EcoDesign2011@京都 報告
昨今、環境問題は世界的な関心事であることは言を待たない。製品や社会システムの設計にあたっては環境調和が大前提になりつつあります。環境負荷低減と価値のイノベーションを車の両輪として持続可能社会をデザインすることがエコデザインのミッションです。
ちなみに、本大会の副題は「持続可能社会に向けた価値イノベーションのためのデザイン」となっています。
隔年に日本国内で開催され、今回は第7回目でした。東日本大震災と原発事故の影響で参加者の激減が予想されていましたが、大会直前までの関係者の努力で最終的には23カ国から約340人の参加があり、約230ものプリゼンテーションがあり、2011.11.30~12.2の3日間に及ぶ盛大な学会となりました。会場は京都駅近くの京都テルサでした。筆者はこの大会の実行委員でもありましたので、何も出来ませんでしたが、この本格的な国際学会の企画段階から本番実行までつぶさに見守ることができたことが大きな収穫でした。
環境問題は先進国も途上国にも関心事であるため、国連総会かと思うほど参加国はバラエティー豊かでした。イランやネパールやインドネシア、それにブラジルなどからも参加がありました。特にイランからは数人もの参加者がありました。
ここで扱われた学術分野は実に広範囲でした。基本的に5つのパラレルセッションと大講堂でのプレナリーセッションで構成されていました。1セッションは約80分で、それが40コマあります。
其の全部を以下に示します。
1) Social Infrastructures for Sustainability (1),(2)
2) OS: Green Telecommunication
3) Design for Sustainable Behavior (1),(2)
4) Product Ecodesign Method
5) Sustainable Manufacturing (1),(2),(3)
6) Green Electronics (1),(2)
7) Ecodesign Support Tool
8) OS: Zero-CO2 Emissions Society
9) OS: AIST 3R Technology R&D
10) OS: Envisioning and Designing Sustainable Manufacturing Industry (1),(2)
11) Policy and Economic Incentives (1),(2)
12) PSS and Life Cycle Management (1),(2)
13) EOL Strategy
14) OS: Emerging Technology (1),(2),(3)
15) Remanufacturing
16) Sustainable Energy System (1),(2)
17) OS: Concept of Ecodesign Assessment Method
18) Workshop:Design for Remanufacture
19) OS: Energy Design (1),(2)
20) Green Business Strategy(1),(2)
21) OS: Stimulating Eco-Innovation by Promoting
Meso-level Research Project (1),(2)
22) OS: Operations Management (1),(2)
23) Eco-Labeling and Carbon Footprint
24) Sustainability Assessment and LCA
25) Green Business Design
初日冒頭のプレナリーセッションは極めて重要な示唆に富むものでした。
産総研の矢部彰理事のPromotion of Energy Conservation and EcoDesign for Energy System と題した講演では我が国や世界がおかれた現状を分析し、エネルギー問題解決に高効率のスーパーヒートポンプに着目されていました。
今回特筆すべきセッションはOS: Emerging Technology (1),(2),(3)でした。他では聴くことのできない内容に興味がつきませんでした。
生物規範工学という分野は、自然界の生物の驚愕の巧みさに学ぼうとするもので、この分野は米国国防総省が支援するプログラムであることも納得がいくほどの内容でした。
国際学会はさまざまありますが、EcoDesin2011は紛れもなく研究者自らが手作りで創りあげ、23カ国という途方もなく広い世界からいろんな分野の研究者が集い、熱のこもった議論が出来る不思議で魅力ある国際学会でした。次回は2年後になりますが、はじめて国外での開催とのことで、韓国Seoulだそうです。
(yt)
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