざまにご支援をいただいている多くの関係各位とりわけ今回ブース展示にお越しいただき質問やコメントを説明員らに投げかけていただきました多くの皆様には心より深く感謝いたします。

                                                                                                       (Takei)

 

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2011年12月19日 (月)

EcoDesign2011@京都 報告


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  昨今、環境問題は世界的な関心事であることは言を待たない。製品や社会システムの設計にあたっては環境調和が大前提になりつつあります。環境負荷低減と価値のイノベーションを車の両輪として持続可能社会をデザインすることがエコデザインのミッションです。


 ちなみに、本大会の副題は「持続可能社会に向けた価値イノベーションのためのデザイン」となっています。

 隔年に日本国内で開催され、今回は第7回目でした。東日本大震災と原発事故の影響で参加者の激減が予想されていましたが、大会直前までの関係者の努力で最終的には23カ国から約340人の参加があり、約230ものプリゼンテーションがあり、2011.11.30~12.2の3日間に及ぶ盛大な学会となりました。会場は京都駅近くの京都テルサでした。筆者はこの大会の実行委員でもありましたので、何も出来ませんでしたが、この本格的な国際学会の企画段階から本番実行までつぶさに見守ることができたことが大きな収穫でした。


 環境問題は先進国も途上国にも関心事であるため、国連総会かと思うほど参加国はバラエティー豊かでした。イランやネパールやインドネシア、それにブラジルなどからも参加がありました。特にイランからは数人もの参加者がありました。


 ここで扱われた学術分野は実に広範囲でした。基本的に5つのパラレルセッションと大講堂でのプレナリーセッションで構成されていました。1セッションは約80分で、それが40コマあります。


 其の全部を以下に示します。

1)   Social Infrastructures for Sustainability (1),(2)

2)   OS: Green Telecommunication

3)   Design for Sustainable Behavior (1),(2)

4)   Product Ecodesign Method

5)   Sustainable Manufacturing (1),(2),(3)

6)   Green Electronics (1),(2)

7)   Ecodesign Support Tool

8)   OS: Zero-CO2 Emissions Society

9)   OS: AIST 3R Technology R&D

10) OS: Envisioning and Designing Sustainable  Manufacturing Industry (1),(2)

11) Policy and Economic Incentives (1),(2)

12) PSS and Life Cycle Management (1),(2)

13) EOL Strategy

14) OS: Emerging Technology (1),(2),(3)

15) Remanufacturing

16) Sustainable Energy System (1),(2)

17) OS: Concept of Ecodesign Assessment Method

18) Workshop:Design for Remanufacture

19) OS: Energy Design (1),(2)

20) Green Business Strategy(1),(2)

21) OS: Stimulating Eco-Innovation by Promoting

       Meso-level Research Project (1),(2)

22) OS: Operations Management (1),(2)

23) Eco-Labeling and Carbon Footprint

24) Sustainability Assessment and LCA

25) Green Business Design


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 初日冒頭のプレナリーセッションは極めて重要な示唆に富むものでした。

産総研の矢部彰理事のPromotion of Energy Conservation and EcoDesign for Energy System と題した講演では我が国や世界がおかれた現状を分析し、エネルギー問題解決に高効率のスーパーヒートポンプに着目されていました。

今回特筆すべきセッションはOS: Emerging Technology (1),(2),(3)でした。他では聴くことのできない内容に興味がつきませんでした。

生物規範工学という分野は、自然界の生物の驚愕の巧みさに学ぼうとするもので、この分野は米国国防総省が支援するプログラムであることも納得がいくほどの内容でした。


 国際学会はさまざまありますが、EcoDesin2011は紛れもなく研究者自らが手作りで創りあげ、23カ国という途方もなく広い世界からいろんな分野の研究者が集い、熱のこもった議論が出来る不思議で魅力ある国際学会でした。次回は2年後になりますが、はじめて国外での開催とのことで、韓国Seoulだそうです。      (yt)

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2011年11月24日 (木)

「Life BEANSセンター九州」からの便り

■Life BEANSセンター九州(LB9)はセンター長の安達千波矢教授のもとに、BEANSプロジェクトのなかで有機半導体を中心とする機能性有機材料を対象に、有機材料ナノ界面融合プロセス技術、およびバイオ・有機材料高次構造形成プロセス技術の開発をしています。


