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2024年12月27日 (金)

新年のご挨拶(MMC 2024年10大ニュース)

 新年あけましておめでとうございます。

  OECDの世界経済見通しによれば、2024年は世界経済の成長率が3.2%であったところ、2025 年は貿易摩擦や保護主義の高まり、地政学的紛争激化などのリスクもあり、インフレは和らいだものの、3.3%に留まるとの予想をしています。日本については、24年はマイナス0.3%と、G7中最低であったところ、景気刺激策を追い風に25年は1.5%のプラス成長を回復するとされています。

 そのような中において、世界の半導体はWSTS2412月予測によれば、全半導体では11.2%増の6,871億ドルに、そのうちのSensor & ActuatorMEMSとほぼ同義)は7.0%増の200億ドルに拡大するであろうとされています。我が国政府も社会課題の解決と持続的な経済成長の実現に向けては、DXGXの推進を中心に据え、それを支える柱の一つがAI・半導体であるとしています。

 経済産業省においても、半導体・デジタル産業を「国家事業」と位置づけ、20216月に策定した「半導体・デジタル産業戦略」を「経済安全保障推進法」とも関連させて発展させ、その政策的支援を加速されているところですが、MEMSもその波に乗せていただくべく、2023年に当センター内に設置しました「MEMS事業者連携委員会」において、我が国MEMS再興についての検討を精力的に進めています。ただ、現時点ではMEMSは半導体の中で唯一、経済安保の枠外という状況にあることから、その点も含め、さらに議論を深めてまいります。

 また、昨年NEDOから受託しました「未来社会におけるMEMSセンシングデバイスの市場動向及び技術動向調査(SiM)」事業において、2035年を視野とするMEMS研究開発戦略の議論を深めており、これもMEMS再興への一つの重要な活動と位置付けています。

 さらにMNOIC(マイクロナノ・オープンイノベーションセンター)では、老朽化設備の更新を引き続き産業技術総合研究所にお願いしつつも、自前での新規設備投資も行い、MEMSの研究支援や工程受託などのユーザーのご要望に的確にお応えできるよう、運営に努めてまいります。

 さて当センターでは通算35回目にあたるマイクロナノ分野の展示会である「MEMSセンシング&ネットワークシステム展2025」を129日から31日にかけて東京ビッグサイトで開催いたします。今回も会場でのセンターの活動紹介、MNOICの紹介、研究開発報告とともに、各種セミナーを開催し、興味深い様々な技術報告を行います。セミナーの冒頭には経済産業省の情報産業課デバイス・半導体戦略室長に半導体・デジタル戦略関連のご講演をお願いしております。是非、多くの皆様にご来場いただき、今後のMEMSの発展のために当センターに対するご指導・ご支援を賜れれば幸いです。
 皆様方には以下のマイクロマシンセンターの2024年の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

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マイクロマシンセンター
2024年10大ニュース
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1.報告書「我が国MEMS事業者の動向に関する調査」に基づき「MEMS事業者連携委員会」で活発な意見交換を実施
(1)「我が国MEMS事業者の動向に関する調査」報告書を3月にリリース
 産業動向調査委員会は、我が国MEMS産業の再興のため改めてMEMS事業者の動向調査を行い、国内MEMS関連事業者73社、大学・公的研究機関40機関の協力を得て2024年3月に報告書「我が国MEMS事業者の動向に関する調査」並びに調査に協力いただいた法人のディレクトリをまとめました。
(2)MEMS事業者連携委員会で活発な意見交換
2023年11月から始動したMEMS事業者連携委員会では、前述の報告書の中で「MEMS戦略に関する期待」として整理された事項から、我が国のMEMS事業者が抱えている課題の抽出を行い、2024年は委員会を3月、6月、11月に開催し我が国MEMS産業の再興に向けた方向性をめぐって活発な意見交換を行いました。引き続き次回委員会(3月12日開催)ではこれまでの意見を集約し政策提言に向けてのとりまとめを行います。

2.2つのプロジェクト(HS-ULPACとBaMBI)が所望の成果をもって終了
(1)量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)
防衛装備庁令和元年度安全保障技術研究推進制度の中で「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)」のプロジェクトを2020年3月から2023年度まで実施して参りました。この度2024年3月31日をもって、ほぼ所期の目標を達成して終了いたしました。
(2)血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイスおよび行動変容促進システムの研究開発(BaMBI)
2019年度にNEDO委託事業「IoT社会実現のための革新的センシング技術開発」の中でスタートした本事業は2022年度からは株式会社タニタ様主導の2年間の助成事業として継続、この度2024年3月31日に終了いたしました。当センターはウェアラブル中・遠赤外ディテクタプロセス試作を行い、非侵襲で血中成分のトレンドを追うことが可能な試作機を構築することができました。

