2013年3月 1日 (金)

平成24年度第2回BEANS総合研究会@東大駒場リサーチキャンパス


 BEANSプロジェクトが誕生して5年近くたちました。プロジェクトの締めくくりとしての成果発表会と研究員相互の交流など諸々の思いを込めた総合研究会が開催されました。遊佐・藤田校長率いる「BEANS学校」の卒業式でもあります。2月20日(水)午後一番から交流会も含めますと夜まで、5年前のプロジェクト発足会を行ったと同じ東大駒場リサーチキャンパスにて繰り広げられました。2009年から毎年一回ペースでこれまで初夏の時期に4回やってきましたが今回はいわば特別臨時最終版でもありました。

 METIから須藤治課長と大谷公伸係長、NEDOからは大平英二主任研究員、渡辺秀明主査、奥谷英司主査が参加されました。

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 来賓からのご挨拶や遊佐PLからの「プロジェクトの総括」に続き、各センター長などからこれまでの研究の集大成のプリゼンテーションがありました。この総合研究会は内部だけの技術発表会ですので非公開でした。そのため研究の真の狙いや成果の真のインパクトといったことが聞けまして、内部にいる人間から見てもプロジェクト成果の大きさにあらためて驚かされました。竹内昌治Life BEANS、安達千波矢Life BEANS九州、杉山正和3D BEANS、伊藤寿浩Macro BEANS 各センター長、本部からは新田仁部長と福本宏副所長がプリゼンをしました。みんなNHKでやっているスーパープリゼンテーションさながらでした。

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 総合研究会では定番化しましたポスター展示のまえの「インデキシング」は各自持ち時間が1分ながら研究員の個性が満開状態で大いに聞きごたえがありました。約40人のプリゼンののち、ホワイエに張り出したポスターを前にして2部構成でポスター発表がありました。過去4回のポスター発表から生まれた研究員の交流を通じての異分野融合期待を今回も感じました。こんなに企業、大学、国研の研究員らが仲良く、深く、真面目に、真剣に交わる姿はこれを最後に恐らくもう見られないのではないかという思いに駆られました。

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 最後にプロジェクト全体を振り返っての講評がSPLの藤田博之教授からありまして改めてBEANSプロジェクトの存在した意味の重大さが研究員の中に沁みわたっていきました。プロジェクトが開始された2008年7月以前に2年間もかけて多くの関係者の多大な協力のもと、入念な準備作業がなされていたことなど、本プロジェクトの生みの親の青柳桂一研究調整監から明かされた余韻の中に総合研究会が終了しました。 (y.takei)


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MEMS2013参加報告

概要

 MEMS2013MEMS(微小電子機械システム:Micro Electro Mechanical Systems)をキーワードに、様々な分野の研究者が1年に一度集う世界的な会議である。本学会は2013121日から24日の4日間にわたり台湾/台北でおこなわれた。今回は776件のアブストラクトの投稿があり、66件のオーラルセッションと240件のポスターセッションの合わせて306件が採択された。ちなみに去年のパリ開催では採択論文は343件である。776件あった投稿のうち、日本からは181件あり国別では1位であった。2位は175件のアメリカ、3位には97件の中国であり、採択数では日本は92件とアメリカの94件に次いで2位である。分野別で見るとFabricationやμFluidicSystemが多く、バイオ・医療分野に関する発表が多かった。

所感および内容
 本会議においてBEANSプロジェクトの成果であるカーボンナノチューブ(CNT)の修飾技術の結果について、「INTEGRATION OF SINGLE-WALLED CARBON NANOTUBE BUNDLE ON CANTILEVER BY DIELECTROPHORESISという題目でポスター発表をおこなった。ポスターセッションは、2日目の午後13時から2時間かけておこなわれた。参加者も多く私の発表に対して数多くの質問が寄せられ、フランクな雰囲気で議論をおこなうことができた。ポスター発表の際に聞かれた質問としては主に、カンチレバー先端に形成されたCNTのバンドルの直径は100nmよりもっと細くすることができないのか?、架橋したCNTバンドルを引き剥がす際には、CNTよりも電極表面で剥がれることはないのか?ということに集中していた。CNTに興味をもつ研究者が多く、特にCNTの機械的性質を利用した歪みセンサーの研究をおこなっている方が、3次元の構造をもつ電極上にCNTを修飾させる方法について関心をもっており、上手く研究内容を説明することができて良かった。また本学会でカーボンナノチューブやグラフェンを対象とする研究があり、実際デバイスとしての性能、動作を評価した発表など最先端の研究成果に触れることができた。
 私は主にCNTやグラフェンなどの新規材料を用いたセンサーデバイスの情報収集をおこなった。ここではCNTやグラフェンを用いたガスセンシングの発表について以下の2点を報告する。これら2つの研究は、私が現在おこなっているCNTを用いたセンサー開発にとても参考になる内容であり、デバイスの性能を比較する上でも有益な情報であった。

①「A NOVEL GAS SENSOR USING POLYMER DSPERSED LIQUID CRYSTAL DOPED  WITH CARBON NANOTUBES
Yu Tse Lai et al, National Taiwan Univ, Taiwan

 本発表は、液晶にMW-CNTを混合させたものを電極上にパターニングすることで、アセトンを例にVOCガスのセンサー感度が向上したことを紹介していた。一般的に液晶分子はある方向に配向しており、その配向がガス吸着などにより転移することが知られている。そこで筆者らは液晶分子を電極間に配列させ、さらに単位体積当たりの表面積が大きいMW-CNTを液晶分子に混合させることで、センサー感度の向上を試みていた。初期の段階では液晶分子やMW-CNTは基板に対して平行に配向しており、アセトンのガスがこれらの表面に吸着することで配向が転移し、電極間の抵抗値が上昇するというものである。実験はアセトンの濃度(6008600ppm)に対する電極間の抵抗値の変化を液晶のみの場合、あるいはMW-CNTを混合させた場合のセンサー感度の比較をおこなっていた。実験結果から液晶にMW-CNTを混ぜることでセンサー感度が35%向上しかつセンサーの応答時間が短くなることが明らかになった。

②「TRANSPARENT AND FLEXIBLE TOLUENE SENSOR WITH ENHANCED SENSITIVITY ADSORPTION CATALYST-FUNCTIONALIZED GRAPHENE
Jungwook Choi et al, Yonsei Univ, Korea

 
本発表は、電極間に形成したグラフェンにコバルトの金属ポルフィリンを蒸着することでトルエンに対するセンサー感度が向上したことを紹介していた。グラフェンはCNTと同様炭素の六員環構造が2次元に規則正しく配列しており、電気特性や光学特性など様々な点で従来の材料に比べて優れており、今後デバイス応用に期待されている材料の1つである。筆者らは、CVDを用いてシリコン酸化膜の基板上に形成したグラフェン上に電極をパターニングし、さらにコバルト金属ポルフィリンを蒸着した。トルエン10ppmに対するセンサ感度について、グラフェンのみの場合とコバルト金属ポルフィリンを蒸着した場合の比較をおこなった結果、コバルト金属ポルフィリンを導入することで、センサー感度が3.8%から8.3%に上昇することがわかった

Mems2013

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2013年2月 7日 (木)

MEMS2013参加報告(BEANS本部)

■第26回IEEE/MEMS2012国際会議(26th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)が、2013年1月20日(日)~1月24日(木)の日程で、台湾・台北の台北国際コンベンションセンターにて開催されました。マイクロ・ナノテクノロジー分野では、MEMS国際会議は、隔年開催のTransducers(The International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems)と並び、最も重要な国際会議と位置付けられ、アメリカ、ヨーロッパ/アフリカ、及びアジア/オセアニアの3つの地域が持ち回りで毎年開催されています。第26回目にあたる今回の投稿論文数は776件(前回978件)であり、その中から66件のオーラル、240件のポスターが採択され、採択率は合わせて39%と厳選された論文が発表されました。地域別ではアメリカ98件(前回126件)、ヨーロッパ/アフリカ46件(前回54件)、アジア/オセアニアが162件(前回160件)であった。全体の論文数が減る中、アジア/オセアニアは開催地に近いこともあり、前年度と同様を件数を保っていました。


