Pj エネ環先導 MEH

2016年7月13日 (水)

MEMSセンシング&ネットワークシステム展の開催準備進む(9月14日-16日)

 MEMS関連の技術・製品・アプリケーションを一堂に展示する「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」の開催準備が進んでいます。
 
 名称:MEMSセンシング&ネットワークシステム展
 会期:2016年9月14日(水)~16日(金)
 会場:パシフィコ横浜

 同時開催:InterOpto/LaserTech/BioOpto Japan/LED JAPAN
 URL:http://www.mems-sensing-network.com/
 
 開催内容を順次ご紹介しますが、今回は「研究開発プロジェクト成果報告会」のプログラムをお伝えします。
 
 名称:研究開発プロジェクト成果報告会
 開催日時:2016年9月15日(木)11:00-14:25
(昼休み1時間を含む)
 趣旨:
様々な社会課題解決のツールとして、センサーを活用したモニタリングシステムに期待が高まっています。本セミナーでは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や国から受託し、研究開発を進めているプロジェクトについて報告します。

第一部  発表者
11:00-
11:30
道路インフラの統合的な常時監視を実現するモニタリングシステムの研究開発
 スーパーアコースティックセンサによる橋梁センシングシステム、フレキシブル面パターンセンサによる橋梁センシングシステム、道路付帯構造物傾斜センシングシステム、法面変位センシングシステム等について 
東京大学教授
 下山 勲
11:30-
12:00
ライフライン系都市インフラのモニタリングシステムの研究開発
 公共的な施設のエネルギー供給管理システム等のライフラインのコアを対象に、無線センサネットワークを構築して、異常検知・交換時期の予測を目指して 
東京大学教授
 伊藤 寿浩
12:00-13:00 昼休み  
第二部   
13:00-
13:20
トリリオンセンサ社会を支える高効率MEMS振動発電デバイスの先導研究
 直径20mm程度の一円玉サイズの面積で発電効率を従来比2桁以上に飛躍的に高めた10mW級の振動発電素子を実現するための設計・製作・評価技術について
東京大学教授
 年吉 洋
13:20-
13:40
「完全自動化」自動車に不可欠な自車位置や周囲環境の革新認識システムの先導研究
 ①分子慣性ジャイロ:自車位置を常に厳密に把握する技術、②分光イメージャ:周辺環境を常に正確に把握する技術、③高精度認識アルゴリズム技術について 
東京大学教授
 下山 勲
13:40-
14:00
モニタリングシステムの構築・運用の革新を目指すセンサ端末同期用原子時計の研究開発
 
産総研
 柳町 真也
14:00-
14:20
牛の受胎率向上と疾病予防のためのウェアラブル生体センシング技術の研究開
 
農水省
 新井 鐘蔵
  成果については展示会ブースにおいても展示・説明を行っておりますので、お立ち寄りください。
  <成果普及部 内田和義>

| | コメント (0)

2016年7月12日 (火)

イノベーションジャパン2016にMEHとIRiSが出展(8月25-26日)

 イノベーションジャパンは今年で13回目となる国内最大規模の産学マッチングイベントであり、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主催し、8月25-26日に東京ビッグサイト西1ホールで開催されます。
 このイノベーションジャパン2016に「高効率MEMS振動発電デバイス先導研究(MEH)」と「革新認識システムIRiSの先導研究」が出展します。それぞれ、パネル展示、デモンストレーション、プレゼンテーションを行いますので、ぜひご来場ください。

(1)「高効率MEMS振動発電デバイス先導研究(MEH」の出展内容
 「トリリオンセンサ社会を支える高効率MEMS振動発電デバイスの研究」として、以下の成果をパネル展示とプレゼンテーションします。
 センサネットワークの稼働には電源は必須で、自立的な環境発電として振動発電に期待が高まっています。しかし現状では発電量の制約からアプリケーション範囲が限られています。エレクトレットとMEMS構造を活用し、電力量を100μWから10mW超を目指す振動発電デバイスの研究開発を報告します。

