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2011年2月16日 (水)

MEMS2011報告

国際会議MEMS2011(24th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)がメキシコ・カンクンのHilton Cancun Golf & Spa Resortで2011年1月23日(日)~1月27日(木)に開催されました。国際会議MEMSはマイクロ・ナノテクノロジー分野における主要国際会議で、アメリカ、ヨーロッパ/アフリカ、アジア/オセアニアの各地域から持ち回りで毎年開催されています。第24回目にあたる今年はアメリカ主催で北米以外の国で開催されたのは今回が初めてでした。昨年はオーラルの一部をパラレルセッションで実施しましたが、今年は元のシングルオーラルセッションに戻りました。投稿論文は過去最大の886件(昨年は885件)あり、46件がオーラルセッション、297件がポスターセッションに採択されました。採択率は38.7%でした。地域別ではアメリカが146件、ヨーロッパ/アフリカが61件、アジア/オセアニアが136件でした。国別ではUSAが1位で2位が日本でした。また,今回中米で開催されたこともあり、この地域のMEMSの研究紹介をするために、6件のオープンポスター発表が追加で行われました。事前登録参加者はアメリカ地区が228名、ヨーロッパ/アフリカ地区128人、アジア/オセアニア地区204人でした。来年は1/29~2/2にフランスのパリのMarriott Rive Gauche Hotel & Conference Centerで開催されます。アブストラクトの締め切りが9/13、採択の発表が10/24、最終原稿の締め切りが11/22です。


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 会場Hilton Hotel     入口    オーラル会場   ポスター会場


MEMS2011ではBEANSプロジェクトからは、2件のオーラル発表と5件のポスター発表が採択されました。オーラル発表としてはセッションⅢ(3D FABRICATION & ASSEMBLY)で3DBCの阿波嵜研究員と山田研究員からそれぞれトレンチ内の粒子配列技術と低温超臨界シリコン酸化膜製膜技術の発表がなされました。セッションⅢの5件中2件がBEANSプロジェクトの発表でこの分野でのBEANSプロジェクトのプレゼンスを示していました。ポスター発表としては、初日に分野1(Fabrication Technologies)でMBCのソマワン研究員から繊維状デバイスの接点アレイの発表と分野11(Energy Harvesting & Power MEMS)で3DBCの百瀬研究員からスーパーキャパシタの発表が、3日目に分野1(Fabrication Technologies)でMBCの横山主任研究員から大気圧プラズマによるシリコン成膜の発表が、4日目に分野7(Bio & Chemical Micro Sensors and Systems)でLBCの柴田研究員からハイドロゲルの表面加工技術の発表と分野12(Nano-Electro-Mechanical Devices and Systems)で3DBCの李研究員からトレンチタイプ耐摩耗プローブの発表がなされました。各発表とも多数の研究者が訪れており、BEANSの成果を広く普及できたと思います。ここでは各発表の様子を以下に写真で示します。


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  阿波嵜研究員口頭発表の様子     山田研究員口頭発表の様子

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  百瀬研究員     ソマワン研究員  横山主任研究員  柴田研究員 李研究員

                       ポスター発表の様子

以下に3件の招待講演の概要およびオーラルセッションとポスターセッションの構成ならびに発表件数と概要を示します。招待講演はドイツKarlsruhe Institute of TechnologyのM. Wegner氏,日本の金沢大学の安藤敏夫教授とアメリカのGeorgia Institute of TechnologyのZ. L.Wang教授の3人でした。


【招待講演】

(1)  ’ 3D PHOTONIC METAMATERIALS AND INVISIBILITY CLOAKS: THE MAKING OF ‘ : M. Wegner 、 Karlsruhe Institute of Technology、 Germany