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■BEAMSプロジェクトからは、5件のポスター発表が採択されました。3D BEANSセンターの阿波嵜研究員は、分野11(Chemical Sensors and Systems)の中で、MEMSホットプレート上に形成されたナノフラクタル構造を持つ高感度ガスセンサの作製方法と評価について報告を行行いました。近本研究員(3D BEANSセンター)は、分野1(Fabrication Technologies)の中で、原子間力顕微鏡のプローブに用いるカンチレバーの先端への誘電泳動法を用いて単層CNTのバンドルの形成、及びそのように形成されたCNTカンチレバーの性能評価結果に関して報告を行いました。脇岡研究員(3D BEANSセンター)は、分野13(Micro-Fluidic Components and Systems)の中で、フェムト秒レーザによる改質とエッチングにより形成したナノ流路デバイスを用いたナノ液滴の形成、及び液滴中の酵素反応の蛍光観測結果に関する報告を行いました。Life BEANSセンターの高橋研究員は、分野12(Medical Microsystems)の中で、体内埋め込み蛍光ハイドロゲルを用いた携帯型血糖値(グルコース)モニタリングシステムに関する性能評価結果について報告しました。Macro BEANSセンターの張研究員は、分野10(Bio MEMS)の中で、医療・バイオ分野への応用を念頭にした、中空線維状基材内への体内埋め込み可能な温度センサの作製、及びその評価結果に関する報告を行いました。各ポスターとも多くの聴講者が訪れ、熱心な議論がなされていた。このように各分野の専門研究者との生の議論を通して、各研究員は、貴重な情報が収集でき、また、BEANS成果の広報もできたものと思われます。以下に、各研究員の発表の様子を写真で示します。

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■以下に、招待講演の概要、及びオーラルセッションとポスターセッションの件数を示します。


【招待講演】
(1) PHOTOSYNTHETIC AND NON-PHOTOSYNTHETIC PRODUCTION OF FUEL AND CHEMICALS
James Liao, University of California, Los Angeles, USA
 地球上での化石燃料を初めとするエネルギー資源の枯渇やCO2排出量の増加といった環境問題への解決することを念頭に、CO2を原料として炭素系燃料を生成し、太陽光のエネルギーを化学的エネルギーとして蓄積する技術に関する研究開発についての報告が行われました。まず、光合成バクテリアを用いて太陽光エネルギーから生物の各種活動のエネルギー現として用いられるATP(Adenosine TriPhosphate)やCO2固定のための等価当量の人工的な生成の可能性の検討結果が報告されました。具体的には、シアノバクテリアをモデルバクテリアとして用い、適当な生物化学的な駆動力が導入されたと仮定すると、このバクテリアがATPの原料となる各種化学物質の生成に利用できる可能性があることが示されました。また、従来の太陽光発電の課題として、電気的エネルギーを高密度に蓄積できないという問題が示され、それを解決する方策として、CO2を炭素のソース、太陽光発電等から生成された電力を入力エネルギーとして、電気化学的反応炉で各種化学物質ご合成することが提案され、その具体的検討結果、及び可能性が示されました。


(2) NANOPHOTONICS ENABLED BY PLASMONIC METAMATERIALS, NANOTENNAS, AND NANOLASERS
Shangjr (Felix) Gwo, National Tsing-Hua University, TAIWAN
 光学イメージングやリソグラフィ分解能を回折限界より高精細化するための技術として注目されているナノプラズモニクスに関して、3次元プラズモニック結晶やナノアンテナ、ナノレーザーといったデバイスの作製等、最新研究の状況が紹介されました。3次元プラズモニック結晶では、積層過程で各層の表面をプラズマによって酸化処理したAuNP/AgNP超格子フィルムを作製し、この超格子フィルムが近接場光の横波成分と縦波成分と強く結合する3次元プラズモニック結晶として働くことが示されました。また、反射率の減衰がみられる光の波長が超格子の層数に依存してシフトすることが確かめられ、広いスペクトル領域で3次元プラズモン結合の変調が可能であることが示されました。また、直線状に金のキューブを鎖状に配列することで形成したナノアンテナに対して、ある入射光の条件下で、近接場とプラズモン結合が起こり、空間中に光放射が行い(伝播損失がない)プラズモンの伝播モードが鎖中に形成されることが確認されています。ナノレーザーとしては、InGaN/GaNのナノロッドのバンドルやInGaNを核とした単一のInGan/GaNのナノロッドを用いたレーザ発振デバイスが紹介されました。これらのデバイスの特長として、構造的な安定性、熱的安定性、n型/p型双方のドーピングが可能なこと、レーザ発振のためのパンプ光がち小さくて済むこと(パンプ光が小さくても強度が得られること)、単色性に優れること等が強調されました。


(3) LAB ON A CHIP FOR BIOMEDICAL APPLICATION
Albert van den Berg, University of Twente, THE NETHERLANDS
  MEMS技術を用いて、これまで実験室で行われてきた生化学検査での酵素や基質の混合,反応,分離,検出の操作を比較的小さなチップ上に集積化し,これまで実験室で行われてきた一連の操作を自動するデバイス・システム(Lab on a Chip)の応用事例―リチウム濃度測定チップ、受精力検査チップ、血液脳関門(血管と脳との間での物質交換を行う機構)チップ―が行われました。リチウムチップは、双極性障害(躁状態と鬱状態を繰り返す疾病)の患者への唯一の症状緩和のために行うリチウム投与のために、日常的な血液中のリチウム濃度を測定することを目的としたものであり、既に市販製品として実用化されているとのことでした。ガラス毛細管によって作製された誘電泳動チップにより伝導度を計測し、リチウム濃度を計測するシステムの動作原理や性能評価等の紹介が行われました。また、受精力検査チップは、男性の精液中の精子の濃度や運動力を検査するものとして紹介されました。このチップについても高分子有機化合物によって作製され、非常に安価に販売されているとのことでした。また、血液脳関門チップは、様々な神経変性疾患に伴って起こる血液脳関門での機能阻害のメカニズム理解のため、実際の生体内に近い状況をチップ上で実現することを目的としたものとの紹介がありました。現状の血液脳関門チップは、マイクロ流路を用いて不死化した人間の脳内皮細胞が直線的に配置されたもので、血液脳関門モデルの機能が機械的、生化学的に変調できるようになっていました。


【オーラルセッション】 66件(20件);()内は日本からの発表件数
 セッション1(Bio MEMS): 3件(1件)
 セッション2(Bio Inspired MEMS): 4件(3件)
 セッション3A(Mechanical Sensors): 6件(1件)
 セッション3B1(Bio Sensors): 3件(2件)
 セッション3B2(Bio-Mimetic Actuators): 3件(2件)
 セッション4(Fabrication): 3件(0件)
 セッション5(Cell&Diagnosis): 3件(1件)
 セッション6A1(Power MEMS):  3件(0件)
 セッション6A2(High-Q Resonators): 3件(0件)
 セッション6B1(Bio-Inspired Structures): 3件(1件)
 セッション6B2(Cell Tissue Analysis): 3件(2件)
 セッション7(MicrofluidicsⅠ): 3件(1件)
 セッション8(Resonators): 4件(0件)
 セッション9A(Physical MEMS & Others): 6件(1件)
 セッション9B1(Microjets): 3件(2件)
 セッション9B2(Bio Probes): 3件(2件)
 セッション10A(Switches & Probes): 5件(0件)
 セッション10B(MicrofluidicsⅡ): 5件(1件)