(2)「革新認識システムIRiSの先導研究」の出展内容
 「完全自動化運転」自動車に不可欠な革新認識システムとして以下の成果をパネル展示とプレゼンテーションを行います。
 ①分子慣性ジャイロ:航空機・宇宙用並みの精度をもち、GPS途絶下でも自車位置の正確な認識が可能な小型・低価格MEMSジャイロ。
 ②分光イメージャー:可視光に加えて赤外光も検知し、雪など悪天下でも200m先までの人や障害物を認識するイメージャー
 ③認識アルゴリズム:イメージャーで検知した画像から、ディープラーニングを駆使して人なのか車なのか等を認識するアルゴリズム
 以上。
 <成果普及部 内田和義>


| | コメント (0)

2016年6月23日 (木)

研究開発プロジェクト(MEH、IRiS)の活動報告

 MMC/NMEMS組合が推進している研究開発プロジェクトにつき、平成27年度の活動成果を報告します。先月はRIMSとUCoMSでしたが、今月はMEHとIRiSについてご報告します。
 
1.「エネルギー・環境新技術先導プログラム/トリリオンセンサ社会を支える高効率MEMS振動発電デバイスの研究」(MEH)
 本先導研究(トリリオンセンサ社会を支える高効率MEMS振動デバイス)においては、次世代トリリオンセンサ社会およびIoT社会に必要不可欠な高効率の小型自立電源(エナジーハーベスタ)として、環境振動から未利用エネルギーを回収するMEMS型の振動発電素子の開発を実施している。本研究ではとくに、MEMS・マイクロマシン技術の新設計・新工法を新たに導入することで、2020年度までに直径20mm程度の一円玉サイズの面積で発電効率を従来比2桁以上に飛躍的に高めた10mW級の振動発電素子を実現するための設計・製作・評価技術を確立することを研究の目的としている。
 
 ①「高密度固体イオンエレクトレットのエナジーハーベスタ応用」における目標は、発電素子の負荷はキャパシタンスへの充電(すなわち容量性負荷)である特性を踏まえ、発電電力のみならず発電電流を増大する観点から設定されている。発電電流は力係数と振動速度の積で表される。このうち、①-(1) 高電荷密度シリコンエレクトレットの形成法の開発の項目では大きな力係数を得るための開発、①-(2) エレクトレット振動発電素子のパッケージ技術と信頼性評価は小さな振動外力でも大きな振動速度を得るための開発を行った。
 
 ②「大容量イオン液体可変キャパシタ技術のエナジーハーベスタ応用」では、エナジーハーベスタ応用のためのイオン液体と、ゲル化のためのポリマー、および、重合開始剤などの選定基準となる知見を得た。また、研究開発項目①の固体イオンエレクトレットとの組合せに必要なパラメータに関しても把握できた。特に、イオン液体を1V/nm程度の絶縁皮膜を持つ液体導体としてモデル化することで、大幅に理解が進んだ。また、ゲル化イオン液体の弾性を利用し、静電引力による電極-イオン液体間の接触界面の面積変化の減少を抑える新たな技術を開発した。
 
 ③「高効率エナジーハーベスタの開発」では、既存の加工装置を用いてインパルス加振タイプのエナジーハーベスタの一次試作品を製作した。
 
 ④「交通インフラでの振動発電デバイスの導入開発」では、想定した交通インフラにおいて、センシングを要するセンサ端末設置場所を設定し、振動環境(振動状態)を計測し、振動の最大加速度と卓越周波数を評価した。
 
 ⑤「オフィス・工場等での環境発電デバイスの導入開発」では、オフィス・工場での主要な振動環境の把握を目的として、人体、空調機、工作機械で振動波形測定と周波数解析を実施した。
 
 ⑥「標準化の戦略立案」では、標準化の戦略立案のためIEC/SC47Fシンガポール会議(6月)、ミンスク会議(10月)に出席し、MEMSエレクトレット振動発電デバイスの審議を通じて国際標準化動向を調査した。
 
