第7回海外調査報告会を盛況に開催
第7回MEMS協議会海外調査報告会を2月25日(月)に新テクノサロンで開催し、約40名の方にご参加頂きました(写真1)。このイベントはマイクロマシンセンター/MEMS協議会(MIF)が行っているMEMS関連の海外調査及び国際標準化の最新状況について国際交流事業の一環として報告するものです。今回は以下の5件の報告を行いました。
1.「海外MEMS関連研究開発動向調査」(武田宗久)
2.「IoT社会に向けたセンサ動向調査とMEMS産業動向」(今本浩史)
3.「国際マイクロマシンサミット2018報告」(三原孝士)
4.「MEMS関連の国際会議報告(MEMS2019)」(野田大二)
5.「MEMS国際会議報告(APCOT2018)とMEMS国際標準化に関する活動状況報告」(大中道崇浩)
写真1 会場の様子
MEMS協議会事務局長・長谷川英一からの主催者挨拶(写真2)のあと、最初の報告は「海外MEMS関連研究開発動向調査」と題してMEMS協議会の国際交流担当の武田宗久から、欧州、米国、中国の研究機関、大学、ベンチャー等を訪問し、調査した最新の研究開発動向に関して、欧州研究機関(ドイツのFraunhofer ENAS(Institute for Electro Nano Systems)及びフィンランドのVTT)の研究開発動向、IoTを支える基盤技術の動向、健康・医療分野の動向、自動運転分野の動向、ロボット分野の動向、製造分野の動向に分類して報告しました(写真3)。MEMSの第三の波のアプリであるIoT、健康・医療、自動運転、ロボット関連のMEMS製品の開発が世界で活発に行われている状況が把握できるとともに、ピコセンシング技術がキーとなる製品が多々存在することが分かりました。
写真2 長谷川専務理事の挨拶
写真3 武田からのプレゼンの様子
続いて、「IoT社会に向けたセンサ動向調査とMEMS産業動向」と題して、技術研究組合NMEMS技術研究機構及び一般財団法人マイクロマシンセンターの今本浩史から報告がありました(写真4)。米国MEMS & Sensors Industry Group主催で、2018年10月28日~10月30日の間、米国カリフォルニア州ナパにて開催されましたMEMS & Sensors Executive Congress US 2018(MSEC2018)におけるMEMS&センサの動向調査の結果及びマイクロマシンセンターの産業動向調査委員会の取り組みとして実施しています「IoT社会に向けたセンサ技術動向とMEMS産業動向」の内容について報告がありました。MSECの参加者は減少の傾向にあるようでしたが、MEMSに関係する企業(デバイスメーカ、装置メーカ、センサ利用メーカなど)のExecutiveが中心となってビジネスに関する意見交換が活発に行われていたようです。また、今年の会議ではマシンラーニングがキーワードとして多かったようでした。
写真4 今本氏からの報告の様子
次は「国際マイクロマシンサミット2018報告」と題してMEMS協議会の三原孝士氏が報告しました(写真5)。2018年の第24回「国際マイクロマシンサミット」は5月14日(月)から16日(水)までアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されました。農業や畜産大国のアルゼンチンらしくテーマは”Agro-food & Environment. Other related applications and results from new and highly relevant R&D actions”でした。今回のオーガナイザは、アルゼンチンArgentinean Nanotechnology FoundationのDaniel O. Lupi所長でした。今回は立地的な理由もあって参加者が少なく、13の地域から31名のデリゲイトが参加されました。日本からは今年度から団長が東京大学の下山勲教授から伊藤寿浩教授に変更になり、後マイクロマシンセンターの国際交流担当として三原と合わせて2名が出席しました。一日目は各国の現状を報告するカントリーレビューで、各国の産業&技術政策状況、特に農業や畜産におけるマイクロシステムやセンサに関する話題提供があり、日本からも現在進行中のMEMSやIoTに関する国家プロジェクトの紹介と共に、今回のMMサミットのテーマにマッチした養鶏や畜産でのセンサIoTを使ったセンサシステムの研究状況を、伊藤団長から話題提供をされました。二日目は、個別話題の講演会で、16件の発表と農業や畜産におけるセンサやIoTの取り組みを議論するラウンドテーブルがありました。日本からの発表は昨年に引き続き国際標準化の重要性と各国の参加を呼び掛ける内容でした。2019年のサミットは中国の西安で5月6日から5月10日に開催されます。