【ポスターセッション】 240件(71件);()内は日本からの発表件数
 分野1(Fabrication Technologies); 27件(12件)
 分野2(Packaging Technologies): 3件(2件)
 分野3(Materials and Device Characterization) 27件(8件)
 分野4(Nano-Electro-Mechanical Devices and Systems): 8件(1件)
 分野5(Micro-Actuators): 16件(6件)
 分野6(Mechanical Sensors and Systems); 26件(4件)
 分野7(Physical MEMS (Optical, Thermal, Magneto)): 10件(3件)
 分野8(RF MEMS): 16件(2件)
 分野9(Energy Harvesting and Power MEMS): 23件(3件)
 分野10(Bio MEMS): 21件(8件)
 分野11(Chemical Sensors and Systems): 14件(8件)
 分野12(Medical Microsystems): 22件(7件)
 分野13(Micro-Fluidic Components and Systems): 27件(7件)


■MEMS2013における技術動向の一つの指標として、オーラルとポスターの発表件数の分析を行った結果を以下に示します。


【分野別動向】
 下図は、分野1~分野13で分類した発表件数の割合をグラフで示したものです。(但し、MEMS2013での分野10「Bio MEMS」と分野11「Chemical Sensors and Systems」は、前年度までは「Bio and Chemical Micro Sensors and Systems」(バイオ・化学センサシステム)」と一つの分野であったため、前年度までのデータと比較できるようにグラフではこれらの分野に関しては一つにまとめています。) 全体的な発表件数の傾向は昨年度までと同様です。発表件数が多い分野は、上位から順に、発表⑩バイオ・化学センサシステム、⑫マイクロ流体要素システム、⑥メカニカルセンサシステム、①製造技術、③材料・デバイス特性となっており、多少の順位の入れ替えはあるものの上位5位までは昨年度と同じ分野となっています。また、⑩バイオ・化学センサシステム、⑪医療用マイクロシステム、⑫マイクロ流体要素システムといった、バイオ・化学系の発表が占める割合が増加する傾向にあり、これらの分野の要素技術やデバイス開発がMEMS分野の大きな流れになっている近年の状況は、益々、強まっているものと思われます。また、将来の革新デバイス実現に向けた、新たな製造技術や材料の研究においても、新たな研究成果が継続して発表されており、これは、BEANSの目指すところと一致しています。

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【日本の研究機関の発表動向】
 また、各分野における日本からの発表件数の割合の推移を下図に示します。日本からの発表件数の割合が特に多い分野は、⑩バイオ・化学センサシステム、⑥メカニカルセンサシステム、①製造技術、⑪医療用マイクロシステム等となっています。また、全体の発表件数に占める日本の研究機関の発表件数の割合(全分野に対する日本の発表割合の平均値)である29.7%よりも低いが、⑫マイクロ流体要素システム、③材料・デバイス特性といったところも、比較的、発表件数の割合が高くなっています。(なお、②の実装技術は、今年の発表割合が高くなっているが、全体の発表件数が3件と少ないため、評価対象外としました。)逆に、発表が少ない分野としては、⑧RF-MEMS、⑨エネルギー・パワーMEMS、④ナノデバイスシステムとなっています。全体的な傾向としては、昨年度と同様であり、日本が苦戦している既存のセンサ・デバイス分野から将来の伸びが期待できるバイオ・化学センサや医療デバイス分野への研究の比重がシフトが固定化した模様です。一方、ナノデバイス分野は、デバイス機能の高度化等のため、今後も開発が必要であり、かつ、将来期待されるところですが、日本の出遅れが懸念されます。また、こエネルギー・パワーMEMS分野は、日本が強みとする省エネルギー技術を用いたナノ・マイクロ技術が展開により世界をリードする分野になると期待されますが、現状では、日本の存在感は比較的低いものとなっています。

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■次回は、2014年1月26日(日)~1月30日(木)の日程で、米国・サンフランシスコのハイアット・リージェンシーにて開催されます。アブストラクト締切りが2013年9月10日、採択通知が2013年10月25日となっています。

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2012年12月21日 (金)

2012 MRS Fall Meeting & Exhibit報告

 November 25-30, 2012 @ Boston, MA

米国のMaterials Research Society 主催の国際会議および展示会に参加しました。材料物性科学の国際会議としては世界最大規模とされています。今回は約6,400人の参加者があり、過去最大規模でした。毎回ほぼ同じ時期にBostonの中心部にあるHynes Convention Centerで開催されます。今回はMRS OnDemandを初導入し、一部のセッションや会議風景、そして展示会の様子などのストリーミング映像がネットで公開されていました。

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Hynes Convention Center 内吹き抜け回廊

 

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会場となったHynes Convention Center/各フロアを結ぶエスカレータ群

Registrationが始まった11月25日(日)から早くも特別セッションたとえばRare Metals Workshopやエネルギー問題と地球温暖化対策についての招待講演などがありました。特に米国ではシェールガス産業の成功が、米国の石油や石炭への依存度を急速に減じていて、さまざまな良いインパクトを社会に与えていくことを述べていました。”Sustainability”をキーワードにしてさまざまな議論に発展していました。

 

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大会場での技術発表風景/極めてゆったりとした会場

11月27日(火)からは技術展示会も始まりました。北米を中心にあらゆる物性計測器や分析装置、薄膜形成装置、ナノ材料関係などのキーの技術をもつ大小さまざまな250社以上が出展していました。極低温分野で極めて重要な技術を有する超オタクの或る会社、J社も出展していて、その展示会の充実ぶりには思わずため息が漏れそうになります。単なる商品の展示ではなく見学者が求めているソリューションを提供しえる技術を垣間見ることができるよろず技術相談所のようなというと褒めすぎでしょうか。やたら規模だけが大きい展示会ではなく内容が伴った密度の濃い展示会でした。薄膜技術屋の小生にとっては居心地が良く、この展示会を巡るだけでも元が十分に取れたような気がしました。

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展示会場の風景(1)Boston周辺の企業、MITでの研究と密接に関係

 

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展示会場の風景(2)/広大な会場を埋め尽くした250社の展示ブース

技術セッションは技術分野ごとに細分化されています。たとえば流行のGraphaneを例にとっても用途別に細かに分かれていたりして、それがパラレルセッションだったりするとどれが本当に自分にとって重要なプリゼンなのか瞬時に判断しなければならず、規模の大きな学会はどうも苦手です。技術内容ごとに分かれているだけで内容のレベルは玉石混交のように感じました。著名な研究者の発表の次に大学院生のがあったりします。また大きい会場のほうに重要な発表が多いと思いきや、むしろ狭い会場のほうで注目の発表があったりします。このへんの矛盾が生じてしまうのは、事務局の会場振り分け決定にあたって、各セッションへの投稿数が注目度の判断基準になっているようでした。


技術発表の半分以上がアカデミック分野からのものです。大学と国の研究所の関係者が6割以上を占めるようです。そのせいでしょうか、重箱の隅をつついているだけで何のために何をやって何が得られたがはっきり響いてこない発表が多くみられました。厳しく言えば学生さんの発表機会を提供する教育的効果重視型の国際会議ともいえます。

変わったセッションでは政府系機関ばかりが集まったセッションがありました。どうやったらNSFから研究資金がつくのかについてその秘訣などを教えてくれるのもあり、それによれば提案を複数出すより一つに絞って、それにいろいろ詰め込むほうが有利であることや期限ぎりぎりではなく十分余裕をもって提出することなど披瀝されていました。国家防衛局DTRAから資金を得る場合には大量破壊兵器からの脅威を減らすエアフィルターやバイオセンサなどの関連ですが、あくまでも資金提供の決定権をもつプログラムマネジャーが望む具体的な要望に合わせていかなければならないことなどが披露されていました。