【1月24日】

レーザ直描リソグラフィーにより最近開発された3次元フォトニックメタマテリアル構造について紹介していました。レーザ直接描画による3次元リソグラフィーの限界が2光子にすることで分解能が80nmになること、この技術と金めっき技術をつかい2μmのコイルアレイを造ることで、3次元的に目に見えない外套のようなメタマテリアル構造ができることを紹介していました。東大竹内研でも最近この装置を導入されたとのことで、かなり高速で3次元構造を製作することができるようです。

(2)     ’VIDEO IMAGING OF BIOMOLECULAR PROCESSES BY HIGH-SPEED AFM ‘ : T. Ando、 Kanazawa University、 JAPAN【1月25日】

安藤先生の話は高速AFM開発の歴史ならびに装置化と最近の分子観測例の紹介でした。AFMを高速化するために、小型カンチレバー、高速スキャナ、高速フィードバックコントロール方式ならびに小さなタッピングフォース方式等の開発を行い、それにより分子を壊すことなく高速で分子の動きを観察することを可能にしました。装置化に関しても行い、今年から製品として販売するとのことでした。最近の観察例としてはミオシン分子がアクチンフィラメント上を歩く様子、光駆動プロティンポンプやロータリーモータの観察例が示されました。

(3)     ’NANOGENERATORS FOR SELF-POWERING NANOSYSTEMS AND PIEZOTRONICS FOR SMART MEMS/NEMS ‘ : Z.L. Wang、 Georgian Institute of Technology、 USA【1月26日】

Wang先生はナノワイヤおよびナノ発電機の先駆者で、その論文は83000件引用される程です。ナノワイヤを曲げるとピエゾポテンシャルが発生し、これで発電を行うとともに、ストレスをコントロールすることで電子と類似に扱うことができ、トランジスタ等の電子部品をつくることが可能となり、この分野をPezotronicsと名付けています。さらに、レーザを当てることにより新たな現象がでてきて、電子と光学の融合のOptoelectronicsに対応するPiezophotonicsも考えられるとのことでした。また、圧電材料としてはPZTよりもZnOの方がパワー密度が大きく、Piezotronics効果がある等優れた特性を有しており、さらに、GaNやInNはもっと良いと考えられるので、今後はこれらの材料をMEMSと融合することが大事であるとのことでした。


【オーラルセッション】()内は日本からの発表件数

■セッションⅠ(OPTICAL MEMS):3件(0件)

・OPTICAL MEMSのセッションでは、3件中2件がシンガポールのNanyang Technological Universityの光学流体プリズムと可変レーザの発表でこの分野でのシンガポールの研究が進んでいることが分かります。他の1件はオランダのUniversity of Twenteからのフォトニック結晶における機械-光学スイッチに関しての発表でした。

■セッションⅡ(MEDICAL MEMS):5件(1件)

・MEDICAL MEMSのセッションでは4件が米国、1件が東大生田研からの細胞操作ロボットに関するものでした。この分野では米国の活躍がみられます。University of Washingtonから血糖値センサとしてコンタクトレンズを使用するものの発表がありました。

■セッションⅢ(3D FABRICATION & ASSEMBLY):5件(2件)

・3D FABRICATION & ASSEMBLYのセッションでは、5件中2件がBEANS   の発表でこの分野でのBEANSプロジェクトのプレゼンスを示していました。他は米国が2件、スエーデンが1件でした。スエーデンのRoyal Institute of Technologyからの発表として、ニッケルメッキの棒を磁場で貫通穴に挿入して周りを高分子のBCBで埋め込む技術がありました。

■セッションⅣ(DIAGNOSTIC & LAB-ON-A-CHIP):4件(2件)

・DIAGNOSTIC & LAB-ON-A-CHIP のセッションでは4件中2件が東大生研の 藤田研および竹内研の発表で、この分野での東大生研のプレゼンスを示していました。他の2件は米国UCBとHarvard Universityからのものでした。4件の内2件がTweezer、残り2件が培養に関するもので、特にシングルセル培養に関する発表がこの分野のトピックスになっていました。

■セッションⅤ(NEMS/CNTE):5件(0件)