写真5 三原氏からの報告の様子
続いて「MEMS関連の国際会議報告-国際会議 MEMS 2019 報告」とのタイトルでMNOICの野田大二氏から2019年1月28日から31日の4日間、韓国ソウルで開催されましたMEMS2019の報告がありました(写真6)。MEMS2019の議長は韓国KAISTのJun-Bo Yoon教授と日本の東京大学竹内昌治教授で、(一財)マイクロマシンセンターもブロンズスポンサーとして支援を行いました。MEMS 2019では投稿論文数677件、採択論文数281件、採択率は41%との紹介があり、その採択論文の内訳は、口頭発表が76件、ポスター発表が205件となっていました。この他にオープンポスターとして61件が選ばれていました。採択論文著者の所属国別件数順位は、1位中国、2位米国、3位日本、4位韓国、5位台湾、以下スエーデン、ドイツ、フランスとなっており、アジアでの開催のためか、全体の約7割がアジアからの発表で占められていました。投稿論文のカテゴリとしてはバイオ、医療関連への投稿が増えてきているようでした。次回はカナダのバンクーバーにて2020年1月に開催予定です。
写真6 野田氏からの報告の様子
最後にMEMS協議会・標準部の大中道崇浩から「MEMS国際会議報告(APCOT2018)とMEMS国際標準化に関する活動状況報告」と題して報告がありました(写真7)。先ずは2018年 6月24日~27日 香港・香港科技大学で開催されました隔年開催の Transducer 技術に関する国際会議であるAsia-Pacific Conference of Transducers and Micro-Nano Technology(APCOT2018)の報告がありました。マイクロマシンセンターでは、「国内外技術動向調査」という取り組みとして、MEMS分野の著名な国際会議等をターゲットにした定点観測的な調査を例年行っており、本国際会議はその調査の対象学会です。国内外技術動向調査は、有識者から成る委員によって分析を行い例年報告書として発行しますが、今回は事務局として学会に参加し、今後の調査報告書の作成により具体的・現実的な側面で支援可能と思います。また、合わせて「MEMS国際標準化に関する活動状況」の報告が同じく大中道崇浩からありました。MEMS国際標準化はIEC(国際電気標準会議)で進められており、日本はMEMS分野を担当する分科委員会SC47Fの幹事国として主導的に推進しています。IECの全体会議は毎年開催され、2018年は10月15日~19日に韓国の釜山で開催されました。また、アドホック会議は2018年6月6日~8日にアメリカ・ハワイのホノルルで開催され、現在審議中の規格案について主査から報告の後、意見交換が実施されました。
写真7 大中道氏からの報告の様子
MEMS協議会の会員サービスとして始めた本海外調査報告会も7回を数えるほど、長期間継続しています。本会へのご参加はリピータが多いことも特徴で、会員交流の側面も有しています。海外の状況はインターネット等で公開されているとは言っても、中々生の情報や、専門化の印象&感想を聞ける機会は少ないのが現実です。今回もSPPテクノロジーの神永様に貴重なコメント(写真8)や、報告会の後に行った会員交流会(写真9)でIoTの最新状況や日本の課題を議論することが出来ました。最後のこの場を借りまして、今後のMEMS協議会への積極的なご参加を引き続きお願いしたいと思います。
写真8 神永氏のコメントの様子
写真9 意見交換会の様子
(MEMS協議会 国際交流担当 武田 宗久)
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