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会議場のロビー風景/窓際ではパソコンを充電しながら仕事する人々

技術発表では以下のようなセッションがありました。先入観も手伝ってか、ほとんどすべての内容がエネルギー・環境問題に絡めているようで、相変わらずCarbon Nanomaterials関係の話題が目立ちました。

Symposium E: Photovoltaic Technologies Materials, Devices and Systems

Symposium F: Oxide Thin Films for Renewable Energy Application

Symposium O: Next-Generation Polymer-based Organic Photovoltaics

Symposium P: Single-Crystalline Organic and Polymer Semiconductors

 Fundamentals and Devices

Symposium SS: Quantitative In Situ Electron Microscopy

Symposium WW: Roll-to-Roll Processing of Electronics and Advanced

                                                       Functionalities

Symposium ZZ: Communicating Social Relevancy in Materials Science

                                                      and EngineeringEducation

Symposium X: MRS Medal Award Presentation

Symposium G: Materials as Tools for Sustainability

Symposium I: Functional Materials for Solid Oxide Fuel Cells

Symposium K: Hierarchically Structured Materials for Energy Conversion

                                                             and Storage

Symposium CC: Optically Active Nanostructures

Symposium VV: Advanced Materials Exploration with Neutrons

                                                            and Synchrotron X-rays

Symposium UU: Scanning Probe MicroscopyFrontiers in Nanotechnology

Symposium D: Energy-Critical Materials

Symposium W: Carbon Nanomaterials

Symposium GG: Mechanical Behavior of Metallic Nanostructured Materials

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AVS2012参加報告

【概要】

 American Vacuum Society (AVS, アメリカ真空協会) International Symposiumは毎年米国で開催され、真空関連技術や半導体、表面科学、マイクロ・ナノテクノロジー等に関した幅広い研究者が世界中から集まる世界レベルの伝統的な国際学会である。本学会においてBEANSプロジェクトの成果である中性粒子ビームを用いたMEMSデバイスのシリコンエッチングを実現した結果について発表することで、世界へ向けて研究成果を公表してその評価を得ると共に、マイクロ・ナノシステムやMEMS、プラズマエッチング技術に関する情報収集を行った。

 本学会では26の部門からトータルで約1300件の講演があり、米国を中心として、ヨーロッパ、日本の他、アジア等の世界各国の研究者が参加していた。
 セッションはApplied Surface Science, Biomaterial, Electronic Material and Processing, Magnetic Interfaces, Graphene and Related Materials, MEMS and NEMS、Nanometer-Scale Science, Plasma Science, Thin Film, Vacuum Technology, 等に分かれており、各セッションでは各分野の著名な研究者らによる招待講演が多数行われると共に一般の研究者・技術者らから最新成果を含む多数の発表が相次いだ。

 筆者は主にMEMS and NEMSとPlasma Scienceのセッションに参加した。MEMS and NEMSのセッションではナノクリスタルダイヤモンドワイヤーを用いたメカニカルスイッチ、カーボンナノチューブを用いた3次元MEMS構造の作製やCMOS-MEMSセンサー、光MEMS、等に関する発表が行われた。Plasma Scienceのセッションでは、大気圧、マイクロプラズマ、FEOL/BEOLエッチング、プラズマモデリング、プラズマ成膜、低ダメージエッチング、等に関する発表があり、Fin型FETやスピントロニクス材料のエッチングに関する講演時には300名程度が収容できる会場が満員となる時がしばしば見られた。

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【研究成果発表】
 MEMS and NEMS Poster Session (MN-TuP4)において、筆者は “Low Damage Etching Process for Fabricating Micro Electro Mechanical Systems (MEMS) Devices using Neutral Beam”と題して、中性粒子ビームによるSiエッチングの研究成果に関するポスター発表を行った。発表ではアパーチャー表面のDLC(Diamond Like Carbon)コート、アパーチャーバイアス及びアパーチャーアスペクト比を最適化することで、線幅約200nm, アスペクト比約20のSiトレンチやカンチレバー等のMEMSパターンを塩素の中性粒子ビームによるエッチングを実現したことを示した。また、Si振動子パターンのエッチングにおいて、中性粒子ビームとDRIEでそれぞれエッチングした場合を比較した結果、中性粒子ビームでエッチングした場合には振動子の側壁面が平滑であり、振動のアドミッタンスがDRIEでエッチングしたものの約50倍高いことを報告した。

この発表に対して、中性粒子ビーム発生の原理や低ダメージである理由(カナダ、DALSA)、どの程度のアスペクト比までエッチング可能であるのか、エッチングレートはどの程度であるのか(東芝)、等の質問があった他、本発表に対して精華大(台湾)やSAMSUNGの研究者らが大いに興味を示し、ナノデバイスの作製には低ダメージエッチングが重要であることや中性粒子ビームエッチングの優位性を議論した。

これらの質疑応答から、中性粒子ビームを利用したMEMSデバイスを提案した研究成果に対する人々の関心の高いことが窺われると共に、中性粒子ビームという革新的技術を今後さらに世界中の研究者・技術者へ広く知らしめることが必要であると感じた。

【関連情報調査】

本学会においては下記のような発表が興味深く、また、聴講することで新たな知見を得ることができた。

<MEMS and NEMS session>

Fabrication of Nanomechanical Switch Based on Ultrananocrystalline Diamond Nanowire(A. V. SUMANT et.al, Argonne National Laboratory)

マイクロ波プラズマCVD法で成膜したグレインサイズが3-5nmのナノクリスタルダイヤモンド膜を、HSQ膜をマスクとしたEBリソグラフィーでパターンニングした後、RIEICPによってエッチングすることで線幅50-100nmのナノワイヤー及びナノメカニカルスイッチを形成した。ナノクリスタルダイヤモンドを用いることで100nsのスイッチング速度を得ることができたという内容の発表。[コメント] 最近、その耐高電圧性等からダイヤモンドパワーデバイス等の開発が発表されており、ダイヤモンドのナノスケール加工は今後重要な技術になると考えられる。本発表によりダイヤモンドのナノスケール加工が従来技術の応用によって可能であることがわかった

Carbon Nanotube Templated MEMS: Three Dimensional Microstructures in Semiconductors, Ceramics, and Metals(R. C. DAVIS et.al, Brigham Young University)

はじめに基板上にFeの触媒層からなるパターンを形成し、そのパターン上の垂直方向に長さ600μm程度のカーボンナノチューブを成長させることで、カンチレバー等の3次元MEMSや半導体、セラッミクスデバイスを形成するというユニークな発想に基づく研究。

[コメント] エッチング等のトップダウン手法によって高アスペクト比の3次元構造を形成することは困難な場合が多いが、本研究のようなボトムアップ手法を用いることでデバイス製造プロセスが容易になることが予想される。しかしながら、本研究の方法を用いることができる材料はカーボンナノチューブ等の垂直成長可能な材料に限られるという制約がある。そのため本研究の方法により、材料は限定されるが3次元構造を比較的容易に形成できる可能性が非常に高いと考えられる。

Plasma Science and Technology session>

[全体の印象] プラズマサイエンス・テクノロジーセッションにおけるデバイス製造プロセスに関係した講演では、FinFETの製造プロセスやプロセスプラズマから発生するVUV/UV起因のダメージに関する発表が目立つという印象を持った。特に、FinFETのチャネルとなる側壁部分への製造プロセス時に発生するプラズマダメージや、最先端の半導体デバイスにおいてSiリセスを引き起こすようなプラズマダメージに注目した発表が複数件見られた。BEANSプロジェクトにおいて筆者らが研究している中性粒子ビームはまさに超低ダメージデバイス製造を目指した研究であり、非常に時宜にかなったテーマであることを痛感した。以下に個別な発表から紹介する。