■安達千波矢教授は同時に九州大学「最先端有機光エレクトロニクス研究センター(通称:OPERA)」のセンター長でもあり、やはり同じくBEANSの安達淳治さんや八尋正幸さんはそれぞれ研究統括、ラボ長(代表)というようにOPERAでも活躍されています。このように、九州大学のOPERAはBEANSプロジェクトとは密接な協力関係にあります。


■九州大学のOPERAでは最新の研究施設となる研究棟が伊都キャンパス内に完成し、新研究棟開所式が開催されました。(2011/10/05)九州大学/有川総長、総合科学技術会議/奥村議員、文部科学省/戸渡審議官、経済産業省/師田室長、福岡県/小川知事、福岡市/高島市長にも列席いただき盛大な開所式となりました。くわしくは下記URLを参照ください。

http://www.cstf.kyushu-u.ac.jp/~adachilab/opera/event/index.html


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■BEANSの知財プロデューサー小野寺徳郎さんがOPERAでも「知財塾」を開催しました。

(OPERAでは第35回OPERAセミナー(2011/10/25)として開催)今回はOPERAの知財プロデューサーの安田さんと共同で基礎編を中心に17名の若手研究者に特許出願の重要性などを説きました。くわしくは下記URLを参考してください。

http://www.cstf.kyushu-u.ac.jp/~adachilab/opera/seminar/index.html


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■LB9からは、BEANSプロジェクト関連では9月から11月にかけて、学会発表10件、論文発表1件、セミナー・講演会1件などの発表がなされました。

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2011年10月20日 (木)

第28回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム報告


電気学会センサ・マイクロマシン部門主催、第28回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウムが2011年9月26日(月)、27日(火)の2日間の日程で東京 タワーホール船堀にて開催されました。会場のタワーホール船堀は都営新宿線船堀駅前にある江戸川区のシンボル施設です。

本シンポジウムは日本機械学会マイクロ・ナノ工学専門会議主催第3回「マイクロ・ナノ工学シンポジウム」,応用物理学会集積化MEMS技術研究会主催第3回「集積化MEMSシンポジウム」と同時開催されました.電気系、機械系と物理系の研究者が集い討議を行う場として,一昨年より3つのシンポジウムが相互に参加可能で、同会場にて同時開催されています.

講演は招待講演4件, 口頭発表81 件,ポスター発表79件であり,講演は集積化MEMSの応用と実用化、マイクロシステム、バイオメディカルデバイス、ナノバイオ、セルオンチップ、材料、設計・評価、プロセスと応用、光MEMS、センサシステムと高機能実装、フィジカルセンシングシステム、フィジカルセンサ、最先端MEMS実装技術、ケミカルセンサ、新プロセス、バイオ計測について、同時開催のシンポジウムと合わせて5つのパラレル・セッション形式で行われました.

BEANSプロジェクトからも以下の口頭発表 3件,ポスター発表 9件の合計12件もの大量発表がありました.またポスター展示会場には今回も恒例の展示ブースが設営され、BEANSプロジェクトも参加して来場者にアピールしました。

口頭発表(3件)

A2-3 等価回路設計手法によるVB-FET の特性評価   植木真治, 西森勇貴, 今本浩史, 久保田智広, 杉山正和, 寒川誠二, 橋口原 /BEANS 研究所


B2-3 材料結合性ペプチド分子をインターフェースとしたナノカーボン表面への機能性ナノ粒子の固定化   嶋田友一郎1, 杉山正和1, 鈴木瑞明2, 梅津光央3, /1 東京大学,BEANSプロジェクト, 2 BEANSプロジェクト, 3 東北大学,BEANSプロジェクト 

C3-4 フェムト秒レーザアシストエッチングによるナノ流路形成技術とバクテリウム培養デバイスへの応用  脇岡寛之1, 額賀理2, 田端和仁3, 久保田智広4, 寒川誠二4, 山本敏2, 杉山正和3, /1 BEANS 研究所, 2 フジクラ, 3 東京大学, 4 東北大学

ポスター発表(9件)

P1-16 大気圧プラズマ化学輸送法を用いたシリコン膜の特性評価   内藤皓貴1, 横山吉典1, 紺野伸顕1, 徳永隆志1, 伊藤寿浩2 /1 BEANS 研究所, 2 BEANS 研究所,産業技術総合研究所


