MEMS2012 参加報告 (Life BEANSセンター)
BEANSプロジェクトのテーマの一つである「ハイドロゲル高次構造形成プロセスの開発」に関して、プロジェクトの成果であるナノパターン表面を有するハイドロゲルの生体適合性向上について、「NANO-PATTERNED HYDROGEL REDUCED INFLAMMATORY EFFECTS IN SUBCUTANEOUS TISSUE」という題で発表すると共に、最新MEMS関連技術の情報収集(特にバイオセンサーや医療関連技術)を目的とし、2012年1月29日(日)~2月2日(木)の5日間の期間に、フランス・パリにあるマリオットホテルで開催されたMEMS2012(The 25th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)に参加しました。本学会は、口頭発表48件、ポスター発表298件から構成されており、口頭発表は1会場で行われるため、全ての発表を聴講することができました。発表内容はFabricationやRF MEMS、Medical MicrosystemsなどMEMSに関する基礎技術から応用技術までの内容が満遍なく発表されており、自分の分野以外の情報を得ることができる良い機会でした。また、各日のPlenaryセッションでは、分野の第一人者による研究発表があり、その独創的なアイデアや考え方に触れることができ、貴重な経験となりました。
研究発表では、当プロジェクトの成果であるナノパターン表面を有するハイドロゲルの生体適合性向上に関して、ゲルの作製と表面形状の確認、生体に埋め込んだ評価について発表しました。発表は最終日の朝ということもあり、人が来てくれるか心配していましたが、2時間のポスター発表中、途切れることなくディスカッションを行うことができました。人数は全部で15人ぐらい、日本人と海外の人が半々といったところでした。生体適合性については、なぜLine & Space形状が生体適合性に効果があるのか、深さ、幅、スペースのどれが一番効いているのということに関する質問が多く、表面形状と生体適合性の関係に関する関心の高さが伺えました。この点に関しては本発表までに十分な検討を実施することができなかったこともあり、今後の課題です。また、本技術について、細胞培養やセンサーへ応用できないかということについてディスカッションでき、MEMS技術のバイオ、医療分野への応用については多くの人が模索中であると同時に、色々なアイデアを考えているんだということを感じられました。。なお、他の発表ではin vivoの内容が少なく、in vivo実験メインの本研究発表を聞きたかったという声も多く、ラットへのゲル埋め込み写真を前面に押し出したポスターの効果があったようです(写真参照)。
他の報告でも、全体の内容を取り上げていると思うので、私が気になった分野として、Medical Microsystemsを取り上げたいと思います。自分が医療分野の研究を行っていることもあり、この分野の発表者とディスカッションすることが多かったです。その中で、Medical分野では①治療と、②検査・診断という二つの方向性を強く感じました。治療に関しては、再生医療が、検査・診断に関しては、低侵襲、長期埋め込み、連続測定の3つがキーワードでした。再生医療に関しては、まだまだ研究段階であるという印象が強かったです。検査・診断に関しては、グルコースやラクトース、温度や圧力などを測定するためのMEMSデバイス開発がメインで、どれも測定可能なところまで来ているが、測定した値の有用性について、従来法との差を示すのに苦労しているという印象を受けました。この点に関しては、我々の研究でも今後課題になると思うので、センサーや装置を作るだけでなく、新しいデバイスによる測定値から得られる新たな知見について、その解析法や使い方を含め、何を提供できるのか、深く考えていかなければならないと感じました。
なお、次回のMEMS2013は台北のInternational Convention Centerで行われます。次回も成果報告ができるよう、頑張ります。
Life BEANSセンター
高橋正幸
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