Molecular Dynamic Simulation of Possible Damage Formation at Vertical Walls of finFET Devices during Plasma Etching Processes(K. Mizotani et.al, Osaka University)

FinFETではSi側壁をゲートチャネルとして用いるため、プラズマエッチング時のイオン衝撃による側壁のダメージ発生が懸念される。そこで、HBrプラズマ中のH+Br+イオンによるSiエッチング時のダメージを分子動力学(MD)法でシミュレーションした。その結果、

H+では基板表面へ到達する程の深いダメージが生じる一方、より重いBr+イオンではH+よりも少ないダメージが生じることがわかったという内容の発表。[コメント] 本研究ではプラズマからのUV/VUV照射の影響は考慮されていないが、イオンとUV/VUV照射の相乗効果によって、より多くのダメージが発生することが予想される。

Controlling Correlations Between Ion and UV/VUV Photon Fluxes in Low Pressure Plasma Material Processing(M. J. Kushner et.al, University of Michigan)

プロセスプラズマ中のUV/VUVはダメージやシナジー効果などの様々な影響を引き起こすことから、プラズマ中のイオンとUV/VUV光子フラックスを個別に制御することが望まれる。そのためにはパルス制御放電が有効であると考えられることから、モンテカルロ(MC)シミュレーションにより、最適な放電条件を予測した。その結果、Ar/Cl2の混合ガスプラズマでは、Duty比に依存してイオンとUV/VUV光子フラックスの比が大きく異なることがわかり、パルスON時に発生する高エネルギー電子がイオンフラックスに比較してより多くのUV/VUV光子フラックスを発生させることがわかった。[コメント] 発表者であるKushner氏はプラズマエッチングにおけるシミュレーション研究の第一人者のひとりであり、彼らのグループを含めたプラズマエッチング関係の研究者らがプラズマ中のイオンとUV/VUVによるプラズマダメージに対して、以前に増して関心を持ち始めたことが窺われた。

New Method of damaged Layer Removal by Atomic Layer Etching for Interconnection in Semiconductor(J. K. Kim et.al, SAMSUNG Electronics)

最先端の微細半導体デバイスにおいては、コンタクトホール底部等にプラズマエッチングによる深さ数十nmのイオン衝撃ダメージが発生し、その影響が顕著になってきている。そこで、Arの中性粒子を用いた基板シリコンの原子層エッチング技術を開発し、基板シリコンのダメージ層を除去した。その方法は塩素ガス分子を基板へ吸着させた後、その吸着層へ低エネルギーのAr中性粒子を照射することで、付加的なダメージを発生させることなく、原子層でのシリコンエッチング反応を生じさせるという発表。[コメント] この発表に対してエッチングレートはどれ位なのか筆者が質問したところ、現在は原子層エッチングプロセスの1サイクルで2分間程度必要なのでエッチングレートとしては0.1nm/min程度ということになるが、サイクル時間の短縮を検討中とのことであった。原子層エッチング技術はエッチング反応を引き起こすための必要最小限のエネルギーを加えるという制限があることから、原理的にエッチングレートを増加させることは困難であると推測できるが、本発表のように数nmのダメージ層のエッチングに用途を限ればエッチングレートが低いことの悪影響は小さくなると考えられる。

Interface trap Generation by VUV/UV Radiation from Fluorocarbon Plasma(M. Fukasawa et.al, Sony Corporation)

プロセスプラズマ中のイオンとUV/VUVによるSiNx:H膜とSi基板との界面に対するダメージをMgF2(>115nm透過), Quartz(>170nm透過), BK7(>300nm透過)の各窓材料を用いたプラズマ照射実験とCV測定による界面トラップ密度測定から評価した。その結果、波長170nm以下のVUV照射では影響が見られず、170nm以上のUV照射により界面トラップ密度が増加することがわかった。また300nm以上の光照射にも影響は見られなかった。これらの結果は、VUV光がSiNx:H膜で吸収されるのに対して、170-300nmUV光はSiNx:H膜を透過してSi基板との界面に到達する為に生じたと考えられる。また、300nm以上の光はSiNx:H膜で反射されることから界面には影響がなかったと考えられる。 [コメント] 本発表は、単にプラズマから照射されるVUVのみならず、被照射膜による吸収、透過、反射も考慮した結果であり、実用的な知見が得られていると思われた。

Analysis of Run-to-Run Variability in the Bosch Process using rf Probe and Emission Spectroscopy Measurements(M. Fradet et al, Universite de Montreal)

BoshプロセスはMEMSデバイス製造に広く用いられているが、量産プロセスにおけるエッチングレート変動等のプロセスバラツキをモニタリングし、制御する必要がある。そこで、RFプローブとプラズマ発光分光により、量産装置におけるBoshプロセス時のプラズマをモニタリングした。その結果、エッチングレート低下とプラズマインピーダンスのリアクタンス成分の低下が連動していることがわかり、エッチングレート低下時にはチャンバーウオールのデポジションが増加していることが推測された。また、エッチング中のFラジカルの発光強度は減少し、デポジションプロセス時のFラジカルは増加していたことから、ウオールのデポジション量がレート変動に関与していることが裏付けられた。[コメント] 本発表は、半導体製造プロセスにおいて盛んに研究されているプロセス均一性もしくはプロセス変動対策に関する報告であるが、MEMS製造プロセスにおいてはあまり注目されていない。今後はMEMSプロセスにおいてもクローズアップされる重要な分野であると思われる。

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2012年12月20日 (木)

MRS Fall Meeting 2012 参加報告


参加した学会の概要

 MRS 2012 Fall Meetingは、アメリカ材料学会MRS (Materials Research Society) の主催する国際会議で、毎年ボストンのHynes Convention Centerおいて開催されており、幅広い材料をカバーした国際学会である。具体的には,材料に関する網羅する内容でセッションの数が52 あり,以下のような大分類として5分類に分けられていた. 

 Materials for Energy Technologies11

    Soft Materials and Biomaterials 10

    Functional materials and Nanomaterials 11

    Structural and Advanced Materials 9

    General 2

 近年のエネルギー分野への注目が集まっており,太陽電池や蓄電池系の新規材料について多くの研究がおこなわれ発表が行われた.

 Macro BEANSセンターにおいて取り組んでいる大面積タッチセンサに用いている有機材料やその加工技術について,functional materials and nanomaterials 内のroll to roll processing of electronic and advanced functionalitiesにおいて発表を行った.

 

学会における調査

 プロジェクトに関係するroll to roll processing of electronic and advanced functionalitiesというセッションについて4日間91件の発表について調査を行った.3点ほど注目すべき研究について以下に紹介する.

1. PEDOT:PSSによる印刷による電子ペーパーの開発(Acreo, Sweden)

銀ペースト電極と色変化の特性を持つPEDOT:PSSの印刷し,電解液についても印刷を行うことでプラスチック上に連続的に低コストで電子ペーパーを製作できる.

2. 薄膜ガラス基板上へのTFTの連続製造(Corning, America)

  耐熱温度が高いガラスを使うことで,プラスチックでは難しい通常の熱処理(1000℃)以上を行ってディスプレイを作る.薄いガラスを使うことでロールtoロールで作ることができる.

3. Electronic skin (UC Berkley America)

 印刷により,電極,カーボンナノチューブによるTFTをプラスチック上に製作,センサ等をスイッチングすることで人工皮膚にする.


プロジェクト研究成果の学会発表とその反応

 Meter-scale Large Area Touch Sensor  with Conductive Polymer based Fabric for Human Motion Monitoringという題名で,MacroBEANSセンターで開発してきた大面積タッチセンサについてポスター発表を行った.発表に対して,使っている材料(PEDOT)の導電性,アプリケーション,どのような回路を使って計測しているかなどの質問があった.他のroll to rollによる製造方法で作られたものとしてはデバイス面積が最も大きいという部分が他の発表との大きな差であり,優位性であることが分かった.