2.「エネルギー・環境新技術先導プログラム/究極の省エネを実現する「完全自動化」自動車に不可欠な革新認識システムの研究開発」(IRiS)
 
 究極のエネルギー効率により30%のCO2の削減が見込まれる未来交通システムを実現すべく、従来技術では到達不可能な「完全自動化」自動車を実現するための革新技術として、①分子慣性ジャイロ:自車位置を常に厳密に把握する技術、②分光イメージャ:周辺環境を常に正確に把握する技術、③高精度認識アルゴリズム技術、の三つの未踏認識技術の可能性を確保することを目的としている。先導研究としてそれぞれの技術の可能性について、自動車の実環境を見据えた視点で研究開発・評価を行った。
 
①分子慣性ジャイロ
 分子慣性ジャイロの原理検証のために、慣性力検出センサとしてMEMSフォースセンサチップを設計、試作し、分子慣性ジャイロラージスケールモデルを製作し、既製MEMSジャイロとの比較を行い、分子慣性ジャイロの有効性を確認した。
 また、MEMSフォースセンサチップの試作ラインへの適用について、高感度化に向けた最適形状を得るべくシミュレーションと試作を行った。
 要求仕様の明確化、省エネ効果の見積り精度向上のため、ジャイロ単独での走行が必須となるGPSが途絶するシーンを抽出し、これらのシーンでの走行速度、距離を加味しジャイロの位置精度を算出した。省エネ効果として合計約30%が期待できることが分かった。
 
②分光イメージャ
 ナノアンテナによる光吸収効率の向上により、シリコン単体では吸収できない光を検出可能とする機能の原理検証として、ナノアンテナを試作し、アレイ化したナノアンテナに光を照射したときに、赤外光の吸収を確認した。
分光検出器の試作ラインへの適用として、i線ステッパを用いて、原理検証の電子線描画法によるナノアンテナの同等構造の作成を行った。
物体の識別、人検知の観点から波長域は可視~遠赤と設定し、イメージャの画素間ばらつきの指標であるNETDを精度指標として、既存技術の開発動向を加味し目標値を設定した。
 
③認識アルゴリズム
 疑似同軸光学カメラの作成を用いて、可視画像と遠赤外画像からなる、人を撮影対象としたデータセットを構築した。上記データセットを用いてディープラーニングによる人識別を行い、遠赤外画像の有効性を確認した。さらに、可視画像と遠赤外画像を組み合わせた多波長データを入力としてディープラーニングを行い、人識別に適用することで、識別率が向上することを示した。また、車載を想定した実環境抽出を行った。

以上

| | コメント (0)

2016年2月 3日 (水)

PowerMEMS2015参加報告

 PowerMEMS2015 – the 15th International Conference on Micro and Nanotechnology for Power Generation and Energy Conversion Applicationsが2015年12月1日(火)から4日(金)に,米国マサチューセッツ州ボストンにおいて開催(共催:the Transducers Research Foundation, the Massachusetts Institute of Technology, Northeastern University)され(写真1),NEDO委託事業である高効率MEH振動発電先導研究から2件(芦澤研究員,三屋)の研究成果を口頭発表して参りました.また,その後米国カリフォルニア州クパチーノにあるApple本社を訪れ,振動発電に関してプレゼン,情報収集・意見交換をして参りました.