P1-17 ダイコーティング法による繊維状基材へのナノ薄膜形成と太陽電池試作   今井孝彦1, 柴山学久2, 伊藤寿浩1,3 /1 BEANS 研究所, 2 古河電気工業, 3 産業技術総合研究所

P1-18 Three-Dimensional Photolithography Technology of Fiber Substrate   Zhang Yi1,2, Uchiyama Shogo1,3, Hayase Masanori1,3,Jian Lu1,2, Ohtomo Akihiro1,4, Takagi Hideki1,2, Itoh Toshihiro1,2 /1 NEDO BEANS Project, 2 National Institute of Advanced Industrail Science and Technology, 3 Tokyo University of Science, 4 Toshiba Machine

P1-19 マイクロカンチレバーアレイを用いたフレキシブルデバイス用接点構造の開発  山下崇博1, Khumpuang Sommawan2, 三宅晃司2, 伊藤寿浩2 /1 BEANSプロジェクト, 2 産業技術総合研究所

P1-20 リールツーリール熱ローラーインプリントによる製織ガイド連続成形   大友明宏1,2, 銘苅春隆1,3, 高木秀樹1,3, 小久保光典1,2,後藤博史1,2/1 BEANSプロジェクト, 2 東芝機械, 3 産業技術総合研究所


P1-21 第一原理電子状態計算による中性粒子ビーム生成メカニズムの解析   渡辺尚貴1, 大塚晋吾1, 岩崎拓也1, 小野耕平1, 入江康郎2,植木真治2, 額賀理3, 杉山正和4, 久保田智広5, 寒川誠二5 /1 みずほ情報総研, 2 BEANS プロジェクト, 3 フジクラ, 4 東京大学, 5 東北大学

P1-22 中性粒子ビーム生成におけるアパーチャ構造とエッチング特性解析   大塚晋吾1, 渡辺尚貴1, 岩崎拓也1, 小野耕平1, 入江康郎2, 植木真治2, 額賀理3, 杉山正和4, 久保田智広5, 寒川誠二5 /1 みずほ情報総研, 2 BEANSプロジェクト, 3 フジクラ,4 東京大学, 5 東北大学

P1-23 大気圧プラズマシミュレーションによる安定放電条件の検討   新田仁1, 浅海和雄1, 入江康郎2, 横山吉典2, 徳永隆志2 /1 みずほ情報総研, 2 BEANS研究所

P1-24 マイクロ液滴形成シミュレーション   谷村直樹1, 山崎昇1, 竹内昌治2 /1 みずほ情報総研, 2 BEANS研究所


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なお今回、BEANSプロジェクトからは残念ながら受賞を逃しましたが、各賞受賞者は以下のとおりです.


五十嵐賞■細胞ファイバーによるセンチメートルスケール三次元組織の構築/東京大学 尾上弘晃

奨励賞■Bidirectional Microtubule Transport Implicated by Selective Coating of Kinesin and Dynein in a Closed Chamber/京都大学 Nagendra Kumar Kamisetty■Ag合金ミラーを用いた可視光広帯域MEMSファブリ・ペローチューナブルフィルタ/セイコーエプソン 廣久保望■好中球活性評価に基づく潜在性乳房炎診断デバイス/筑波大学 木村翔平

最優秀技術論文賞■遠赤外線検出器応用をめざしたGeウェハの常温直接接合/東京大学 日暮栄治、倉山竜二、王英輝、須賀唯知、澤山慶博、土井靖生、情報通信研究機構 寳迫巌

優秀技術論文賞■電磁駆動型2軸可動MEMS グレーティングと近赤外低コヒーレンス干渉法を用いた3次元形状計測への応用/山形県工業技術センター 渡部善幸、高橋義行、阿部泰、岩松新之輔、矢作徹、小林誠也、今野俊介、佐藤敏幸■涙液成分の動的変化に対するコンタクトレンズ型バイオセンサの評価/東京医科歯科大学 工藤寛之、初明星、宮島久美子、荒川貴博、佐野研二、望月學、三林浩二、日本大学平沼義貴、平松秀

最優秀ポスター賞■リング型振動子とPZT 薄膜を用いた3 軸ジャイロの試作評価/住友精密工業(株) 荒木隆太、内納亮平、森口孝文

最優秀技術展示賞■立山科学グループ 立山マシン株式会社


なお来年度は10月22日~24日に北九州市において開催されます.