・NEMS/CNTEのセッションでは米国2件、中国、韓国、スイスからそれぞれ1件の発表がありました。CNTに関するものが2件ありましたが、BEANSで実施している電気泳動によるものではなく成長によるものでした。またスイッチや電子回路に関するものがほとんどでした。

■セッションⅥ(MEMS ON FLEXIBLE SUBSTRATE):4件(3件)       

・MEMS ON FLEXIBLE SUBSTRATEのセッションでは、4件中2件が東大下山研、1件が東大竹内研で、残り1件が台湾のNational Tsing Hua Universityでアジア特に日本の東大がこの分野で活発な研究が行われていることが分かります。いずれもPDMS、パリレン、PET、ITO等のフレキシブルシート上にグラフェンやリポソーム等の構造体を形成する技術に関してですが、MBCで実施しているような製織に関するものはありませんでした。

■セッションⅦ(POWER & PIEZOS):4件(1件)

・POWER & PIEZOS のセッションでは韓国、デンマーク、日本、アメリカからそれぞれ1件の発表がありました。内容は燃料電池1件(韓国)、振動発電1件(デンマーク)と温度センサ(日本、豊橋技科大)とピエゾを使った力センサ(アメリカ)した。

■セッションⅧ(NOVEL ACTUATION):5件(3件)

・NOVEL ACTUATION のセッションでは5件中3件(2件が東京農工大森嶋研、1件が東大藤田研)が日本でこの分野での日本の研究開発、特に東京農工大がプレゼンスを示していました。残りはアメリカのCornell UniversityとカナダのNational Research Councilがそれぞれ1件でした。

  ■セッションⅨ(RF MEMS & RESONATORS):6件(0件)

・RF MEMS & RESONATORSのセッションでは、6件中4件がアメリカで他はフランスとスエーデンがそれぞれ1件で、アメリカがこの分野で活発な研究が行われていることを示していました。内容的にはレゾネータが4件であとは可変キャパシタとレートジャイロがそれぞれ1件でした。

■セッションⅩ(CELLS & MOLECULES):5件(2件)

・CELLS & MOLECULESのセッションでは、5件中2件(京大、立命館大共同と名大新井研)が日本、2件が台湾で残り1件がアメリカでこの分野でのアジアの研究開発、特に日本と台湾で活発な研究開発が実施されていることを示しています。内容的にはDNAや蛋白解析用のマイクロ流体システムが3件(台湾とアメリカ)であとはバルーンアクチュエータを用いた腎臓への遺伝子導入(京大)と細胞操作用のマイクロロボット(名大)がそれぞれ1件でした。

【ポスターセッション】

 ポスターセッションは以下の分野に分かれて3日間でトータル297件+6件の地域オープンオーラルの発表がありました。()内は日本からの発表件数です。

■分野1(Fabrication Technologies):38件 (10件)

■分野2(Packaging Technologies):7件(2件)            

■分野3(Materials & Device Characterization):33件(8件)

■分野4(Mechanical Sensors & Systems):38件(5件)

■分野5(Physical MEMS(Optical、 Magneto)):19件(4件)

■分野6(RF MEMS):17件(1件)

■分野7(Bio & Chemical Micro Sensors and Systems):47件(9件)    

■分野8(Medical Microsystems):17件(3件)

■分野9(Micro-fluidic Components & Systems):36件(9件)

     ■分野10(Micro-Actuators):20件(4件)      

■分野11(Energy Harvesting & Power MEMS):12件(2件)

■分野12(Nano-Electro-Mechanical Devices and Systems):13件(5件)

■分野13(Regional Open Posters):6件

ポスター発表でBEANSに関連するものに関して以下に簡単に紹介します。

【異分野融合に関して】

 MEMS2011でタイトルに異分野融合(Heterogeneous Integration)がついている発表が3件ありました。それについて下記に紹介します。いずれも複数の機能ウエハをウエハレベルで接合するもので、BEANSプロジェクトが標榜している異分野融合よりは概念的に狭義のものです。その他キーワードでHeterogeneousを挙げているものが2件(37-Mと38-T:以下には挙げない)ありますが、これらもウエハレベル接合に関するものでした。

