JCK MEMS/NEMS 2023 参加報告
9月17日(日)から9月20日(水)に韓国済州島Ocean Suites Jeju HotelのCanola Hall & Cherry Hall で開催されましたJCK MEMS/NEMS 2023に防衛装備庁安全保障技術研究推進制度の成果報告のため参加しましたので、報告致します。JCK MEMS/NEMSは日本―中国-韓国のMEMS/NEMS(Micro Electro Mechanical Systems / Nano Electro Mechanical Systems)に関するジョイントの会議で、今回が第14回目になります。 日本、韓国、中国の順に持ち回りで開催しており、新型コロナのため、2019年の旭川での開催以来4年ぶりに日本、中国、韓国から研究者が集まっての本格的な対面での会議になりました。
ジェネラルチェアはKIMM(Korea Institute of Machinery & Materials)のDr. Jeongdai Joで、参加者は約60名でした。以下に示す日本、中国、韓国から各1件のプレナリートークと17件の招待講演(日本:3件、中国:4件、韓国:10件)、8件の口頭発表(日本:5件、中国:0件、韓国:3件)、19件のポスター発表(日本:5件、中国:5件、韓国:9件)の計47件の発表があり、MEMS/NEMS分野の最新の研究発表に関して活発な議論がなされました。日本のプレナリートークは富山県立大学の下山学長による「MEMSピエゾ抵抗力センサの応用」でした。
【プレナリートーク】
① Application of MEMS piezo-resistive force sensors (President. Isao Shimoyama, Toyama Prefectural University, JAPAN)
② Empowering MEMS: A journey towards self-powered MEMS technologies (Prof. Jeju National University, KOREA)
③ MEMS techniques towards self-powered sensing and human-machine interaction (Prof. Huicong Liu, Soochow University, CHINA)
国別の発表では韓国22件、日本13件、中国9件で、地元の韓国からの参加者が多いのは当然のことながら、中国からの参加者が少し少なく、何件かはビデオ発表になっていました。詳細のプログラムは以下のURLに記載されていますが、各種センサの応用、パッケージング、加工技術に関する幅広い技術の発表が行われました。韓国、中国のプレナリートークを含め、エネルギーハーベスター関連の発表が少し多かった気がします。
https://www.jckmemsnems2023.com/program
富山県立大学の下山学長のプレナリートークの様子、会場及びポスター発表の様子、集合写真を写真1~写真4にそれぞれ示します。
写真1 下山学長のプレナリートークの様子
写真2 会場の様子
写真3 ポスター発表の様子
写真4 集合写真
今回私は、防衛装備庁が実施する安全保障技術研究推進制度JPJ004596 の委託事業「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC : High Stability Ultra Low Power Atomic Clock )」におけるMEMS技術を活用した耐振動性を有する新しい小型原子時計量子部の試作成果(Development of miniaturized vibration-resistant physics package for chip-scale atomic clock)について口頭発表し、HS-ULPACの技術力の高さをアピールして、研究成果の広報ができたと考えます。
また、テクニカルツアーして、KIER(Korea Institute of Energy Research)の地域組織あるJGRC(Jeju Global Research Center)を訪問ました。済州島には韓国初の陸上及び洋上風力発電機が建設されており、JGRCは陸上・海上の新エネルギーと再生可能エネルギー源を組み合わせたコア技術の開発、統合実証プラットフォームの構築、技術開発のためのグローバル人材の試験・交流・育成の3つの目標を掲げて設立されました。JGRCの概要の説明を受けるとともに、大型風洞や加速腐食試験機等を見学しました。
次回のJCK MEMS/NEMS 2024は2024年9月中旬に中国の成都市で開催されることがアナウンスされました。
(MEMSシステム開発センター長 武田 宗久)