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2010年9月21日 (火)

COMS2010(Commercialization of Micro and Nano Systems)報告

 マイクロ・ナノシステムの実用化に焦点を絞って議論する国際学会です。今回は米国のニューメキシコ州のアルバカーキ郊外での開催で第15回目にあたります。昨年はコペンハーゲン、その前はメキシコというように、開催場所からしてかなりグローバルな学会です。今回の会場となったのはアルバカーキから更に30マイルも離れた荒野にポツンと建つHyatt Regency Tamayaというリゾートホテルでした。ホテル名はインディアンのTamayame族に由来するようで、たしかに周辺の景色は西部劇のようでした。


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 コンファレンス参加者は世界中から約300人。参加者のほとんどは現地アメリカ人、とくに会場の近くにあるサンディア国立研究所やロスアラモス国立研究所関係者が目を引きました。ドイツ、フランス,スウェーデン、デンマーク、UK,オランダ、ノルウェー、オーストラリア、スイス、オーストリア、カナダ、メキシコ、イタリア、ベルギー、フィンランドなど全部で20カ国以上からでした。なお、日本からの参加は2名、阪大の先生と小生だけでした。


 参加者の三分の一は大学関係者、のこりは企業や公的機関の研究者などで構成されており、この国際学会は基本的に研究成果の発表の場というよりは、Commercializationの名前のように、「実用化、商業化」段階に発展させるための諸問題に取り組もうとしている人々の国境を越えた情報交換、ネットワーキングの場であるような感じでした。事実、主催者MANCEFはアカデミックではなく業界団体ですので、アカデミック界からのプリゼンは話題提供という感じで、大学関係者はあまり目立ちません。

 初日は日曜日でしたが展示会のセットアップや参加登録作業やらで午後から夕方にかけて会場は活気に満ちていました。ほぼホテルはCOMS2010が借り切ったようで、そこここにCOMS2010の看板が溢れていました。


 二日目のオープニングではニューメキシコ州選出の上院議員が二人も登壇し、ナノテク産業に賭ける期待の大きさと国家戦略についての取組みについて述べました。技術の専門家ではないのに自分の言葉で力強く意気込みを語る姿には感心しました。2000年のクリントン大統領の問題提起以来国を挙げてナノテクに賭ける意気込みが伝わりました。

 毎日朝8時から夕方6時まで、午前と午後の初めのPlenaryでは全員が大ホールで聴講し、その後数か所に分かれてじっくり議論するという形式です。また展示会と大学院生中心のポスターセッションはコーヒーブレイクやランチにも使用するホールにて同時進行でなされました。

 同時進行のセッションのうち必ず一つか二つのセッションは実用化近い開発研究の話で、「エネルギー、環境、メディカル、ドラッグデリバリー、診断、プロセス技術」など、残りのセッションは「実用化戦略、投資戦略、ベンチャーキャピタル、ビジネスモデル、ロードマップ、人材育成、知財戦略」といった具合で、先端技術に目配りしながらもしっかりとビジネスにも力点が置かれた構成でした。

 同時に8つものセッションがあることが何度かありました。たとえば二日目午前を例にとると、①Nanomedicine:Science,Policy,and investment Panel、②Sensors and Sensor Systems, ③Industry, Government, and Academic Collaboration Models Ⅱ、④Micro and Nanotechnology in Mexico, ⑤MNT Alternative Energy-Biofuels, ⑥Business Intelligence Ⅱ、⑦Testing, ⑧-1 MNT Educational Products and Services, ⑧-2 MNT Workforce Development で、各会場には60人以上から10人未満しかいないのもあるといった具合です。少人数のセッションでは発表側の人数が聴衆の人数を上回ることがたびたびありました。その結果、ただ黙っているわけにもいかず度々にコメントか質問をせねばなりません。日本からの参加者が殆どいないのはその辺にも原因があるのではとさえ感じました。開催地ということでしょうか或いはナノテクのメッカのような存在だからでしょうか、Sandia National Laboratoriesの関係者が参加者数でも運営面でも目立ちました。