●18-T: ‘HETEROGENEOUS INTEGRATION TECHNOKOGY FOR COMBINATION OF DIFFERENT WAFER SIZE USING EXPANDABLE HANDLE SUBSTRATE‘ ( F. Forsberg et.al.、Royal Institute of Technology、SWEDEN)

異なるサイズのウエハを接合する方法として、小径のウエハ(100mm)で作製したデバイスを伸長可能なダイシングテープ上に転写し、ダイシングしてチップ上になったものを大径ウエハのサイズ(200mm)まで伸長させ、それを大径ウエハに転写することで異種ウエハの接合を行うというものでした。アイデア的には面白いですが、まだコンセプト検証段階で、伸長の面内ばらつき等の精度の検討まではできていないとのことでした。また、ウエハ内での効率的なデバイス配置ができない等課題はありますが、異種ウエハの接合としては面白いアイデアだと思います。

●125-M: ‘HIDDEN-HINGE MICRO-MIRROR ARRAYS MADE BY HETEROGENEOUS INTEGRATION OF TWO MONO-CRYSTALLINE SILICON LAYERS ‘ (M.A. Lapisa et.al.、 Royal Institute of Technology、 SWEDEN)

マイクロミラーのヒンジ構造とミラー構造を別ウエハで作製し、それをインプリントで使用するポリマーで低温(200℃)接合することにより、大きな変形を許容しながらミラーの優れた安定性を実現するというものでした。

●   135-W: ‘ VERY LARGE SCALE HETEROGENEOUS SYSTEM INTEGRATION FOR 1-MEGAPIXEL MONO-CRYSTALLINE SILICON MICRO-MIRROR ARRAY ON CMOS DRIVING EKECTRONICS ‘ (F. Zimmer et.al.、 Fraunhofer Institute for Photonic Microsystems、 GERMANY)

タイトルに大面積・異分野融合の言葉は入っていますが、大面積はウエハレベルを指し、異分野融合もCMOSウエハとミラーウエハを低温で接合したものでした。

【LBC関連】

LBCに関連するものとしては、脂質二重膜、細胞操作や流路の表面処理に関して、以下の発表がありました。

●   11-W: ‘ELECTRON BEAM DIRECT DRAWING ON LIVING CELL‘ ( T. Hoshino et.al.、Tokyo University of Agriculture and Technology、JAPAN)

東京農工大森島研の研究で、生きた細胞の細胞膜に物理的な刺激を与えることで蛋白レベルの動的な反応を解析することを目的に、バイオコンパティブルなモノマーであるEDOT(3、4-ethylenedioxythiophene)の前駆体を混ぜた観察細胞溶液に電子線を照射することで細胞膜に刺激を与えるというものでした。照射パワーが低い(1keV)時にはEDOTがPEDOTに重合されたナノドットが形成され、これにより細胞膜に機械的な刺激を与えることが可能になるというものでした。電子線の強度を強く(5keV以上)した場合にはアブレーションの効果が強いため、電子線の中央で細胞膜を破壊することが可能になるとのことでした。EDOTの重合体は穴の周りに形成されていました。電子線照射後も細胞膜が生きていることを確認していました。LBCの解析手法として参考になると思います。

●   27-W: ‘PDMS THROUGH-HOLE FABRICATION BY SOFT LITHOGRAPHY USING CH4/HE ATMOSPHERIC RF PLASMA SURFACE TREATMENT’、 (J.C. Choi et.al.、 Gwangji Institute of Science and Technology、 SOUTH KOREA)

PDMSモールドにCH4/Heの大気圧プラズマで処理することで疏水性が上がり、充填したPDMSがPDMSの型から離型性良く離れるというものでした。PDMSの疏水性処理方法として参考になると思います。

