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2009年7月27日 (月)

Transducers2009 調査報告

国際会議Transducers2009(The15th International Conference on Solid-State Sensors, Actuators & Microsystems)が米国のコロラド州デンバーのSheraton Denver Downtown Hotelで2009年6月21日(日)~6月25日(木)に開催されました。国際会議Transducersはマイクロ・ナノテクノロジー分野における主要国際会議の一つで、1981年にボストンで第1回が開催されてから、米国、欧州、アジアの各地域から持ち回りで隔年毎に開催されており、今回は15回目にあたりました。今回の参加者は28カ国 984名(事前登録)で内訳はヨーロッパ/アフリカが224名、 アジア/オセアニアが291名、アメリカが469名でした。所属では アカデミアが734名(内学生373名)、政府関係者82名、インダストリ 160名、自営業8名でした。また、初日のオンサイト登録者が20名を超えていましたので、実際の参加者は1000名を超えていました。事前登録でみますと、前回 の2007年(リヨン)の1226名よりは少なくなりましたが、2005年 のソウルの861名、2003年のボストンの975名よりは多くなっていますので、 昨今の不況ならびにインフルエンザの影響は少なく盛況だったと思います。実際当初の予定以上の参加者があり予算が余ったとのことで、急遽最終日にハーゲンダッツのアイスクリームが配給されました。

Transducers_2
Transducers2009ポスター会場風景

今回の論文投稿数は1307件で、口頭発表216件(採択率:16.5%)とポスター発表384件(採択率:29.4 %)の600件(採択率:45.9%)が採択されました。地域別ではヨーロッパ/アフリカが投稿320件で、採択146件(採択率:45.6 %)、アジア/オセアニアが投稿576件で採択 245件(採択率:42.5%)、アメリカが投稿411件で採択209件(採択率: 50.8%)でした。採択のもっとも多かった国はUSAの198件、 次いで日本の110件でした。
 また、今年からOutstanding Paper Awardsが設けられ、日本の豊橋技術科学大学の発表を含め、以下の4件が表彰されました。
(1)”Liquid-Semiconductor-Based Micro Power Source Using Radioisotope Energy Conversion"
   (T. Wacharasindhu他、University of Missouri、 USA)
(2)"Implantable Multi Sensor System for In Vivo Monitoring of Cardiovascular Parameters"
   (P Bingger他、University of Freiburg IMTEK、 Germany)
(3)" A Parylene Bellows Electrochemical Actuator for Intraocular Drug Delivery"
   (P. Y. Li他、University of Southern California、USA)
(4)" Out-of-Plane Microwire Force Sensor Arrays with Embedded P-N Diodes by Selective Vapor-Liquid-Solid Growth"
   (A Ikedo他、Toyohashi University of Technology、 Japan)
内容としては3つのプレナリートーク、 12の招待講演と36のオーラルセッション及び11分野のポスターセッションが4日に分けて開催されました。分野として発表件数が最も多かったのは機械量センサで、次いで材料・製造・パッケージングとマイクロ流体関連でした。印象としては、Transducersなので、センサやシステムとしての発表がやはり多く、Actuators、 RF MEMS、 Optical MEMSはひところに比べると件数が少なくなっているように思えました。バイオ・μTASに関しては、センサ、流体、粒子操作等セッションが細かく分かれて多くなってきており、ナノは思ったより件数が少なかったように思います。物理量センサとプロセスに関しては、発表件数は多くなっていますが、それぞれ細かい改良や基礎的なデータが多く、個人的には画期的にすごいと思われるような技術はあまり出てきていなかったように思いました。ウェハレベルパッケージの発表も多くでてはいますが、分かり切った発表ばかりで、今更というようなものが、多かったように思います。BEANS関連では、Life BEANSセンターから2件のオーラルセッションへの採択があり、2日目の午前のオーラルセッションで竹内センター長が渡辺研究員の代理で発表するとともに、午後に柴田研究員の発表がありました。しかし、我々が狙っている異分野融合を前面に出したような発表は少なかったように思います。次回のTransducersは2年後の2011年に北京で開催予定です。

Photo
柴田研究員発表風景

【プレナリートーク】
  米、日、欧のこの分野の権威の下記3人から講演がありました。
(1)Kensall D. Wise(University of Michigan、USA)
" Wireless Integrated Microsystems: Wearable and Implantable devices for Improved Health Care"と題して 1966年に初めて開発されたマイクロマシン神経インターフェース 以降のワイヤレスの人口内耳や脳刺激システム、網膜 刺激システム等の紹介がありました。
(2)江刺先生(東北大)
" Wafer Level Packaging og MEMS"と題して、いろいろな 形態のウエハレベル実装の手法のサーベイ紹介がありました。
(3)N.F. de Rooij(EPFL、スイス)
" MEMS for Space"と題して、宇宙用のクロスコネクト光スイッチ、火星探査用AFM粒子計測システム等宇宙用MEMSの紹介がありました。
【オーラルセッション】
■セッション1(Chemical Microsensors & Microsystems I):6件
■セッション2(Cell Manipulation & Analysis I):7件
■セッション3(Power MEMS):7件
■セッション4(Inertial Sensors):7件
■セッション5(MEMS Resonators I):5件
■セッション6(Optical Detection Technique):5件
■セッション7(Materials & Processes):5件
■セッション8(Biomimetic Systems):5件
■セッション9(RF MEMS):6件
■セッション10(Droplet and Bubble Devices):7件
■セッション11(Packaging and Assembly):7件
■セッション12(Magnetic Devices):7件
■セッション13(Medical Microsystems I):7件
■セッション14(NEMS):7件
■セッション15(Actuators I):7件
■セッション16(Flow & Acoustic Devices):7件
■セッション17(Micro and Nanofluidics):5件
■セッション18(Optical Actguation Techniques):5件
■セッション19(3D Technologies):5件
■セッション20(Mass & Tip-Based Sensors):5件
■セッション21(Chemical Microsensors & Microsystems):7件
■セッション22(Biochemical and Humidity Sensors):7件
■セッション23(Metal MEMS):7件
■セッション24(Physical Sensors):7件
■セッション25(Dielectrophoresis & Separation Techniques):5件
■セッション26(Nanosystems):5件
■セッション27(Robotic Sensors):5件
■セッション28(Optical MEMS I):5件
■セッション29(Medical Microsystems II):7件
■セッション30(Nanoscale Devices):7件
■セッション31(Micropumps):7件
■セッション32(Optical MEMS II):7件
■セッション33(MEMS Resonatorss II):7件
■セッション34(Cell Manipulation & Analysis II):7件
■セッション35(Actuators):7件
■セッション36(Thermal Devices):7件
【ポスターセッション】
■分野1(Actuators):22件
■分野2(BioSensors & BioMicrosystems):47件
■分野3(Chemical Microsensors & Microsystems):27件
■分野4(Materials, Fabrication & Packaging Technologies):58件
■分野5(Mechanical/Physical Sensors & Systems):60件
■分野6(Medical Microsystems):18件
■分野7(Microfluidics):53件
■分野8(Nanoscale Materials & Fabrication Technology Devices & Systems):27件
■分野9(Optical MEMS):23件
■分野10(Power MEMS):17件
■分野11(RF MEMS, Resonators & Oscillators):27件

(武田宗久)

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