1

写真1  PowerMEMS2015の会場 

2

写真2  オープニングセッションの様子 

 まず,PowerMEMSに関してですが,第1回が2000年に仙台で行なわれてから,年々規模,評判,そして研究範囲を大きくしています.15回目となる今回は参加者216名,6件のプレナリートークと,全169の応募の中から,60件の口頭発表(パラレルセッション),75件のポスター発表により行なわれ,マイクロ,ナノのエネルギー関連の国際学会としては最大級の規模でした.
 初日のオープニングセッション(写真2)に続き,プレナリートークではトップバッターとして神戸大学の神野伊策教授が,「Piezoelectric MEMS for energy harvesting」と題してご講演され,機能性マイクロデバイスである圧電MEMSエナジーハーベスタなどについての貴重なご経験や研究成果などをご発表されました.ピエゾタイプは確かに低周波では不利な技術なのですが,高い電気機械変換効率を有しており,エナジーハーベスタだけではなく,高感度なマイクロセンサとしても期待される技術であり,非常に勉強になりました.
 その後,パラレルセッションにて口頭発表がスタートしました.今回,私達の口頭発表はプレナリートーク直後の,最初のエレクトレットセッションにおいて,1番目に芦澤研究員(写真3)の「Impulse-excited energy harvester based on potassium-ion-electret」,3番目に三屋(写真4)の「Soft electret gel for low energy harvesters」の発表であったため非常に注目もされました.

3

写真3 口頭発表(芦澤研究員)の様子

4

写真4 口頭発表(三屋)の様子

 まず芦澤研究員は,カリウムイオンエレクトレットを使ったインパルス振動型のエナジーハーベスタについての研究結果を発表しました.カリウムイオンエレクトレットとは,熱酸化中にアルカリイオンを取り込み作られるエレクトレットで,高アスペクト比のギャップ側壁,またどんな微細な狭ギャップ構造の側壁でも一様に成膜できる技術で,もともとは静岡大学の橋口原教授が考案されました.今回は,この技術を使い環境振動の中でもインパルス振動に特化したエナジーハーベスタを,東京大学の年吉洋教授のグループと共に開発し,LEDを直に接続し,蓄電なしで点灯できる150µW級発電に成功しました.そのデモンストレーションの動画は,多くの方に非常に興味深かったようです.今後はさらに高電荷密度に形成したり,狭ギャップ化することで更なる発電効率のアップを目指しています.
 また,次に三屋が発表したソフトエレクトレットゲルは,他にはないイオン液体を使ったゲル状のエレクトレットで,東京大学の藤田博之教授のグループ,電力中央研究所,及び鷺宮製作所で開発した技術です.このエレクトレットゲルは直に電極と接触しても帯電劣化がなく発電できるため,従来のように大きな重りを細いバネでつるような構造は不要であり,人の動きなどの非常に低い周波数でも堅牢なエネジハーベスタが作ることができる技術です.似た技術として,摩擦発電もありますが,それとは異なり大きな外力を必要としないのが大きな利点です.こちらも今後さらに大きな発電量をめざしています.
 全体を通して,やはりほとんどの研究がまだまだ発電量が低く,現状で使える用途・範囲は限定的な印象でした.いずれにしても,mW級のエネジーハーベスタを安価に実現しなければ,トリリオンセンサユニバースのような爆発的な普及は難しいように感じました.

5

写真5 Apple本社の外観

6_2

写真6 Apple本社前

 PowerMEMSの終了後,西海岸のカリフォルニア州クパチーノを訪れ,Apple本社にて情報収集,および意見交換をして参りました(写真5,6).Apple本社は,クパチーノの閑静な住宅街の中にあり,本社内部は非常にきれいで,多くの国籍の方が働いているという印象でした.また,同じクパチーノの少し離れたところに「Apple Campus 2」を現在建設中で,訪れたときもまさに建設を行っているところでした(写真7).東京ディズニーランドの1.4倍とも言われる規模は,まさに圧巻でした.残念ながら情報管理が非常に厳しいため,情報収集・意見交換の内容を詳しく書くことができず,また,内部の撮影も一切禁止のため内部の写真などもありませんが,我々の研究成果に非常に興味を持たれておりました.これまでにもiPhone,iPadなどを普及させてきた発信力の非常に高い企業です.ウェアラブルデバイスであるApple watchの動向も注目しつつ,今後私たちの技術によって,Apple製品にも新たな流れを作り出せればよいと思いました.