●   168-Th: ‘FORMATION OF SELF-ACTUATING LIPID TUBES USING MICROFABRICATED PICOLITER NOZZLE ARRAY‘ (M. Masubuchi et.al.、Chiba University、JAPAN)

マイクロノズルから吐出された脂質を流れに中に入れることでマルチウオールの脂質チューブを作製する技術を開発していました。形成した脂質チューブが自律的に動く現象も観察できたとのことです。脂質膜を造るという点ではLBCの研究に関連があります。

●   178-T: ‘LIVING CELL FABLIC‘ (H. Onoe et.al.、東京大学竹内研、日本)

東大生研の竹内研の研究内容としてハイドロゲルファイバーに生きた細胞を入れ、それを織ることで3次元にパターニングされた機能組織を構築することを狙っています。1cmx0.5cmの織物を作製していました。

●   216-M: ‘ TOWARDS A MICROFLUIDIC DISPENSER CHIP FOR PRINTING OF SINGLE-CELLS ‘ (A. Yusof et.al.、 University of Freiburg、 GERMANY)

セルソータと同じように細胞1つを光学検出器で検出して、それと同期して200plの液滴をディスペンスすることで、細胞1つが入った液滴を基板に滴下することで、基板上の任意の位置に細胞を配置するというものでした。まだ細胞での実験はしておらずナノ粒子を基板上に滴下・配列した例を示していました。

●   237-T: ‘ HIGHLY FLEXBLE、 TRANSPARENT AND PATTERNABLE PARYLENE-C SUPERHYDROPHBIC FILMS WITH HIGH AND LOW ADHESION ‘ (B. Lu et.al.、 CALTEC、 USA)

高い付着力と低い付着力の両方をプラズマ処理の仕方を変えることで疏水性のフレキシブルパリレン膜に形成するプロセスを発表していました。細胞のパターニングや配列制御でBEANSにおいても適用できるかもしれません。

【3DBC関連】

 3DBCに関連するものとしては、粒子配列、CNTやナノトライボロジに関して、以下の発表がありました。

●   12-Th: ‘ENHANCED GOLD SERS SIGNALS ON HSR SURFACE EXTRUCTIONS GENERATED ON CARBOXYL-RICH POLYSTYRENE BEADS‘ ( H.Y. Hsieh et.al.、National Tsing Hua University、TAIWAN)

ポリスチレンナノ粒子(300nm)を基板上に粒子配列(溝の下部に液蒸発の技術を使う)し、プラズマエッチングを行うことで、ナノ粒子表面に基板垂直のピラーを造り、その上に金を蒸着し、SERS(Surface Enhanced Raman Spectroscopy)の感度を向上させていました。酸素プラズマエッチングでは表面にカルボキシル基が形成されながらエッチングされるので、ビーズ表面にピラー(不均一であるが)を形成することが可能になるがアルゴンプラズマエッチングだけではビーズが縮小されるだけである。ビーズを事前にカルボキシル化してアルゴンプラズマエッチングをすることで均一で高アスペクトのピラーを形成することが可能になるというものでした。3DBCの粒子配列の表面修飾の参考になると思います。

●   47-W: ‘A SYSTEMATIC INVESTIGATION OF THE CRITICAL TRIBOLOGICAL PROPERTIES OF A GOLD NANOPARTICLE COATING USED FOR TEXTURING MEMS SURFACES‘ (N. ANSAI et.al.、Auburn University、USA)

MEMSで作製した摩耗試験機で金ナノ粒子をコーティングした表面のトライボロジ特性を計測していました。3DBCのナノトライボロジの研究に参考になると思います。

●   50-T: ‘CONTACT AND SHEET RESISSTANCES OF CARBON NANOTUBE FORESTING GAS SENSING APPLICATION’、 Y. Jiang et.al.、 UCB、 USA)

