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2010年10月14日 (木)

MNE 2010報告

 36nd International Conference on Micro & Nano Engineering (MNE2010)が、9月19日(日)から22日(水)まで、イタリア・ジェノバのMagazzini del Cotone(旧コトーネ倉庫)カンファレンスセンターで開催されました。


MNEはマイクロプロセス・ナノテクノロジーの国際学会として、日本のMNC、米国EPIBNシンポジウムと共に最先端・最新研究が多く投稿される学会です。今年の会議は19日時点で、参加登録数が607名(内188名学生)と発表がありました。参加者数の点で言うと例年並みか若干多い程度ではないかと思います。イタリアで開催されたこともあり日本からの発表者・参加者は少ないかと思いましたが、10人以上の知り合いと出会い、近況報告の場にもなりました。アブストラクト数に関しては、トータルで652件あり、363件がEU、240件アジア、アメリカ42件、その他の地域7件でした。これに対して採択数は532件で、オーラルが93件、ポスターが439件と発表があった。この採択されたアブストラクトを分野別に見ると、一番多いのがナノ分野:185件、ついでリソグラフィ分野:139件、ライフ分野:111件、MEMS:97件の順でした。


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会議は、以下のキートッピックスについてパラレルセッションで行われました。

1. Nanoimprint  2. Maskless Lithography 3. Nano-patterning & Metrology 4. Photonics

5. Device and technology 6. Micro & nano manufacturing 7. Micro & nanofluidics

8. Microdevices & systems 9. Nano electromechanical systems 10. Biomems          11. Materials & devices 12. Nanodots & nanowires 13. Cnts, grapheme and diamond applications 14. Bio-nanosensors 15. Cell interfaces


 キーノートプレゼンテーションに先立ち、MNE2010の主催者で、ジェノバを本拠地とするイタリア技術財団IITから、研究活動について紹介がありました。IITでは、38ヶ国から2010年で800人を超える研究者が活動を行っており、2005年の設立当初(40人程度)に比べると約20倍に増加していました。またIITの研究分野は、1)Potable-energy, 2)Neuroscience, 3)Robotics の3分野で構成され、これらは独立でなく、協同によってヒューマノイド・ロボットの研究開発を進めることが目的となっています。


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 キーノートプレゼンテーションは以下のとおりで、日本からは京大の野田先生によりシリコンフォトニック結晶の進展が紹介されました。


キーノートプレゼンテーション

1) Emerging Device Nanotechnology for Future High Performance and Low Power Nanoelectronics, R. CHAU, Intel Corporation, USA.

2) Recent Progress in Manipulation of Photons by Photonic Crystals, S. NODA, Kyoto University, Japan.

3) Semiconductor Chips for Neuronal Interfacing, P. FROMHERZ, Max Planck Institute for Biochemistry, Germany.

4) The MEMS History: from Jewels to Consumer Products, B. MURARI, STMicroelectronics, Italy.

5) Progress and challenges of ArF and EUV lithography for sub-32nm scaling, K. RONSE, IMEC, Belgium.

6) Scanning Force Microscopy on Mars, U. STAUFER, The Netherlands.


 基調講演の中では、プロジェクトに関連する発表として、Intel Senior Fellow, Robert CHAUが、“Device Nanotechnology for future high performance and low power nanoelectronics”と題し、異種材料の高集積化(シリコン基板上にIII-V族化合物半導体を集積、バッファー層形成技術)に対する取り組みについて講演がありました。情報収集として、特に、トピックス1、2、6、8、14などを中心に聴講を行いました。


 聴講した中で印象に残ったもの、プロジェクトの開発、8インチラインプロセスに関係が深いものとして、“Robust PECVD SiC membrane mede for stencil lithography”の発表の中で、SiNよりヤング率が大きく、硬さ・熱電導度に優れているSiC(500nm厚、LPCVD

で形成)のドライエッチングをSF6/O2(130/20scccm)で行い、エッチングしたSiCをステンシルマスクとして、SiO2膜をC4F8/CH4でドライエッチングして、SiCマスクにはダメージがないことが紹介されていました。非シリコン材料で高耐圧・低抵抗材料として有望なSiCを加工する手法、さらにそのSiCをエッチングマスクとして利用する有用な知見が得られたと思います。


 次に、“Dielectrophoretic alignment of metal-oxide nanowires for improved fabrication of gas sensing devices”の発表で、従来からガス(N2, O2, CO, CO2)センサとして用いられてきたSnO2膜の課題である、ドリフト、感度を克服する方法として、SnO2ナノワイヤー(分散液)を電極間に置き、電場の方向にナノワイヤーが自己組織化的に配列することを利用して配置させ、細いナノワイヤーほど(20~200nmの範囲で)、応答が良くなり、数十秒で最大応答が得られることを報告していました。我々のプロジェクトでは、ガスセンサとして有機溶媒、酸・アルカリ等の無機化合物を検討していますが、さらにCO2、COの検出も同時にできれば応用範囲の拡大が期待できると思われます。

 学会全体の印象としては、プロセス技術に目新しいものはないものの、ナノワイヤーを使った発表が多くあり、自己組織化、CMOSを組み合わせて、新センサ原理、高感度・小型化の試みが活発に行われている感じでした。この会議への参加により、上述で紹介した報告を含めGデバイスの開発に合致した数多くの情報、IMEC等の海外研究機関の開発状況・参加企業動向を収集できました。


 来年のMNE2011は、ベルリンで、発表件数が増えたため、今年よりも1日長く開催し、9月19~23日の5日間開催すると紹介がありました。

                        (逆水登志夫)

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