7_2

写真7 建設中のApple Campus 2の様子

(技術研究組合 NMEMS技術研究機構 芦澤久幸,三屋裕幸)

| | コメント (0)

2016年1月14日 (木)

マイクロナノ製作の革新技術に関する全仏会議

Journées Nationales sur les Technologies Emergentes en micro-nanofabrication
(French Symposium on Emerging Technologies in micro- nanofabrication
マイクロナノ製作の革新技術に関する全仏会議
French-Japanese Workshop on Micro & Nanofabrication
マイクロとナノ製造技術に関する日仏ワークショップを併催
2015 年 11 月 18 日~21 日、エコール・セントラル・リヨン、エキュイ、フランス
2015 年 11 月 18 日~21 日 にフランスのリヨン(正確にはリヨン郊外のエキュイ)で開催された JNTE2015 会議(マイクロナノ製作の革新技術に関する全仏会議)に出席し、招待講演をするとともにフランスにおける革新的な微細加工技術の情報収集と討議を行った。出席者は 180 名程度(研究者・博士学生 120 名、修士学生 60 名)で、主としてフランスの方である。日本からは、日仏ワークショップに 10 数名が参加する予定であったが、11 月13日のパリでの事件のため、私以外に東大の浅田教授、三田准教授、京大の小寺教授(微細加工ナノプラットフォーム代表者)ほか 2 名の 6 名が参加した。いわゆる研究者だけでなく、クリーンルームで微細加工に携わるエンジニアや、大学院生の参加や発表が多かった。

Photo_8

JNTE 会場風景

発表は、招待講演が 12 件、一般からの口頭発表が 21 件(リソグラフィー関係 4 件、エッチング関係 4 件、新材料とそのプロセス関係 7 件、複合技術関係 6 件)、ポスター発表が28 件(リソグラフィー関係 8 件、エッチング関係 1 件、新材料とそのプロセス関係13 件、複合技術関係 6 件)。発表内容はプロセスと加工の多岐にわたっており、誘電体・機能酸化膜・圧電薄膜の成膜と加工に始まって、ナノワイヤ作製、ナノリソグラフィー、ブロックコポリマーを用いた自己組織的ナノパターン形成、太陽電池を含む環境発電やエネルギー蓄積デバイス、マイクロナノ加工のバイオや光学への応用までの発表があった。昨今の MEMS関連会議が応用デバイスとその性能評価に偏りがちであるのに対し、加工技術を中心に据えた会議であるため、実際のデバイス作製の工夫や苦労が伝わってきて面白かった。さらにこの会議は「マイクロとナノ製造技術に関する日仏ワークショップ」を併催しており、日本とフランスのナノ加工プラットフォームに関する情報交換が行われた。日本は微細加工ナノプラットフォーム、フランスは RENATECH と称する設備供用ネットワークが共催した。なお、どちらのネットワークも各地の大学や研究機関にある微細加工装置やナノ評価装置を供用して、広く技術を普及する役割を果たしている組織であり、その概要と近年の実績や加工例について 13 件の発表があった。私は、二日目の午前中の第二セッションで In situ TEM Observation and Energy arvestingusing MEMS Actuators and ensors(MEMS のアクチュエータとセンサを用いた TEM その場観察とエネルギーハーベスト)と題する招待講演を行った。NEDO の委託研究業務で得られた振動型環境発電デバイスに関して、そのマイクマシニング加工法の要点と高性能エレクトレットの形成法を発表した。特に、シリコンの異方性ドライエッチング(DRIE)技術が進歩して、高いアスペクト比の静電ギャップが作れるようになると、そこに高性能エレクトレットを形成することにより、発電性能が数倍から十倍程度に向上することを示した。また、他の応用例として透過電子顕微鏡中でナノ物体の機械特性を「その場」計測するMEMS デバイスを紹介した。振動型環境発電デバイスに関しては、特に質問はなかった。

Photo_10
エコールセントラルリヨンキャンパス

Photo_12
藤田の招待講演

                            (東京大学 藤田博之)

続きを読む "マイクロナノ製作の革新技術に関する全仏会議"

| | コメント (0)

2015年4月10日 (金)