P1010874

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2012年11月28日 (水)

18th North American Regional ISSX meeting報告

標記会議が4日間にわたって開催され,薬物動態研究に従事する約500名の世界中のアカデミア・企業研究者が参加した。会議では、3つの基調講演セッション、3件のkeynote lecture、ならびに10個のシンポジウムテーマで計50件の口頭発表が行われた。また、同時に28の小テーマに別れて258件のポスター発表が行われた。


 基調講演では、(1) MSを用いた画期的な薬物代謝解析方法に関する報告、(2)動物モデルとメタボロミクスを用いた薬物毒性のメカニズム解析に関する報告、(3)抗体医薬の先の生物医薬品開発の紹介、といった内容であった。医薬品開発において、肝臓での薬物動態・毒性の解明が重要な位置を占めているにも関わらず、代謝物やその反応に関わる分子の多様性、定量的解析の必要性、ヒトと動物との種差、といった難しい要素を抱えている。基調講演では最新の創薬トレンドの紹介とともに、これらの要素を乗り越えるためのそれぞれ独自のアプローチを紹介していたので、非常に有意義なものであった。


 ISSX meetingは、アカデミアが少なく、企業の発表が多くの部分を占めているところも大きな特徴であった。発表者の所属が企業系の口演は50件中22件とさすがに過半数を下回るが、ポスター発表件数258件中では207件と約80%を占めていた。


 本報告では、小生の専門であるin vitro解析のための肝細胞培養技術について主に記述する。今回のISSX meetingでは、サンドイッチ培養もしくは肝細胞とクッパー細胞をパターン化した共培養に関する発表が相次いだ。肝細胞とクッパー細胞の共培養は、肝炎などで肝臓が炎症反応を起こしている際の薬物の作用や、薬物等により生じる免疫反応の影響を調べるためのもの。もともとはHepregen社単独の技術のようだが、複数の企業がこの技術を用いた解析を行っており、最近では最もホットな共培養系だと感じた。スフェロイド培養の情報に注意して全体を見ていたが、これを用いた解析例はまったく見られなかったのが意外であった。

一方、活性の高い肝細胞の材料としては、生体の肝臓から得られた初代肝細胞を使用したもののみで、今話題のES/iPS細胞といった幹細胞由来の肝細胞を使用した解析はまったくなかった。幹細胞由来の肝細胞が、ドラッグスクリーニングや薬物動態研究の用途のレベルにはまだまだ到達していないのが現状と言っていいだろう。一方、新たに樹立されたHep-TRU1という肝細胞様細胞株(ヒト肝細胞をSV40で不死化,Corning社)が紹介されており、成熟肝レベルの代謝能発現はともかくとして,酵素誘導プロファイルなどが比較的均一かつ把握可能な不死化肝細胞株には一定のニーズがあることが窺われた。

小生は,胆管から直接胆管代謝物を抽出し測定するという試みに関するポスター発表を行った.会場からは非常に好意的な意見が多く,担当者として嬉しく思った。一方、再現性よく同じ微細胆管構造を作らせ、分析に足る量の代謝物を抽出するプロセスの必要性を問われた。また。ビリルビンの代謝異常は肝毒性の大きな要因の一つとなっているが、本培養系では正常なビリルビン代謝が見えるので、ビリルビン代謝異常の原因解明やモデル作製に用いることも考えられるとの意見もあった。さらに、ヒト肝細胞に見られるロット差は大きな問題となっており、本技術でロット差を改善できるかどうかを問われた。今後は、さらなる製造プロセスの確実化とヒト肝細胞を用いた解析を進める必要があると考えている。

 なお,プログラム・アブストラクト等の情報は,http://www.issx.org/?page=Dallasから入手可能である.

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2012年11月22日 (木)

IEEE SENSORS2012参加報告

Fig1

概要

IEEE SENSORSは、センサーならびに関連分野(材料、システム、応用)に関する世界最大規模の国際会議であり、欧州/アフリカ、アジア/太平洋地域, アメリカの3地域の持ち回りで毎年開催されています。今年は、その11回目の開催として1028日から31日の3日間、台湾の台北にてIEEE SENSORS 2012(http://ieee-sensors2012.org/)が開催されました。世界のセンサー・MEMS専門家が多く集まる本学会にて、Macro BEANSセンターにて行っているマイクロ・ナノ構造大面積・連続製造プロセス技術開発の成果報告と、最新の技術動向の調査を行うため、今回参加を行いました。

発表

本会議は2012102831日の3日間で行われ、キーノートプレゼンテーション3件と通常セッション51件(うちポスターセッション3件)が開催されました。運営委員発表によると投稿件数は1082件で、うち580件の採択が行われたとのことです(採択率54%)。発表の内訳としては、オーラル286件、ポスター314件でした。採択された発表を国別でみると(図1)、台湾が101(奇しくも台北のランドマークである台北101と同じ数)で最も多く、次いでアメリカ99件、日本78件、中国50件という順番でした。学会で行われたセッションの一覧を図2に示します。3日間という短い会期でしたが、連日センサーに関する盛沢山の発表が行われ、センサー分野における本学会の重要性を再認識しました。

Fig2

1 国別発表件数

Fig3_2

2 セッション一覧


成果発表

本出張の目的の一つである発表として、BEANSプロジェクトからは、ポスターセッションにて以下の2件の発表を行いました。

Development of an Implantable Micro Temperature Sensor Fabricated on the Capillary for Biomedical and Microfluidic Monitoring

Zhuoqing Yang, Yi Zhang, Toshihiro Itoh

Low Temperature Deposition of Doped Polycrystalline Silicon at Atmospheric Pressure and its Application to a Strain Gauge

Teruki Naito, Nobuaki Konno, Takashi Tokunaga, Toshihiro Itoh

Fig4_2

3 ポスター発表発表者の様子

技術動向調査

学会では、MacroBEANSセンターのテーマ(非真空プロセス、繊維状デバイス)に関連する報告を中心に聴講を行いました。そのうちのいくつかの報告ついて、以下に紹介します。

Micro-Plasma Field-Effect Transistors (M. Cai, et. al, University of Utah, USA)

大気圧RFヘリウムプラズマを用いて、マイクロプラズマFET(MOPFET)を作製した結果についての報告。通常の半導体ベースのFETとは異なり、プラズマ中の電子とイオンをキャリアとして利用する。利点としては、通常のFETの適用が難しい高温下や電離放射線照射環境下でも動作できる。さらに理論上は極少数のイオンを用いたナノメートル級の電子デバイスを作製できる可能性を秘めている。MOPFET中のプラズマはRF電力源によって励起される。今回、初めて5-10 Vで動作するプラズマスイッチや増幅器が実現できたとのこと。

Low power textile-based wearable sensor platform for pH and temperature monitoring with wireless battery recharge (M.Caldara, et. al, University of Bergamo, Italy)

ウェアラブルセンサー適用にむけた機能性繊維の開発の一つとして、pHメーターの機能を有する繊維を作製した結果についての報告。無毒で有機の酸塩基指示染料をゾルゲル法により布の上に塗布する。読み出しは、低電力の色・温度センサーを用いたセンサー回路と、無線によるデータ送受信・充電装置を用いて行われていた。応用としては、スポーツ工学、医療、環境への用途などが考えられるとのこと。

Transverse Force Sensitivity of photonic crystal fibres (M. Karimi, et. al, City University London, UK)

複屈折特性を有するフォトニック結晶繊維を用いたせん断応力センサーについての報告。4種類の異なるフォトニック結晶について、せん断慮に対する繊維の方位と外力の影響を評価。その結果、少ない複屈折特性を持つフォトニック結晶繊維のほうが、繊維長が長くなるものの、より高い感度を示すことが判明した。PandaBow-tie型の高複屈折率繊維に比べて、フォトニック結晶繊維は低い温度依存性を有し、温度変化が激しい環境下での測定に向いているとのこと。

