7月8日(水)から7月10日(金)に韓国・釜山の国際コンベンションセンターBEXCO(Busan Exhibition Convention center)にて開催されましたJCK MEMS/NEMS 2026に参加しましたので、報告いたします。JCK MEMS/NEMSは日本-中国-韓国のMEMS/NEMS(Micro Electro Mechanical Systems / Nano Electro Mechanical Systems)に関するジョイントの国際会議で、今回が第17回目になります。
今回のジェネラルチェアはKAISTのJungchul Lee先生でしたが、交通事故で入院中とのことで韓国のコチェアであるDGIST(Daegu Gyeongbuk Institute of Science and Technology)のHoe Joon Kim先生が代わりに取り仕切って開催されました。韓国、日本、中国から各1件のプレナリートークと18件の招待講演(日本:3件、中国:4件、韓国:10件、シンガポール:1件)、34件の口頭発表(日本:9件、中国:1件、韓国:24件)、59件のポスター発表(日本:3件、中国:0件、韓国:56件)の計114件の発表があり、MEMS/NEMS分野の最新の研究発表に関して活発な議論がなされました。会場のBEXCO入口、コチェアのHoe Joon Kim先生の開会挨拶、口頭発表会場の様子、ポスター発表の様子及び集合写真を写真1~写真5にそれぞれ示します。

写真1 会場のBEXCO入口

写真2 コチェア(Hoe Joon Kim先生)の 挨拶

写真3 口頭発表会場の様子

写真4 ポスター発表の様子

写真5 集合写真
国別の発表では日本16件、中国6件、韓国91件、シンガポール1件で、開催国の韓国からの発表者がもっとも多かったです。韓国は、最近は海外出張が制限されているため、中国、日本で開催のJCKでは参加者が少なくなっていましたが、今回は91件と前回韓国・済州島で開催されたJCK2023の22件と比較しても非常に多くの韓国からの発表があったのが今回の特徴の一つでした。また、今回JCK以外としてシンガポールから1件の招待講演があったのももう一つの特徴でした。詳細のプログラムは以下のURLからご覧いただけます。
https://drive.google.com/file/d/1Jw2iKYbrKOgFMhSsNrKUjJL3pg8x0fhU/view
初日午前はインバイトセッションとして、以下の韓国、日本、中国から各1件の招待講演の後にプレナリーセッションがありました。インバイトセッションの韓国からの発表のDr. Sanghyun Leeは札幌で開催されたJCK2016の時に学生で参加していたとのことでしたが、今回インバイトセッションで発表するにまで成長されたということで、JCKの目的の一つであるMEMS/NEMS分野の若手の成長を支援するということが実践された良い例であり、非常にうれしいとオープニングセレモニーで日本のコチェアである東大伊藤先生からの発言もありました。プレナリートークは毎年、韓国、日本、中国から各1件の発表がありますが、今回は韓国からはPNUのJong Soo Ko先生からマイクロメッシュに関する発表がありましたが、元々水中ガス検知器として開発していたマイクロメッシュに学生が誤って油をこぼしたことから水油分離機能があることが分かり海上のオイル漏れのオイル回収の用途が発掘されたことを例にSerendipity(偶然)とその後のPerseverance(忍耐)が研究には重要であるとの発表が印象的でした。日本のプレナリートークは京都大学の土屋先生のMEMSリザーバーコンピューティングの話でした。中国からはSUSTechのWang Fei先生からナノマテリアルとMEMSと機械学習を組合わせた高感度ガスセンサの話がありました。
【インバイトセッション】
- Vacuum-assisted Void Removal in Flip-Chip Underfill Encapsulation ( Sanghyun Lee, Korea Maritime and Ocean University, Korea)
- 2x-nm-wide Gate Patterning by Tone Reversal EBL Combined with Semiconductor Fabrication Process (Dr. Sung-Won Youn, AIST, Japan)
- Intelligent Point Diffraction Interferometry for Micro/Nano-Scale Precision Measurement of Aspherical Optics ( Zhuo Zhao, Xi’an Jiaotong University, China)
【プレナリートーク】
- Serendipity and Perseverance in Micromesh Research ( Jong Soo Ko, Pusan National University, Korea)
- MEMS Physical Reservoir Computing for Edge Processing (Dr. Toshiyuki Tsuchiya, Kyoto University, Japan)
- MEMS Gas Sensors - From Nanomaterials, Microelectrodes to Machine Learning ( Wang Fei, Southern University of Science and Technology, China)
午後にはポスターセッションの後に2つのパラレルセッションとして以下のセッションが行われました。今回発表件数が多かったので、パラレルセッションとして開催されました。セッションBは流体・バイオ関連で、セッションAはそれ以外に分かれていました。今回日本からは3件の招待講演と9件の口頭発表がありましたが、内8件がバイオ・流体関連の発表となっていました。
【セッション構成】
A1: Energy Harvesting & Self-Powered Devices
(2招待講演(韓国:1, 中国:1)、4口頭発表(韓国:4))
B1: Microfluidics & Bioassays
(2招待講演(韓国:2)、4口頭発表(韓国:3, 日本:1,))
A2: Wearable & Flexible Sensors
(2招待講演(韓国:2)、4口頭発表(韓国:4))
B2: Cell & Tissue Microsystems
(2招待講演(日本:1, シンガポール:1)、4口頭発表(韓国:2, 日本:2))
2日目は以下の2つのパラレルセッションとクロージングセレモニーの後、Nextronへの見学会が行われました。
【セッション構成】
A3: Nanomaterials & Device Fabrication
(1招待講演(中国:1)、6口頭発表(韓国:6))
B3: Biomedical Sensing & AI
(2招待講演(韓国:1, 日本:1)、4口頭発表(韓国:1, 日本:3,))
A4: Manufacturing & Devices
(2招待講演(韓国:1, 中国:1)、4口頭発表(韓国:1, 日本:3))
B4: Nanofluidics & Materials
(2招待講演(韓国:2)、4口頭発表(韓国:3, 中国:1))
Nextronは釜山国立大学のDr. Hakbeom Moonが2007年に設立した大学発のベンチャーで、「サージアブソーバ」、現代重工業との共同開発を通じて開発した「古い変圧器を診断するための水素ガスセンサの開発」を経て、現在は「マイクロプローブシステム」を製造販売する会社です。パリとシカゴに支店を持ち、日本にも販売代理店を擁してグローバルな展開を行っています。見学会では新社屋にて、会社概要説明及び「マイクロプローブシステム」等の見学を行いました。見学会の様子を写真6に示します。

写真6 NEXTRON見学会の様子
次回のJCK MEMS/NEMS 2027は2027年11月6日(土)~8日(月)に中国の上海で開催されることがジェネラルチェアになる中国の上海交通大学Zhuoqing YANG教授からアナウンスされました。
(MEMSシステム開発センター長 武田 宗久)