MEMSセンシング&ネットワークシステム展2023 開催報告 (2023年2月1日~3日)
マイクロマシンセンター(MMC)の主催する「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」を2023年2月1日から3日の3日間、東京ビッグサイトで開催し、弊センターは会場出展並びに講演会を実施いたしました。
MMCブースでは、研究開発プロジェクトとして「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC : High Stability Ultra Low Power Atomic Clock)」、「環境調和型MEMS技術の研究開発に関する戦略策定(EfriM : Environment friendly MEMS)」、昨年度から自主検討を開始した「感情センシング・フィードバックシステムの戦略策定」の紹介を始め、MNOIC事業、標準化事業、SSN研究会の概要などを展示しました。
写真1 MMC展示ブース
ブース展示とともに例年通り各種講演会も開催いたしました。
2月1日は特別シンポジウム「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」、2月2日は午前にTIA-MEMS ウインターセミナー MEMS講習会、午後に研究開発プロジェクト、SSN研究会公開シンポジウム、MEMS協議会フォーラムを開催しました。
●2月1日10:30~12:30:
特別シンポジウム
「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」@東1ホール
本シンポジウムでは、MEMS、センサの実用化・応用先として期待される次世代テクノロジー(半導体、5G、IoT、DX、ロボット、AIなど)にフォーカス。次世代MEMS・半導体市場、最先端のMEMS・半導体技術が社会および産業に貢献するビジョンや方向性について、政策動向や最新情報が報告されました。
開会にあたって、MMCの長谷川専務理事より、「今回からMEMS次世代テクノロジーフォーラムからMEMS・半導体次世代フォーラムとしたが、もともとMEMSは国際半導体統計上もセンサという項目で半導体に分類されているが、日本ではロボット⇒マイクロマシン⇒MEMSという発展の経緯から半導体ということがあまり公言されていなかったところ、最近の半導体再興の機運の中で、経産省も製造装置やMEMSなどもまとめて半導体戦略の中で見ていくとの判断をされたことから、MMCとしてもMEMS・半導体フォーラムとしたものである。」旨の挨拶がありました。
それを受けて、最初の講師に立たれたのが経済産業省情報産業課長の金指壽様で、「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」と題して、半導体産業の現状と我が国半導体産業復活の基本戦略の3ステップ(ステップ1:IoT用半導体生産基盤の緊急強化、ステップ2:日米連携による次世代半導体技術基盤、ステップ3:グローバル連携による将来技術基盤)についてご説明いただきました。
次に産業技術総合研究所センシングシステム研究センター副研究センター長一木正聡様から「場でみるセンシングシステム」として、センシング技術により、人間活用あるいは生活環境の場から有意義な情報の抽出・解析を通じた価値創出が求められている中、産総研の直近の成果が価値創出にどのように寄与しているかご紹介いただきました。
3番目の講演は、「セラミックエレクトレットの創成と静電ハーベスターへの展開」というタイトルで、東京理科大工学部准教授田中優実様からは、新規高性能無機エレクトレット材料と本材料の振動型エナジーハーベスターへの応用について、ご報告いただきました。
本シンポジウム最後は「サーマルダイオード赤外線センサMelDIRと熱画像処理技術による活用」と題して、三菱電機の三輪祥太郎様から、赤外線センサMelDIRを活用した熱画像処理技術として深層学習を用いた人体検知技術について解説いただきました。
写真2 特別シンポジウム
●2月2日10:30~12:00:
TIA MEMS ウインターセミナー MEMS講習会
「MEMS最前線 大学におけるMEMS研究の面白さ」@102会議室
今回は、筑波大学と新たにTIAに加わった、東京大学、東北大学の三大学の先生から、MEMSに関係する研究の取組みや最新の研究成果についてご報告いただきました。
最初は「化学、バイオと微細加工」として筑波大学数理物質系教授鈴木裕章先生から化学、バイオ分野で進んでいるデバイスの微小化、集積化、高機能化を実現する微細加工技術についてご説明いただきました。
次に「自分で考えて、作って、評価できる、MEMSの面白さ」として東北大学マイクロシステム融合研究開発センターセンター長・教授 戸津健太郎先生からはMEMS加工の醍醐味について語っていただき、東北大学のクリーンルームの様子も生中継いただきました。
最後は「作って測って世界初」として東京大学教授附属システムデザイン研究センター 基盤デバイス研究部門研究部門長三田吉郎先生からスーパークリーンルームで学生と一緒に世界最高のMEMSを製造する過程についてご説明いただきました。
写真3 TIAウインターセミナー
●2月2日13:00~14:00:
研究開発プロジェクト成果報告会@102会議室
防衛装備庁の委託で2019年度から開始した「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究」の成果である「移動体搭載に向けた小型量子クロック技術の研究開発」として日本電気桐原明宏様から「移動体搭載に向けた小型量子クロック技術の研究開発」として量子干渉効果に基づく小型原子時計について、移動体搭載を想定した安定性向上のための研究開発についてご報告いただきました。
次にNEDO助成事業として実施している「非侵襲連続超高感度血中成分計測デバイス」について「『はかる』から始める行動変容アプローチ ~血中成分モニターの小型高精度化に向けて~」としてタニタ蔦谷孝夫様から研究進捗の経過報告がありました。
写真4 研究開発プロジェクト成果報告会
●2月2日14:15~15:15:
感情センシングと環境調和型MEMSの研究開発シンポジウム
(SSN研究会公開シンポジウム)@102会議室
SSN研究会において次期プロジェクト提案を目指して検討を進めている2つのテーマについての紹介がありました。
セッション1では、人間の感情をセンシングし、それをフィードバックすることで様々な分野で活用する技術が徐々に実用化されつつある感性センシングについての技術動向について「Two-in-one system: 複数脳の同期と共感」として慶應義塾大学教授皆川泰代先生から人の協力行動や相互作用における脳の同期活動について、セッション2では、「自然に溶け込む調和型MEMS (EfriM : Environment friendly MEMS)」が活躍するインフラ分野に関して「BIMとセンサが実現するデジタルツイン」としてオートデスク株式会社アジア太平洋地域 土木事業開発部統括部長福地良彦様からBIMモデルとセンサ情報を統合し可視化することで実現するデジタルツイン技術について事例紹介がありました。
写真5 研究開発プロジェクト成果報告会
●2月2日15:30~16:30:
MEMS協議会フォーラム@102会議室
本フォーラムでは、MEMS協議会として長年続けている「国内外技術」と「産業動向」という2つの調査について最新の報告がありました。
まず、長年MEMSの国際会議運営に携わってきた立命館大学理工学部小西先生から「国際会議発表を通してみるMEMS関連研究の動向」という題目でMEMSの研究開発動向について、わかりやすく解説頂きました。
次に、弊センター長谷川専務理事からマイクロマシンセンター産業動向調査委員会が2022年度に取りまとめている「グリーントランスフォーメーション(Green Transformation : GX)を支えるMEMS」の調査結果報告が行われました。
写真6 MEMS協議会フォーラム
各講演会の会場はほぼ満席で、今回の講演テーマに対する関心の高さがうかがえました。
2023年度は2024年1月31日~2月2日、東京ビッグサイト東ホールで開催を予定しております。
(MEMS協議会 八嶋 昇)
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