第45回マイクロナノ先端技術交流会 開催報告(2026年5月13日)
2026年5月13日(水)15:00 – 17:00に、第45回マイクロナノ先端技術交流会をオンラインにて開催しました。(同交流会は2003年よりほぼ年2回のペースで開催。)
冒頭に、当センターの長谷川英一専務理事から、MEMSを巡る最近の動きとして、①(MEMS事業者連携委員会などが政策要望をしてきたところ、)「センサー類やMEMS等も含めて、我が国の経済安全保障上、需要な電子部品について、我が国の自律性・不可欠性を高める取組を検討する。」とされたこと。②日本成長戦略の中でも、フィジカル・インテリジェント・システムの中核を担う半導体として「センサーやマイコン等のアナログ・レガシー半導体の重要性も重大。」とされたことなどを報告。また、2025年度産業動向調査報告書「フロンティア領域とMEMS/マイクロナノ技術」の概要として、本報告で選定したフロンティア領域12テーマにおける2040年以降のMEMS/マイクロナノ技術の研究開発の具体例と意義について紹介しました。(本報告書はMMC賛助会員の方はHPから閲覧できます。)
その後、「最新の半導体実装技術とMEMSの融合」をテーマに、産業技術総合研究所 ハイブリッド機能集積研究部門3D集積技術研究グループ 菊地克弥研究グループ長、及び東京大学 生産技術研究所 野村政宏教授にオンラインにてご講演を頂きました。産業界や大学から計175名の参加申込があり大盛況でした。
最初の産総研の菊地様からは、「先端半導体集積化の鍵を握る2.5D/3D実装によるチップレット実装技術」についてご講演頂きました。内容は、実装技術の変遷とチップレットの重要性から、主要な技術と研究開発として、シリコン貫通電極(TSV):デバイス形成後にTSVを作る「ビアラスト(Via Last)」プロセス、次に裏面埋設配線(BBM: Backside Buried Metal): 積層に伴い発生するIRドロップ(電圧低下)や同時スイッチングノイズの低減を目的として、チップ裏面の自由なスペースに埋設配線(トレンチ構造)を形成し、電源ライン(VDD)とGNDラインに、TSVを用いて並列接続するプロセス、また、微細接続技術:低温・低荷重のストレスフリー接続、接続バンプの微細化・高密度化を目的として、先端部の強度が低くテーパー構造を持った錐型バンプの形成技術、さらにハイブリッド接合技術:Cu電極とSiO₂絶縁層の界面を有するウェアをW2W(Wafer-to-Wafer)で接合する技術、多層ウェア接合技術、C2W(Chip to Wafer)で接合する技術をご紹介頂きました。
続いて、東大の野村先生からは、「三次元マイクロ流路を用いた半導体チップ二相冷却技術」についてご講演頂きました。内容は、データセンターの消費電力急増を背景に、半導体チップの高性能化・高密度化に伴う発熱の抑制に対し、従来の空冷や固体冷却では限界に達しつつあるため、それに代わる技術として、単相水冷や液体が気体に変わる際の相変化(潜熱)を利用した二相冷却について紹介頂きました。革新的な単相水冷技術として、チップ背面にMEMS技術で3層構造を形成し、マイクロ流路の狭窄部分でジェット水流を起こすことで、従来の水冷による冷却密度(100W/cm2)より1桁以上高い結果が得られるシステム、野村先生のご研究である二相冷却技術として、潜熱冷却の課題である気泡がマイクロ流路の壁面を覆い、液体が触れなくなるドライアウト現象により冷却効率が低下することを防ぐために、流路の壁面にマイクロピラーを形成し、毛細管現象によって液体を強制的に加熱面に引き込むことでドライアウトを抑制し、最大830W/cm2の熱流束が得られるシステム等についてご紹介頂きました。
今回もご多忙の中、ご講演を頂きましたお二人の先生をはじめ、ご参加を頂きました多くの方々に厚く感謝を申し上げます。
(産業交流部 逆水登志夫)