トリリオンセンサ社会を支える高効率MEMS振動発電デバイスの研究プロジェクトのキックオフ

 このたび平成26年度「エネルギー・環境新技術先導プログラム」のNEDO公募事業において、技術研究組合NMEMS技術研究機構が受託した「トリリオンセンサ社会を支える高効率MEMS発電デバイスの研究」のテーマが2月27日からスタートしました。それに伴い、推進委員会兼キックオフを4月3日(金)新テクノサロンで実施しました。


 ご来賓として経済産業省やNEDOからのご挨拶を頂き、さらに研究開発管理を受け持つマイクロマシンセンター青柳専務理事からの挨拶のあと推進委員長の藤田先生(東京大学教授)より「エネルギー・環境新技術先導プログラム」のテーマについての思いをお話いただき、その上で、プロジェクトリーダの年吉先生(東京大学教授)より、本テーマの位置付け、概要の説明、決意表明をいただき、研究員全メンバの意識合わせを行いました。
 本テーマは、近い将来に到来するトリリオンセンサ社会には、自立電源を備えたメンテナンスフリーのセンサ端末の普及に向けて、その際必須となる小型高効率のエナジーハーベスタの開発を行うものです。特に低周波数の環境に最適なエレクトレット方式に注目して取り組んで行きます。
そのため、今後取り組む以下の3つの要素技術について個々に計画を発表いただきました。
①高密度固体イオンエレクトレットの形成 ・・・ 橋口先生(静岡大学教授)
②大容量イオン液体キャパシタの形成   ・・・ 鷺宮製作所(再委託先:東京大学)
③高効率エナジーハーベスタの開発  ・・・ 鷺宮製作所
また、実用上の観点からどこにどのような振動源があるのか、交通インフラ、オフィス、ファクトリでの展開の観点で業務管理者より実証ワーキングの取り組みを紹介しました。)
開発期間は2年を予定していますが、来賓の経済産業省からのコメントのとおり、まずは早期に150μWの出力を実現し、目標を少しでも前倒しして取り組みたいと考えています。
 その後の実施した意見交換会では、電力中央研究所、JR東日本、NHK放送技研からの有識者も参加いただき、本研究開発に関する夢のあるディスカッションが繰り広げられました。

(NMEMS技術研究機構主幹研究員 今本)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年3月 5日 (木)

「トリリオンセンサ社会を支える高効率MEMS振動発電デバイス (MEH) の研究」が始動

 このたび平成26年度「エネルギー・環境新技術先導プログラム」のNEDO公募事業において、(技)NMEMS技術研究機構が提案した「トリリオンセンサ社会を支える高効率MEMS振動発電デバイス (MEH) の研究」の研究テーマが採択されました。

 平成26年度「エネルギー・環境新技術先導プログラム」に係る
   実施体制の決定について (2015.3.2)

 平成26年度エネルギー・環境新技術先導プログラム
   採択テーマ一覧 (2015.3.2)

 このNEDO公募事業は、我が国がエネルギー・環境分野の中長期的な課題を解決していくために、原則2030年以降の実用化を見据えた必要となる技術シーズ、特に既存技術の延長とは異なる飛躍的なエネルギー効率の向上や低炭素社会の実現に資する有望な技術の原石を発掘し、将来の国家プロジェクトに繋げて行くことを目的としています。

 私どもが提案した「トリリオンセンサ社会を支える高効率MEMS振動発電デバイスの研究」の研究テーマは、次世代トリリオンセンサ社会に必要不可欠な超高効率の環境振動型発電素子(再生可能エネルギー)の実現を目指すもので、MEMS・マイクロマシン技術の新設計・新工法を新たに導入することで、直径20mm程度の一円玉サイズの面積で発電効率を従来比2桁以上に飛躍的に高めた10mW級の環境発電素子の設計・製作・評価技術を確立することとしています。



 本テーマについては、新年度早々に研究始動となります。皆さまのご支援・ご協力をお願いいたします。

(文責:青柳桂一@NMEMS)

| | コメント (0)