CNTをはやした膜の接触抵抗ならびにシート抵抗を系統的に計測する方法を提案し、それを使ってガスセンサの特性を評価していました。CNT関連の特性の計測法として参考になると思います。

●   192-Th: ‘SELECTIVE ENHANCEMENT STRATEGY FOR CANTILEVER-BASED GAS-PHASE VOC SENSORS THROUGH USE OF PEPTIDE-FUNCTIONALIZED CARBON NANOTUBES ‘ (L.A. Beardslee et.al.、 Georgia Institute of Technology、 USA)

CNTに接合するペプチドを精製し、カンチレバーベースのVOC センサの効率を上げようというものでした。3DBCで実施している内容と非常に近く参考になると思います。

【MBC関連】

 MBCに関連するものとしては、フレキシブル大面積化、PEDOT特性評価に関して以下の発表がありました。

●   24-Th: ‘MICRO-CONTACT PRINTED MEMS’、 (A. Murarka et.al.、 MIT、 USA)

MEMSのフレキシブル大面積化を狙ったもので、SU-8モールドでPDMSフィルムにパターニングした後薄膜の金をプリント転写するものでした。フレキシブル大面積化の方向性はMBCと同じですが、フィルムを使っている点で異なります。

●   49-M: ‘ CONDUCTIVE POLYMER COATED FLEXBLE ELECTRODE FOR HIGHLY EFFICIENT FORCE GENERATION OF ELECTROSTATIC ACTUATOR ‘ ( S. Konishi et.al. 、 Rいつ名観University、 JAPAN)

立命館大の小西先生からフィルムアクチュエータの電極としてMBCで使用している有機導電材料のPEDOTを使用することを考えており、その特性評価結果等を紹介していました。フィルムアクチュエータに金属電極を成膜するとプロセス中にフィルムが曲がるがPEDOTの塗布は低温でできるし、電極特性も問題ないことを示していました。


MEMS2011の技術動向を技術分野的分析しますと、下記のように、製造・実装技術関連が最も多く、次いでバイオ・化学センサ&システム関連、マイクロ流体関連、メカニカルセンサ&システム関連のようになります。マイクロ流体や医療マイクロシステムもバイオ・化学関連なので、全体的にはバイオ・化学関連が114件と全体の約1/3(33.2%)を占めることになります。また、製造・実装技術と材料・デバイス特性を合わせると87件で全体の約1/4(25.4%)が基礎的な研究開発の発表になっています。残りをMEMSの代表的な応用分野であるメカニカルセンサ&システム、RF-MEMS、Physical MEMS、Power-MEMS、マイクロアクチュエータで分けているという感じになっています。日本の研究でみると、RF-MEMS関連およびメカニカルセンサ&システム関連がそれぞれ全体の4.3%と13.2%で、日本の平均比率22.2%(=76/343)と比較してかなり低くなっています。逆に平均より多いのは製造・実装技術関連が31.5%、マイクロアクチュエータ関連が28%、ナノデバイス&システム関連27.8%、マイクロ流体関連が27.5%と基礎寄りの研究が多くなっています。日本ではRF-MEMS関連およびメカニカルセンサ&システム関連は事業化のフェーズに入ったことおよび企業より大学の研究者の発表が多いことから基礎寄りの研究発表が多くなっているものと思われます。


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             発表論文の分野別分類


さらに、キーワードから以下に分析します。MEMS2011のキーワードとして登録されているもので多いもの(5件以上)を以下に示します。Photo_19

                   多数登録されているキーワード


これから判断するとマイクロ流体、Resonator、PDMS、CNT関連が多いことがわかります。また、類似のキーワードをまとめると以下のようになります。その多くはBEANSプロジェクトで実施している内容であり、BEANSプロジェクトの研究開発の方向は世界の動向と一致していることがわかります。さらに、異分野融合等の最先端の分野に取り組んでおり、世界を引っ張っていると思われます。

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        多数登録されている関連キーワード



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