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2024年10月 4日 (金)

JCK MEMS/NEMS 2024 参加報告

 9月18日(木)から9月21日(土)に中国成都にあるJinjiang HotelのHongbin Hall とFour Seasons Hall で開催されましたJCK MEMS/NEMS 2024に参加しましたので、報告いたします。JCK MEMS/NEMSは日本-中国-韓国のMEMS/NEMS(Micro Electro Mechanical Systems / Nano Electro Mechanical Systems)に関するジョイントの会議で、今回が第15回目になります。 日本、韓国、中国の順に持ち回りで開催しており、新型コロナのため、一時オンラインやハイブリッド開催になりましたが、今回から日本、中国、韓国から研究者が集まっての本格的な対面だけの会議に戻っております。

 今回のジェネラルチェアは四川大学のZhuqing Wang教授で、参加者は過去最大の191名でした。開催国の中国が170名で最も多く、日本は15名、韓国は6名でした。以下に示す中国、韓国、日本から各1件のプレナリーレクチャーと55件の招待講演(日本:3件、中国:51件、韓国:1件)、40件の口頭発表(日本:8件、中国:32件、韓国:0件)、32件のポスター発表(公式詳細データなし)の計127件の発表があり、MEMS/NEMS分野の最新の研究発表に関して活発な議論がなされました。今回は発表件数が多かったため、口頭発表は以下の6セッションが3パラレルセッションで実施されました。日本のプレナリーレクチャーは慶應義塾大学の三木教授による「Design of Medical Devices from Multiple Perspectives」でした。

【プレナリートーク】

① The Sound of Music at the Nanoscale Exploring the Nanoscale World with NEMS Resonators Based on Low Dimensional (Prof. Zenghui Wang, University of Electronics Science and Technology of China, CHINA)
② New Artificial Cell Membrane platform for Electrophysiological Characteristics analysis of Ion Channel in Microfluidics Device (Prof. Tae Song Kim, Korea Institute of Science and Technology, KOREA)
③ Design of Medical Devices from Multiple Perspectives (Prof. Norihisa Miki, Keio University, JAPAN)

【セッション構成】

1) セッション1(10招待講演(中国:9,日本:1)、3口頭発表(中国:3))
Topic 1:Micro/Nano Electro-Mechanical Systems (M/NEMS)
Topic 2:Material & Device Characterization
2) セッション2(8招待講演(中国:7,日本:1)、6口頭発表(中国:5,日本:1))
Topic 1:Micro & Nano Fabrication Including 3D Printing
Topic 2:Modeling & Simulation of Manufacturing Process
3) セッション3(9招待講演(中国:9)、5口頭発表(中国:5))
Topic 1:Micro/Nano-Actuators & Robotics
Topic 2:Medical Engineering Technology
4) セッション4(9招待講演(中国:8,韓国:1)、9口頭発表(中国:7,日本:2))
Topic 1:Micro/Nano-Chemical & Physical Sensors
Topic 2:Micro/Nano-Bio Devices & Systems
5) セッション5(10招待講演(中国:10)、8口頭発表(中国:6,日本:2))
Topic 1:Micro & Nano Electronics Including Flexible Electronics
Topic 2:Micro/Nano-enabled Wearable Devices
6) セッション6(9招待講演(中国:8,日本:1)、9口頭発表(中国:6,日本:3))
Topic 1:Networked Microsystems & IoT Technologies
Topic 2:Integration & Packaging Technologies

 国別の発表では日本12件、中国84件、韓国2件で、開催国の中国からの発表者が多いのは当然のことながら、韓国からの発表者が少し少なかったです。詳細のプログラムは以下のURLからご覧いただけます。
http://jckmemsnems2024.com/public/upload/01/b9acd69709c3b3ea13af6b342a31dd.pdf

 ジェネラルチェアの四川大学Wang教授の開会挨拶、慶應義塾大学の三木教授のプレナリーレクチャーの様子、会場の様子及び集合写真を写真1~写真4にそれぞれ示します。

Jck2024_01写真1 ジェネラルチェア(Wang教授)の 挨拶

Jck2024_02写真2 三木先生のプレナリーレクチャーの様子

Jck2024_03写真3 会場の様子
Jck2024_04写真4 集合写真

 今回私は、「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC : High Stability Ultra Low Power Atomic Clock )」におけるMEMS技術を活用した耐振動性を有する新しい小型原子時計量子部の小型化の成果(The Development of Chip-scale Atomic Clock using Quantum Interference Effect)について招待講演として発表(写真5)し、HS-ULPACの技術力の高さをアピールして、研究成果の広報ができたと考えます。また、セッション6のセッションチェアを務めました。

Jck2024_05写真5 武田の招待講演の様子

 また、テクニカルツアーして、今回のジェネラルチェアの四川大学のWang先生が参画している成都郊外に建設中のNational Industrial Innovation Center of Precision Medicine (NIICPM、写真6)と成都市内にある四川大学のWang先生の研究室を見学しました。四川大学は医学が有名で、中国で5番目くらいにランキングされる大学で、7万人の学生がいるとのことです。
 NIICPMは総額200億円(1B 元)をかけて、精密医学のセンターを新たに建設中です。この中でWang先生のBio Fluidics関連で40億円の予算がついていて、MEMS関連のCRを新たに建設中で2025年に完成とのことでした。1FのショールームでCIICPMの概要説明を受けるとともに、225m2のイエロールーム(装置は未だ入っていない部屋)を見学しました。NIICPMには1200人くらいの研究者がいるとのことでした。成都市内のWang先生の研究室では、100m2のMEMS CR(一般的な日本の大学のCR程度)と実験室を見学しました。学生は50人いるとのことでした。

Jck2024_06写真6  NIICPMの建屋

 次回のJCK MEMS/NEMS 2025は2025年7月初めに日本の沖縄で開催されることが次回ジェネラルチェアを務める東京大学大学院工学系研究科精密工学専攻の伊藤教授からアナウンスされました。次回は日本開催ですので、多数の日本からの参加者に期待したいと思います。


(MEMSシステム開発センター長 武田 宗久)

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