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印象的なパネルディスカスの紹介

ⅰ)Monday  F   【IP Strategies for MNT】:

8/30/2010 13:30~ (Chair : J.DeMont /DeMont & Breyer)

知財の専門家が経営層に対して特許保有の意義や負の側面、注意点についてまとめた。特許は企業のもつ最も貴重な財産であること。ただし基本特許は長期間価値があるが、問題解決型の特許は3年で殆ど価値がなくなること。元来特許は他社からプロテクトするためのものであるが、保有コストが大きいし、他社を訴えても訴訟コストが大きい。サザビーズ(Sotheby’s) が最近は特許の売買仲介を始めたが、15%以上もの手数料をとる。特許にしておくべきかどうかの判断基準等々。


ⅱ)Monday  M   【Industry,Government,and Academic Collaboration ModelsⅠ】 

8/30/2010  16:00~  (Chair : D.Tolfree/Technopreneur)

米国における産官学の連携モデルについてUniv. of Utah, Air Force Research Laboratory, Sandia National Laboratory, US Dept of Agricultureからのメンバーが話し合った。戦闘機に搭載するレーザー兵器の開発をしているという米国空軍研究所の人によれば、MW級レーザーは化学レーザーではなく電子レーザーでいくようだ。特定企業と共同でプロトタイプを造る場合には、成功すれば他の企業にとってもメリットがあるように配慮するとか。SandiaNational Laboratoryの人は共同連携作業の目的はGlobal  Innovation Leaderを育成することにあると言っていた。米国農務省(USDA)の人は新技術の連携作業の例として、Pennsylvania Initiative について述べた。


ⅲ)Tuesday  C【Industry, Government, and Academic Collaboration Models Ⅱ】

               8/31/2010  10:00~  (Chair : D.Tolfree/Technopreneur)

同時並行8セッションがあった日で昨日に続く産官学連携についてのセッション。聴衆も含め全員で10名以下の超オタク的セッションであった。大学と企業の連携を「蛙(王子)とお姫様」の童話にたとえて述べたオーストラリアのMiniFabの人の話は「大学が無くなっても地域企業は困らない」ことや、蛙(企業)とお姫様(大学)のマッチングの難しさなどわかりやすい説明だった。 オランダのNanoNedの人は連携のインフラ作りに自国では経産省が50%以上補助していると言っていた。ノルウェーのMicrotech Innovationの人は企業間連携の例として互いのCEOの交換について述べていた。 ほかに「LocalとGlobalの矛盾」といったテーマが論じられた。これは学生は好きなところで仕事をすればいいからGlobalizationの方向。大企業もどこで事業を展開してもいいのでGlobalな存在である。それ以外がLocalな存在となる。それを考慮した産官学連携の姿についても議論があった。


ⅳ)Wednesday Plenary  9/1/2010  8:00~ (Chair : R.Warrington/MANCEF?MTU)

ナノテクの商業化への障壁となることは①IP ②その分野の専門家不足 ③「死の谷」問題であると米国国立衛生研究所(NIH)の人が述べた。米国国立標準技術研究所(NIST)の人は当然ながら、測れないものは製造できないと計測の重要性を述べた。また、ROIがどうなっているのか、投資が十分に価値があったことをきちんと示して見せる(demonstrate)ことの重要性を述べた。


ⅴ)Wednesday F  【MNT & Emerging Applications】

                 9/1/2010  13:30~  (Chair : R.Warrington /MANCEF/MTU)

このセッションではナノテクやMEMSの変わったアプリが紹介された。G.Verbeck (Univ. of North Texas)からはMEMSで造ったMass Spectrometerが紹介され、それを用いた研究でカーボンの硬度はSP2とSP3結合のある最適比率の時に最も硬くなったとか。他にRF MEMS for Mainstream ATE Switching, High Volume Print Forming, 圧電式Siマイクのガスセンサー応用、 Capacitive Electrical SensorsによるDNA, バクテリアセンサー、カーボンナノチューブの音響分野と放熱分野の応用等々が紹介された。


ⅵ)Wednesday L  【Business Intelligence Ⅲ】

              9/1/2010  16:00~ (Chair : V.Mangematin/Gren.Ec.de Mgmt)

