MEMSセンシング&ネットワークシステム展2026 開催報告 (2026年1月28日~1月30日)
マイクロマシンセンター(MMC)は、2026年1月28日(水)から1月30日(金)までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」を主催しました。
MMCブースでは、研究開発プロジェクトとして「メタサーフェスSiハイパースペクトル赤外光センシングデバイス (MESH: Metasurface Si Hyperspectral Infrared Sensing Device)」、「MEMS事業者連携委員会」の紹介を始め、MNOIC事業、標準化事業、調査研究事業のパネルなどを展示しました。



写真1 MMC展示ブース
ブース展示とともに例年どおり各種講演会も開催いたしました。1月28日は特別シンポジウム「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」、1月29日は午前にTIA-MEMSウインターセミナー/MEMS講習会、午後にSSN研究会公開シンポジウム、MEMS協議会フォーラムを開催しました。
●1月28日10:30~12:30
特別シンポジウム「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」
@西1ホール シーズ&ニーズセミナーB
本シンポジウムでは、MEMS、センサの実用化・応用先として期待される次世代テクノロジー(半導体、5G、IoT、DX、ロボット、AIなど)にフォーカス。経産省、大学、国研、企業のそれぞれのお立場から、MEMS・半導体に関する政策動向、研究開発動向などについてご紹介いただきました。
まず「我が国の半導体政策について」と題して、経済産業省情報産業課デバイス・半導体戦略室 室長補佐 西嶋健人様から、我が国はAIやDXを支える半導体を戦略上の重要物資と位置付け、経済安全保障の観点から国内供給能力の確保を重視しており、具体的には、既存の生産基盤強化、ラピダス等による次世代技術確立、将来技術開発の3ステップを推進中で、2030年度までに10兆円超を支援し、設計や人材育成、装置・素材を含む自律的なデジタルエコシステムの構築と官民投資の拡大を目指しているとのお話がありました。特にMEMSに関連しては、「センサー類やMEMS等も含めて、我が国の経済安全保障上、重要な電子部品について、我が国の自律性・不可欠性を高める取組を検討する」との立場をお話しいただきました。
次に東京科学大学 総合研究院 生体材料工学研究所 センサ医工学分野 教授の三林浩二様から「血液中VOCマーカーのウェアラブル・バイオセンシング」として、三林教授が提唱されている血液情報を非侵襲で取得する次世代ウェアラブル技術についてのお話がありました。物理情報の計測に留まる現状に対し、呼気や皮膚から放出される生体ガスに着目し、肝臓の酵素による高い選択性と光計測を組み合わせ、代謝状態を示すアセトン等を測る「バイオスニファ」を開発し、特に汗の影響が少なく血流豊富な耳道での計測により、日常的な健康管理や疾患診断への活用が期待されている技術であるとの報告がありました。
3番目の講演は、「MEMSパイロットラインを起点にした先端PKG、3D集積への取組展開」というタイトルで、産業技術総合研究所 ハイブリッド機能集積研究部門 研究部門長 薬師寺啓様から、2025年に発足したこの部門において300mmウエハによるハイブリッド接合等の次世代技術の推進と既存のMEMSパイロットラインを拡張し試作から評価まで一貫して支援する新世代ハイブリッドパッケージ拠点の整備を行ったとのお話がありました。さらに産業競争力の強化を目指して設計・製造の横連携を促すために設立した新コンソーシアム「新世代半導体集積システム技術コンソーシアム」のご紹介もございました。
本フォーラム最後は「自動車用センサの現在と将来展望」と題して、株式会社ミライズテクノロジーズ センサ研究開発部 部長 和戸弘幸様から、自動運転用半導体の現状と展望のお話をいただきました。同社はトヨタグループのR&D中核として、パワー・センサ・SoCの開発を推進し、自動運転がAI主導へ進化する中、夜間安全のための低コストサーマルカメラや、GPS補完のための高精度IMU、運転者の状態を検知する生体センサを開発されており、それらセンサ群の重要性を解説いただきました。また、次世代車載SoC開発に注力する自動車用先端SoC技術研究組合についてもご紹介がありました。