3.NEDO「未来社会におけるMEMSセンシングデバイスの市場動向及び技術動向調査」を受託
 2024年度に受託した本調査事業では、富山県立大学の下山勲学長を委員長に、東京大学の伊藤寿浩教授と東北大学の田中秀治教授を副委員長とする有識者委員会での議論及び有識者へのヒアリング調査等を通じて、2035年の社会像からのバックキャスト及びMEMS市場/技術動向からのフォアキャストから、日本のMEMS研究開発として実施すべき項目を抽出するとともに、フィージビリティスタディでその研究開発内容を明らかにして、日本のMEMS研究開発戦略を策定しています。

4.MEMS展示会並びにセミナーは来場者増で盛況に終了
例年通り当センターが主催する「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」を2024年1月31日から2月2日までの3日間、東京ビッグサイトで盛況裡に開催しました。会場への来場者は前回より1万人以上多く、MMCブースでは、研究開発プロジェクトの紹介をはじめ、MNOIC事業、標準化事業、MEMS事業者連携委員会の概要などを展示しました。また当センター主催のセミナーは全て展示ホール内のセミナー会場で行われましたが、どのセミナーも満席となるほど盛況で、今回の講演テーマに対する関心の高さがうかがえました。2025年は1月29日~31日、東京ビッグサイト東ホールで開催を予定しております。奮ってのご参加をよろしくお願いいたします。

5.NEDO先導研究プログラム「MESH」の開発は順調に進捗
 電気通信大学、産業技術総合研究所と当センターの連名で実施中の「メタサーフェスSiハイパースペクトル赤外光センシングデバイス」ではプロセスの開発並びに試作が計画通りに進捗しており、当センターではメタサーフェスの試作やマイクロ工学系との融合等を担当しています。

6.MNOIC事業は堅調に推移
 MNOICユーザーの現行製品の継続的な製造および次期製品に向けた開発試作等を請け負う工程受託が堅調に推移している一方で、産総研との連携による研究受託や企業ユーザー向けの研究試作支援など、将来の高機能MEMSデバイスを目指した取り組み案件も着実に増加しています。また、工程の効率化を図るため、新たにリフトオフ装置、レーザマーカ、チップソータを導入し稼働を開始しています。

7.MEMS協議会・海外調査報告会の開催や第27回国際マイクロマシンサミット2024への参加等、国際交流事業を活発化
 新型コロナの影響で5年ぶりの開催となった海外調査報告会を3月4日にハイブリッドで開催し、オンライン109名を含む137名の方にご参加いただき、世界の最新MEMS動向等を広く紹介しました。また、当センターが1995年に開始した国際マイクロマシンサミットも第27回を数え、MEMS協議会副会長の東京大学伊藤寿浩教授をチーフデリゲイトとして、2024年5月、オーストラリアのゴールドコーストに派遣しました。そのほかにも国内外の国際会議等に積極的に参加し、国際交流事業を活発に実施しました。

8.2024年度MEMS協議会・推進委員会とメンバー交流会を開催
 7月10日、虎ノ門APの会場にて2024年度MEMS協議会・推進委員会を開催しました。経済産業省の清水情報産業課デバイス・半導体戦略室長から半導体政策の全体像についてご紹介いただいた後、2024年度の協議会活動、プロジェクトの状況等も含め、出席者の間で活発な意見交換が行われました。委員会終了後はMEMS協議会のメンバー交流会を開催し、ご参加いただいた50名以上の方々の間で、様々に情報交換や懇談が行われました。

9. MEMSの国際標準化事業を積極的に推進
 2021年度に国から受託した国際標準化事業では、薄膜圧電MEMSについての「Temperature and humidity test methods for piezoelectric MEMS cantilevers」と、フレキシブルMEMSデバイスについての「Test method of electrical characteristics under two-directional cyclic bending deformation for flexible micro-electromechanical devices」をIEC(国際電気標準会議)/TC47(Semiconductor devices)/SC47F(MEMS)に提案し承認を受けるという目標を達成し、2024年2月末に終了しました。当センターはSC47F国内審議団体として日本提案の規格案への理解獲得のためIEC会議等で積極的な活動を推進し、IEC/TC47/SC47Fでこれまでに発行されたMEMSに関する国際規格42件のうち、18件を日本提案規格とすることができています。

10.技術研究組合NMEMS技術研究機構の解散
 2011年7月に設立以降、多くの組合員が参加し、9つのプロジェクトを実施してまいりましたが、組合員の技術水準の向上を図るという所期の目的を達成することができましたので、2024年3月27日に開催されました臨時総会におきまして解散することが決議され、2024年3月31日をもって組合は解散いたしました。13年間に亘るご支援・ご協力、誠に有難うございました。

 

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