Sul Kassicieh(Univ. of New Mexico)によれば、研究予算は大学$50B, 国立研究所$50B,民間企業$250Bというように圧倒的に企業R&Dの予算規模が肥大化している。民間企業の開発費レベルには程遠いことを考慮して、大学では専門家を育てることを、米国の国立研究所では国家の安全保障に関わることや新たな発見などに注力すべきであると述べた。Ariane von Raesfeld (Univ. of Twente) はナノテクでの公的機関と企業とのコラボはあくまでもベーシックサイエンスにするべきであること、公的機関からの技術移転が中心になることなどを述べた。またナノテクは既存の技術やプロジェクトを支援している技術であり、ナノテクのみを切り出してデータ化しにくいことなどを述べた。


ⅶ)Thursday Plenary  9/2/2010 08:30~  (Chair : R.Giasolli/MANCEF)

Seamus Curran (Univ. of Houston) は太陽電池でなぜ結晶Siから薄膜Siタイプのほうがエネルギー変換効率が良いのかについて朝と夕方のうす暗いところでの感度も考慮して総合的に薄膜タイプの優位性をまとめていた。また繊維状にしたものはいろいろな角度からの光を利用できるため、とりこぼしなく全部の太陽光を利用する点で可能性が高いことに触れていた。Jon Rambeau (Lockheed Martin) は現在の様々な技術に対して人々が単にINTERESTINGと思うかINNOVATIVEと捉えるかは微妙な違いだけであって、殆どINNOVATIVEと思われていうことは技術的には既存技術の組み合わせであることを指摘した。そのうえでナノテクの事業化に当たっては様々な要因が合わさって市場に浸透していくことがカーボンナノチューブを例に紹介された。


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 以上、COMS2010はナノテクとMEMSの事業化に絞り込んだ国際会議でしたが、日本と同様にどこも苦労しているようです。産官学の連携はどこも似たり寄ったりのやり方で、特にお手本にするべきところは見つかりませんでした。もっとも外部環境や国内の諸事情が全部異なるのですからどこかでの成功例が直ちに役立つことはありません。しかし各国のやりかたのいいとこどりをするのも賢明な選択ではないでしょうか。いろいろ事業化のアプローチはありましたが、すべての議論を通して各国で共通して最重要だとされたのはIP関連だったと思います。  

(竹井 裕)

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2010年8月16日 (月)

第4回BEANSプロジェクトセミナー@東京ビッグサイト/マイクロナノ2010

 平成20年7月からスタートしたBEANSプロジェクト(異分野融合型次世代デバイス製造技術開発プロジェクト)も2年が経過しました。初年度に行いました実験装置や研究施設の立ち上げが功を奏し、平成21年度以降は研究開発が本格的に進展しました。そして3年目にあたる本年は中間評価の年度です。そこで、これまでのプロジェクト研究活動の総括および研究成果についての発表の場として本セミナーを位置付けることになりました。

 7月29日午後、マイクロナノ2010の東京ビッグサイト特設会場Bで行われた「第4回BEANSプロジェクトセミナー」は昨年同様に立見が出る大盛況でした。もちろん同時に技術展示ブースにてBEANSプロジェクトの紹介や研究成果の事例等を紹介しました。

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 冒頭の主催者挨拶ではNEDOの鈴木富雄理事がBEANSの目指す新しいライフスタイルの実現を紹介されました。続いて技術研究組合BEANS研究所の遊佐厚所長はプロジェクトPLの立場からBEANSプロジェクト全体についての紹介をされました。
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 成果報告セッションは東京大学藤田博之教授が「見えてきたBEANSの姿」と題して、異分野融合が功を奏し始め、注目すべき成果が各センターから出始めたことを紹介されました。

 そして各センター長から以下のような成果報告がありました。

   ⅰ)Life BEANSセンター:東京大学 竹内昌治准教授

           「バイオ・有機材料を活かすプロセス技術~膜、
      ゲル、細胞を操るMEMS~」
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  ⅱ)Life BEANSセンター九州:九州大学 安達千波矢教授

       「有機ナノ構造体が拓く新しい可能性~ナノ分子配向、
     ナノドット、ナノピラー構造 の創製と光電子機能~」
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  ⅲ)3D BEANSセンター:東京大学 杉山正和准教授