写真2 特別シンポジウム
●1月29日10:30~12:00
TIA MEMS ウインターセミナー/MEMS講習会
@会議棟102会議室
例年どおり、主に学生や若手技術者向けにTIAの次世代人材育成事業に協力して実施するTIA-MEMSウインターセミナー/MEMS講習会を開催しました。
まず「マイクロ工学技術で拓く生体模倣システム」と題して、早稲田大学理工学術院基幹理工学部 教授 森本雄矢様から、近年進められているマイクロ加工技術やマイクロ流体デバイス技術を基盤として、バイオや医療などとの異分野融合のうち、特にハイドロゲルのマイクロ加工技術に焦点を当て、細胞とデバイスを融合したバイオハイブリッドシステムの最新の研究事例をご紹介いただきました。
次に「MEMS技術を用いた複合触覚デバイス」と題して、新潟大学工学部 准教授 寒川雅之様からMEMS技術を用いた接触、すべり、振動、温冷を複合的に計測する触覚センサ・提示デバイスの開発についてのご紹介並びに質感計測や触診データ化など感性・ヒューマンインタフェース分野への応用と両技術の統合のビジョンについてご説明がありました。
3番目の講演は、「MEMSマイクロフォンのモノづくりとコトづくり」題して、日清紡マイクロデバイス株式会社 モジュール開発本部 フェロー 口地博行様から、AI の進歩とIoT の普及により音響センサとして使用される機会が増えてきているMEMSマイクロフォンの、工業用途や医療機器など新たな応用領域に適した技術開発とアプリケーション事例についてご紹介いただきました。




写真3 TIAウインターセミナー
●1月29日13:30~15:30
SSN研究会公開シンポジウム「マイクロナノが支えるフロンティア領域」
@会議棟102会議室
フロンティア領域とは、日本の「次の飯のタネ」となるような先端技術領域であり、2040年以降の新産業の創出を目指し、新たな取組みが進んでいます。本シンポジウムでは経産省担当官から直接その取組みを展望いただくとともに、産学よりブレインテック、量子センサという2つのフロンティア技術の最新動向についてご講演をいただきました。
1番目の講演として「フロンティア領域の探索・育成による新産業創出に向けて」というタイトルで経済産業省イノベーション・環境局イノベーション政策課課長補佐 菅 真央様から、日本の将来を担うフロンティア領域の探索と育成に関する施策についてご講演いただきました。2025年度はブレイン・ニューロテックや量子センシングなど6領域を重点領域と選定し、民間だけでは投資が難しい中長期的な先端技術に対して、国が「次なる飯の種」として予算を投じ、従来の委託研究型だけでなく、成果に応じた懸賞金型事業も導入し、産学官やスタートアップと連携しながら、トライ・アンド・エラーを許容する柔軟な体制で社会実装を加速させていくとのお話がありました。
次に「健康・環境にたずさわる微生物利用・制御のためのイメージングおよびデバイス開発」というタイトルで筑波大学生命環境系教授 野村暢彦様から、微生物・動物細胞を極めて低侵襲に観察・診断するため世界最高水準の単一光子検出技術(超伝導転移端センサ(TES))を取り入れた光量子顕微鏡など最先端イメージング技術とそれに付随するデバイス技術のご紹介がありました。
3番目の講演では「AIとニューロテックの融合によるブレイン・マシーン・インタフェースとデジタルツイン神経科学」というタイトルで株式会社アラヤ NeuroAI事業部 ペルソナチームリーダー 濱田 太陽様から、生成AIの発展により人と機械、脳とネットワークが融合する新たな情報基盤が生まれつつあり、そこで注目されているブレイン・マシン・インタフェース(BMI)とデジタルツイン神経科学のインパクトとその課題についてご紹介いただきました。




写真4 SSN研究開発公開シンポジウム
「マイクロナノが支えるフロンティア領域」
●1月29日15:45~16:30
MEMS協議会フォーラム
@会議棟102会議室
本フォーラムでは、我が国MEMS産業の再興を目指して議論を続けているMEMS事業者連携委員会の取組みを中心に、MEMS協議会活動の全容の紹介が行われました。
「我が国MEMS産業の再興に向けて~MMCの研究開発/委員会活動より~」というタイトルで、弊センター専務理事 長谷川 英一から、日本のMEMS産業の再興に向けた戦略と展望について紹介がありました。かつて世界シェアの2割を誇った日本が現在は1割以下まで落ち込んでいる現状を受け、MEMSを経済安全保障に関わる重要技術として政府の半導体戦略に位置づけていただくことの重要性について説明がありました。具体的には、官民一体となった研究開発プロジェクトの獲得を目指す方針を示し、また、国内のファウンドリ拠点の拡充や人材育成、スタートアップ支援を通じて、国際的な競争力を回復させようというMEMS事業者連携委員会の取り組みなどが紹介されました。



写真5 MEMS協議会フォーラム
各講演会の会場は満席となり、今回の講演テーマに対する関心の高さがうかがえました。
2026年度は2026年12月16日~18日、東京ビッグサイト西・南ホールで開催を予定しております。





