Setup and Properties of a fully Inkjet Printed Humidity Sensor on PET Substrate (Eric Starke et. al, Technische Universität Dresden, Germany)

PET基板上にインクジェット塗布によって作製した湿度センサーについての報告。導電性の銀電極を、湿度感知層を続けて形成した後、ポリマー粒子を最上層に塗布する。電極塗布条件を最適化することで、センサー領域を削減し、検知部の作製条件を最適化することで、作業性、感度、ヒステリシスともによいセンサーを作製することができたとのこと。

Piezoelectric PDMS Films with Micro Plasma Discharge for Electromechanical Sensors (J-J Wang, et. al, ,National Tsing Hua University, Taiwan)

キャスト法、積層、表面塗布、マイクロ放電の工程を組み合わせることで、圧電性PDMSフィルムの作製を行った結果についての報告。PDMSフィルムの内部に存在しているμmサイズの空孔をPTFE薄膜により表面被覆し、続いてPDMSフィルムの両面にスパッタでAu電極を形成する。その後、電極間に電圧を印加し、空孔内にマイクロプラズマを生成する。マイクロプラズマは、周波数0.5HzAC電界を15min印加することで生成する。放電後、PDMSフィルム内の多孔内に放電による人工誘電分極が形成され、結果として圧電定数d33=1000pC/Nもの強い圧電特性を有するPDMSフィルムを得ることができた。さらに、多孔質構造を調整することでPDMSフィルムの圧電特性を制御することが可能とのこと。

次回開催

 

次回開催となるIEEE SENSORS2013(http://ieee-sensors2012.org/)は、2013114日(日)から6日(木)の3日間の日程で、アメリカのメリーランド州ボルティモアで開催されます。アブストラクトの締め切りは2013417日となっています。 

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2012年11月13日 (火)

MicroTAS2012参加報告

概要

 MEMS関連の最新研究動向の情報収集を行うことを目的に、2012年10月28日(日)から11月1日(木)の5日間の日程で、沖縄コンベンションセンター(沖縄県・宜野湾市)で開催されたμTAS2012(The 16th International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences、チェアマン 東京大学生産技術研究所藤井 輝夫教授)に参加しました。

 本会議は、細胞やDNAをはじめとする様々な生化学分析に必要な機能を、微細加工技術を用いて微小なチップ上に集約したデバイスであるμTAS(Micro-Total Analysis Systems)に関連する技術を中心として、材料・プロセス制御、分析等といった要素技術からデバイス・システム設計といった応用までの幅広いフェーズに渡り、最新の研究状況の報告が行われ、議論が行われる場となっています。
 講演は、Plenaryセッション6件、Oralセッション89件、Posterセッション575件(筆者がプログラムのタイトルからカウントしたものです。μTAS2012事務局からは600件のポスターの採択がされたとの発表がされています。)なお、開催前の事務局の発表によると、本会議には昨年と同程度900名以上の研究者の参加が見込まれていた模様です。(900名以上という数字は、恐らく、事前登録の人数の状況から割り出したものと思われます。)なお、今年の会議では、2日目(11月30日(火))の午後には、”Microfluidics for Ocean Application”と題するSpecial Sessionが開催され、サンゴ礁の生態調査や独立行政法人海洋研究開発機構の科学掘削船「ちきゅう」による海底掘削調査への生化学分析の最新状況が報告されました。海洋国家としての独自性を出した企画で、μTAS会議に新たな風が吹きこまれたように思います。
 なお、沖縄コンベンションセンターは、沖縄県宜野湾市の海岸近くに位置し、周辺にはマリーナ、海浜公園、野球場、リゾートホテル等が並ぶ、非常に落ち着いた環境の中の施設でした。宿泊施設が多い那覇市内の中心地からもバスで30分~40分程度と比較的アクセスも良く、この辺りからバスで通った参加者も大勢いらしたように思われます。なお、本会議は、沖縄コンベンションセンターの施設(会議棟、展示棟、劇場棟)を全て利用して行われていました。3つの会場に挟まれた場所には比較的広い屋外スペースがあり、各セッションの合間にそこで休憩し、次のセッションに向けて気分をリフレッシュすることもできました。

Microtas201201_2


セッションの様子

 Oral Sessionは、3つのセッションがパラレルに開催される形式で、会期を通して多くの研究者が会場に詰めかけ、発表者の報告内容に対して、応用を見据えた技術性能等の技術の有用性に関する質疑応答等、熱い議論が交わされていました。筆者が選択・聴講したSessionのためか、今年の口頭発表の報告内容は、昨年度と比較して、要素技術的な課題解決に取り組むものが多く、デバイス化やシステム化に取り組むものが少なかった印象を受けました。
 また、報告中で実際に作製したデバイスのデモンストレーション・ビデオを紹介する発表も少なくなったように感じました。この分野の流れがより個々のデバイス実現に向けた基盤技術の開発に向かっているのか、日本での開催(日本人の発表が多くなっていること)が影響しているのかは不明ですが、来年以降の動向をみていく必要がありそうです。 また、ポスター発表でも、発表者と訪問者との間で熱心な議論が交わされていました。ここでも、全体的な方向として、生化学分析を用いた診断デバイスの集積化という大きな流れの中で、分析方法や分析対象である微粒子などの操作方法、流路の制御等、基盤的な要素技術の研究に関する発表が目立っていました。各要素技術については、昨年同様、まだまだ最適なものを探索しているという段階であるという印象を受けました。このことから、BEANSプロジェクトで行っている異分野融合というキーワードでのプロセス技術開発も、本会議で議論されている応用分野に十分に展開できるものであると考えられます。


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採択論文の動向

<採択論文の分野>
 本会議の分野全体の動向をみるため、ポスターに採択された論文のカテゴリ別の件数を下図にまとめます。ここで、論文のカテゴリ分けは、μTAS2012のプログラムに掲載されている情報に従っております。論文数が最も多いカテゴリは、細胞や組織の培養、分析といった応用に関する研究である”Cell & Tissue Application”が最も多く、医療・ヘルスケア分野の検査・診断といった応用に関する”Life Science Application”、マイクロ・ナノ流路技術による粒子の操作やデバイスの作製に関する”Microfluidics and Nanofluidics”が続いています。昨年の会議とは、カテゴリが異なっているため、一概には比較できませんが、マイクロ流路技術や医療・ヘルスケアへの応用という切り分けでの研究が多い傾向は変わっていないように思います。



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<国別の採択論文数>
 以下に、OralとPoster Session(Plenary/Special Sessionは除く)の採択論文について、第一筆者の所属機関の国籍別に整理したグラフを示します。第一位は、開催国である日本で194件、米国(155件)、韓国(64件)、台湾(43件)、カナダ(26件)となっており、5位までをアジア勢と北米が占めています。昨年と比較して、全体的な傾向は大きく変わりませんが、昨年の開催国の米国が大きく数を減らし、代わりに今年の開催国である日本が件数を伸ばし順位が入れ替わった他、台湾からの論文数の増加も目立っています。  なお、グラフは示していませんが、Oral Sessionの採択論文だけに注目すると、1位は米国で全体の約4割を占める34件となっており、日本(22件)、韓国(5件)、カナダ(5件)、フランス(5件)と続いています。


Microtas2012g02

<採択論文数上位の研究機関>
 以下に、Oral SessionとPoster Sessionの採択論文について、第一筆者の所属機関の上位10位までを示します。

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BEANSプロジェクト・テーマの報告
 BEANSプロジェクトからは、以下の3件の論文がPoster Sessionに採択されました。