         「ポストシリコン世代のMEMS製造技術~中性粒子ビー
     ム無損傷3次元加工・超臨界高均一製膜・ナノ構造自己

     組織化がもたらすMEMSのパラダイム~」
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       ⅳ)3D BEANSセンター滋賀:立命館大学 木股雅章教授

    「マイクロ・ナノ加工技術の宇宙用赤外
      センサへの応用」
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  ⅴ)Macro BEANSセンター:
       (独)産業技術総合研究所 伊藤寿浩 センター長

     「メーター級大面積高機能デバイス実現化戦略

   ~高品位ナノ機能膜非真空連続形成と
       ウィービングMEMS~」

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 特別講演は知財を重視しているBEANSプロジェクトにふさわしく、(独)工業所有権情報・研修館の渋谷善弘人材育成部長が「産学官連携コンソーシアムにおける知的財産マネジメント~BEANSへの期待~」というテーマで国家プロジェクトのなかでも知財創出を最重点目標にしているBEANSプロジェクトへの支援体制と大いなる期待を紹介いただきました。

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 そして3時間におよぶセミナーは青柳桂一研究調整監の閉会挨拶で締めくくられました。

(注)すべての講演資料は「BEANSプロジェクト」のHP http://www.beanspj.org/ にてご覧いただけます。  (yt)



 
   

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2009年7月27日 (月)

Transducers2009 調査報告

国際会議Transducers2009(The15th International Conference on Solid-State Sensors, Actuators & Microsystems)が米国のコロラド州デンバーのSheraton Denver Downtown Hotelで2009年6月21日(日)~6月25日(木)に開催されました。国際会議Transducersはマイクロ・ナノテクノロジー分野における主要国際会議の一つで、1981年にボストンで第1回が開催されてから、米国、欧州、アジアの各地域から持ち回りで隔年毎に開催されており、今回は15回目にあたりました。今回の参加者は28カ国 984名(事前登録)で内訳はヨーロッパ/アフリカが224名、 アジア/オセアニアが291名、アメリカが469名でした。所属では アカデミアが734名(内学生373名)、政府関係者82名、インダストリ 160名、自営業8名でした。また、初日のオンサイト登録者が20名を超えていましたので、実際の参加者は1000名を超えていました。事前登録でみますと、前回 の2007年(リヨン)の1226名よりは少なくなりましたが、2005年 のソウルの861名、2003年のボストンの975名よりは多くなっていますので、 昨今の不況ならびにインフルエンザの影響は少なく盛況だったと思います。実際当初の予定以上の参加者があり予算が余ったとのことで、急遽最終日にハーゲンダッツのアイスクリームが配給されました。

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Transducers2009ポスター会場風景

今回の論文投稿数は1307件で、口頭発表216件(採択率:16.5%)とポスター発表384件(採択率:29.4 %)の600件(採択率:45.9%)が採択されました。地域別ではヨーロッパ/アフリカが投稿320件で、採択146件(採択率:45.6 %)、アジア/オセアニアが投稿576件で採択 245件(採択率:42.5%)、アメリカが投稿411件で採択209件(採択率: 50.8%)でした。採択のもっとも多かった国はUSAの198件、 次いで日本の110件でした。
 また、今年からOutstanding Paper Awardsが設けられ、日本の豊橋技術科学大学の発表を含め、以下の4件が表彰されました。
(1)”Liquid-Semiconductor-Based Micro Power Source Using Radioisotope Energy Conversion"
   (T. Wacharasindhu他、University of Missouri、 USA)
(2)"Implantable Multi Sensor System for In Vivo Monitoring of Cardiovascular Parameters"
   (P Bingger他、University of Freiburg IMTEK、 Germany)
(3)" A Parylene Bellows Electrochemical Actuator for Intraocular Drug Delivery"
   (P. Y. Li他、University of Southern California、USA)
(4)" Out-of-Plane Microwire Force Sensor Arrays with Embedded P-N Diodes by Selective Vapor-Liquid-Solid Growth"
   (A Ikedo他、Toyohashi University of Technology、 Japan)
内容としては3つのプレナリートーク、 12の招待講演と36のオーラルセッション及び11分野のポスターセッションが4日に分けて開催されました。分野として発表件数が最も多かったのは機械量センサで、次いで材料・製造・パッケージングとマイクロ流体関連でした。印象としては、Transducersなので、センサやシステムとしての発表がやはり多く、Actuators、 RF MEMS、 Optical MEMSはひところに比べると件数が少なくなっているように思えました。バイオ・μTASに関しては、センサ、流体、粒子操作等セッションが細かく分かれて多くなってきており、ナノは思ったより件数が少なかったように思います。物理量センサとプロセスに関しては、発表件数は多くなっていますが、それぞれ細かい改良や基礎的なデータが多く、個人的には画期的にすごいと思われるような技術はあまり出てきていなかったように思いました。ウェハレベルパッケージの発表も多くでてはいますが、分かり切った発表ばかりで、今更というようなものが、多かったように思います。BEANS関連では、Life BEANSセンターから2件のオーラルセッションへの採択があり、2日目の午前のオーラルセッションで竹内センター長が渡辺研究員の代理で発表するとともに、午後に柴田研究員の発表がありました。しかし、我々が狙っている異分野融合を前面に出したような発表は少なかったように思います。次回のTransducersは2年後の2011年に北京で開催予定です。

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柴田研究員発表風景

【プレナリートーク】
  米、日、欧のこの分野の権威の下記3人から講演がありました。
(1)Kensall D. Wise(University of Michigan、USA)
" Wireless Integrated Microsystems: Wearable and Implantable devices for Improved Health Care"と題して 1966年に初めて開発されたマイクロマシン神経インターフェース 以降のワイヤレスの人口内耳や脳刺激システム、網膜 刺激システム等の紹介がありました。
(2)江刺先生(東北大)
" Wafer Level Packaging og MEMS"と題して、いろいろな 形態のウエハレベル実装の手法のサーベイ紹介がありました。
(3)N.F. de Rooij(EPFL、スイス)
" MEMS for Space"と題して、宇宙用のクロスコネクト光スイッチ、火星探査用AFM粒子計測システム等宇宙用MEMSの紹介がありました。
【オーラルセッション】
■セッション1(Chemical Microsensors & Microsystems I):6件
■セッション2(Cell Manipulation & Analysis I):7件
■セッション3(Power MEMS):7件
■セッション4(Inertial Sensors):7件
■セッション5(MEMS Resonators I):5件
■セッション6(Optical Detection Technique):5件
■セッション7(Materials & Processes):5件
■セッション8(Biomimetic Systems):5件
■セッション9(RF MEMS):6件
■セッション10(Droplet and Bubble Devices):7件
■セッション11(Packaging and Assembly):7件
■セッション12(Magnetic Devices):7件
■セッション13(Medical Microsystems I):7件
■セッション14(NEMS):7件
■セッション15(Actuators I):7件
■セッション16(Flow & Acoustic Devices):7件
■セッション17(Micro and Nanofluidics):5件
■セッション18(Optical Actguation Techniques):5件
■セッション19(3D Technologies):5件
■セッション20(Mass & Tip-Based Sensors):5件
■セッション21(Chemical Microsensors & Microsystems):7件
■セッション22(Biochemical and Humidity Sensors):7件
■セッション23(Metal MEMS):7件
■セッション24(Physical Sensors):7件
■セッション25(Dielectrophoresis & Separation Techniques):5件
■セッション26(Nanosystems):5件
■セッション27(Robotic Sensors):5件
■セッション28(Optical MEMS I):5件
■セッション29(Medical Microsystems II):7件
■セッション30(Nanoscale Devices):7件
■セッション31(Micropumps):7件
■セッション32(Optical MEMS II):7件
■セッション33(MEMS Resonatorss II):7件
■セッション34(Cell Manipulation & Analysis II):7件
■セッション35(Actuators):7件
■セッション36(Thermal Devices):7件
【ポスターセッション】
■分野1(Actuators):22件
■分野2(BioSensors & BioMicrosystems):47件
■分野3(Chemical Microsensors & Microsystems):27件
■分野4(Materials, Fabrication & Packaging Technologies):58件
■分野5(Mechanical/Physical Sensors & Systems):60件
■分野6(Medical Microsystems):18件
■分野7(Microfluidics):53件
■分野8(Nanoscale Materials & Fabrication Technology Devices & Systems):27件
■分野9(Optical MEMS):23件
■分野10(Power MEMS):17件
■分野11(RF MEMS, Resonators & Oscillators):27件

(武田宗久)

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