M.2.37 CONTINUOUS EXCHANGE OF BUFFERS OVER A LIPID BILAYER MEMBRANE FORMED IN A GLASS MICROFLUIDIC DEVICE Y. Watanabe1,3, and S. Takeuchi1,2, 1 BEANS Project, JAPAN, 2The University of Tokyo, JAPAN, and 3Olympus Co, JAPAN

W.2.57 A TRANSDERMAL CONTINUOUS GLUCOSE MONITORING SYSTEM WITH AN IMPLANTABLE FLUORESCENT HYDROGEL FIBER AND A WEARABLE PHOTO-DETECTORM. Takahashi1,3, Y. J. Heo2, T. Kawanishi1,3, T. Okitsu2, and S. Takeuchi1,2, 1 BEANS Project, JAPAN, 2The University of Tokyo, JAPAN, and 3TERUMO Co., JAPAN

W.3.95 FABRICATION OF MICROCHANNEL NETWORK IN LIVER TISSUE SPHEROIDS,N. Kojima1,2, S. Takeuchi1,2, and Y. Sakai1,2, 1 University of Tokyo, JAPAN, and 2BEANS Project, JAPAN

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各賞受賞者

Art in Science Award
 Stretching the Rainbow, Yi Zhang, Johns Hopkins University

Lab on a Chip Widmer Award

 T.2.43 Single Cell ELISA, Klaus Eyer, Swiss Federal Institute of Technolog(ETH) Zurich

■Young Researcher Poster Award

MONDAY
 M.8.182 Microfluidic Sample Preparation of Pleural Effusions for Cytodiagnostics, Albert J. MachUniversity of California, Los Angeles

TUESDAY
 T.7.159 Rapid Quantitation of C-Reactive Protein Agglutination with Acoustic-Enabled Microvortices. Arlene Doria, University of California, Irvine

WEDNESDAY
 W.4.120 Microfluidic Fabrication of Polymerized Ionic Liquid Microgels, Zahra Barikbin, National University of Singapore

Lab on a Chip / Corning Inc. Pioneers of Miniaturization Prize
 Prof. Andrew deMello, Swiss Federal Institute of Technolog(ETH) Zurich

Analyrical Chemical Young Innovator Award
 Prof. Amy Elizabeth Herr, University of California, Berkeley

次回開催
 次回のμTAS2013は、University of FreiburgのRoland Zengerle教授をチェアマンとして、2013年10月27日(日)から31日(木)の5日間の日程で、Messe Freiburg(Freiburg, Germany)で開催されます。
 なお、本会議の最後に、今年のチェアマンの藤井輝夫教授(東京大学生産技術研究所)から、来年の会議が無事に成功するよう沖縄の守り神(魔除け)であるシーサーがRoland Zengerle教授に贈られましたので、来年の会議も今年同様、盛況となることは間違いないかと思います。

その他
 本会議では、4日目の31日(水)の夕方には、会場から離れた首里城公園(沖縄県那覇市)内にある首里社館で、Social Event(懇親会)が行われました。筆者は、参加しませんでしたが、開催前の会場の様子を写真におさめましたので、掲載します。当日は、あいにくの雨でしたが、沖縄の美味しい食事とお酒、民族舞踊等を満喫されたことかと思います。

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2012年11月 9日 (金)

BEANS成果発信:NNT2012国際会議

BEANSプロジェクトの研究開発成果の一つとして、様々な形状のマイクロハイブリッドパターンを有するシームレス円筒モールドを用いて、繊維状基材に20m/minの送り速度で高速、且つ連続に熱インプリントする技術を開発しました。この成果を、10月24日から10月26日まで米国カリフォルニア州のナパで開催されたThe 11th International Conference on Nanoimprint and Nanoprint Technology (NNT 2012)にて発表しました。NNTはナノインプリントに関する最新の科学技術の成果が紹介される場で、次世代の半導体製造技術として現時点での到達技術水準や、幅広い応用展開について議論されます。参加者数の平均は100~200名で、今回ナパで開催されるNNT2012は、2002年にサンフランシスコで開催されて以来、11回目になります。来年(2013年)はスペインのバルセロナで開催される予定です。

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NNT2012開催会場のSilverado Resort and Spa

 さて、今回のNNT2012での発表件数は口頭発表で36件、ポスター発表で66件、計102件でした。発表者を地域別で分類すると、開催地である米国からは18件と少なく、欧州が40件と最も件数が多かったのが特徴です。日本からは8件の口頭発表と18件のポスター発表があり、日本を含まないアジア地域の総数が18件であったことからも、日本でのナノインプリント関連の研究開発が活発であることが窺えます。また、カテゴリー別にみると、今回の会議では実用寄りの応用研究が細分化されており、Roll-to-Roll Imprint Lithography(計9件)、Large Area Imprint Lithography(計6件)、Applications(14件)、Bio Applications(計8件)となっており、基礎研究はProcess, Materials and Characterization(計50件)に集約されていました。ナノインプリント関連の研究開発における全体的な傾向としては、円筒モールドを用いたディスプレイ等の大面積デバイスへの製造展開か、多層構造モールドによるアライメント不要の一括成形プロセスによるCMOS等の製造技術に二極化している印象を持ちました。その中で、ガラス基板等、従来のプラスチックやUV硬化性樹脂とは格段に成形が難しい材料へのチャレンジも増えており、その応用範囲の拡がりも見られました。

なお、BEANSプロジェクトからは以下の1件の口頭発表を行いました。

2.2 Manufacturing of smart fibers by high-speed reel-to-reel imprint using cylinder mold

機械加工と三次元フォトリソグラフィーを組み合わせて、モールドパターンが多段構造となっている直径100mmのシームレス円筒モールドを作製した。さらに、この円筒モールドをリールツーリールインプリント装置に組み込み、直径250µmのプラスチック製光ファイバーの表面に、製織工程で縦糸と横糸を位置決めするガイド構造と、摸擬MEMS構造を20m/minの送り速度で高速熱インプリントすることに成功した。(H. Mekaru, et al.)

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NNT2012にて口頭発表する筆者

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(a)円筒モールド表面の多段構造モールドパターンと、(b)リールツーリールインプリントによって加工された直径250µmのプラスチック製光ファイバー表面の成形パターン

 BEANSプロジェクトと関連のあるロールツーロールインプリントでは、モリキュラーインプリント社(アメリカ)、カタランナノテクノロジー研究所(スペイン)、南洋理工大学(シンガポール)、ミシガン大学(アメリカ)、国立台湾大学(台湾)、ヨアンノイム・リサーチ(オーストリア)、ポールシェーレ研究所(スイス)、日立研究所(日本)による8件の口頭発表がありました。3件は熱ナノインプリント関連で、残り5件はUVナノインプリントを対象とした研究開発であり、その内4件はLEDやディスプレイ等の光学部品をターゲットにしており、残り1件は濡れ性を制御した基板表面の改質が目的でした。また、シームレス円筒モールドについては、旭化成(日本)が回転駆動系を組み込んだ電子ビーム描画装置を開発し、直径100mm、幅50mmのシームレス円筒モールドを作製し、その円筒表面上に最小線幅140nm、ピッチ500nmのラインパターンを形成したことを報告していました。ロールツーロールインプリントの成形対象は全てフィルム基材であり、我々のような繊維状基材を加工対象とした報告例はありませんでした。BEANSプロジェクトの発表はキーノートスピーチ後の「Roll-to-Roll Imprint Lithography」セッションに含まれ、招待講演後の最初の一般公演として組まれており、我々の研究成果をPRするには最良の順番でした。我々の発表は異色だったためか多くの参加者を引き付けたようで、特に成形パターンの具体的な用途や繊維状基材ならでは技術的問題点、そしてシームレス円筒モールドの作製方法の詳細について多くの質問を受けました。中には、我々のリールツーリールインプリント装置を購入したいとの相談も受け、本会議における広報は大成功だったと思います。

(銘苅春隆)

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