第29回MEMS講習会の報告
2018年2月8日に福岡県において、第29回MEMS講習会を開催致しました。MEMS講習会は、MEMS協議会に所属するMEMSファンドリーネットワーク企業を中心に企画され、都内と地方都市で年に1回ずつ開催しています。
今回は「MEMS技術を利用した地域活性化」をテーマに、公益財団法人福岡県産業・科学技術振興財団との共催で、福岡地区の企業とのビジネス交流を目的として、開催いたしました。今回は、FUJICO(Fukuoka Univ. Jisso Consortium)を中核としたオープンな技術交流会であるフジコミーティングとのコラボにより、半導体実装分野とMEMS分野の双方から総勢56名の研究開発者が集まり、技術の融合による新たな可能性について議論する貴重な場となりました。
写真1 講演会場の様子
写真2 公益財団法人福岡県産業・科学技術振興財団
三次元半導体研究センター 野北 副センター長
講習会では、主催者および共催者の挨拶のあと、本日の基調講演として、九州大学の都甲潔主幹教授から「生態を模倣した味覚・嗅覚センサデバイスの開発」と題して、研究開発されている味覚センサと嗅覚センサについて、ご講演いただきました。開発された味覚センサは、味を数値化することで、曖昧だった消費者のニーズ分析を可能としており、商品開発への応用も進んでいます。味覚センサの製品化は、20年以上も前になされており、蓄積されたデータも多く、うどんやコーヒーなどの好みの地域差や年齢差などの分析結果などをご紹介いただきました。この技術は、これまで官能試験などにより評価してきた商品の味を数値化することで開発効率を向上するだけでなく、将来的には商品に味覚情報を付けることで、自分好みの商品を正確に選べるようになる可能を秘めています。味覚センサの小型化にも取り組まれており、多少お高くても製品化したら購入したいと感じたのは私だけではないでしょう。
もう一つの話題である嗅覚センサは、味覚の数桁上の感度を要求されるもので、爆薬や麻薬などの危険物を犬以上の感度で検知できます。また、空気の質や健康状態の見える化などにより、健康促進に役立つことも期待されます。味覚に比べて嗅覚は、測定対象が複雑ですが、複数の特性の異なるケモレジスタンスセンサと機械学習を組合わせたパターン認識により、分子の識別を可能にするとのことです。大変興味深いご講演で、質疑時間が15分でも不足する程でしたが、豊かな食生活や健康な日常へのご貢献が期待されるご講演でした。
写真3 基調講演 都甲先生
続きまして、本日1件目の特別講演として、九州工業大学の坂本憲児準教授より「マイクロTASチップの医療応用」と題して、アレルギー検査チップと血液粘度測定チップについて、ご講演いただきました。九州工業大学には、半導体LSI開発の設計から製造までを可能とする国内有数の研究センターがあり、そこを活用した研究開発をされています。まず、アレルギー検査チップの背景ですが、社会問題となっている食物アレルギーの増加、特に小児では生命にかかわることが多く、小児向けの低侵襲な検査方法が求められています。そこで、広島大学医学部と連携して、好塩基球分離技術と好塩基球応答可視化技術を組合わせた高信頼で低侵襲な診断技術を確立されたそうです。検査装置はできていますが、検査チップの量産化に向け、磁性体でマイクロ流路を加工できる企業を募集中で、一日も早い製品化が待たれます。
引き続き、生活習慣病の発症や重症化要因マーカーとして注目される血液粘度を簡便・迅速に測定する血液粘度測定チップをご紹介いただきました。従来のように粘度と流体抵抗の相関を利用するのではなく、電気伝導率との相関を利用することで、必要な血液量と処理時間を劇的に減少させることに成功しています。現在は、使い捨ての測定チップを安価に大量生産できる企業や、そのチップを用いた測定器の開発企業を募集中とのことです。どちらのチップも生活に質の向上に寄与するものであり、今回の講習会が、事業化の一助にななれればと感じさせるご講演でした。
写真4 特別講演1 坂本先生
本日2件目の特別講演は、九州工業大学の矢吹智英准教授より、「マイクロ・ナノテクを用いた沸騰熱伝達の計測と促進」と題して、MEMS温度センサを用いた研究成果について、ご講演いただきました。スマホやパソコン、自動車など、CPUやパワーデバイスなどの高密度実装が進み、その効率的な冷却技術が求められています。そのブレークスルー技術として、沸騰熱伝達が注目されており、MEMSセンサを用いたメカニズム解明と、それに基づく冷却技術の開発に取組まれておられます。沸騰熱伝達では、伝熱面での濡れ性が重要な役割を担っており、超親水化することで、限界熱流束を3倍程度に促進できるため、その実現にMEMS加工の利用価値が高いとのことでした。消費電力削減の観点からは、CPUなどから取り去った熱の再利用も重要な課題となりますので、MEMS企業との連携によるMEMS熱発電素子などと組み合わせた冷却システムの開発など、今後の展開が期待されるご講演でした。
写真5 特別講演2 矢吹先生
ここでいったん休憩を挟み、休憩明けからは、半導体実装の研究開発をされているフジコミーティングから4件、福岡県の企業から1件のご講演と、ファンドリーサービス産業委員会のご紹介をさせていただきました。フジコミーティングからの最初のご講演は、株式会社ピーエムティーの三宅賢治氏より、「ミニマルファブによるFOWLP試作ビジネス」と題して、チップ面積を超える広い領域に再配線層を形成するウエハレベルパッケージング技術であるFOWLPの試作ビジネスへのミニマルファブの適用についてご紹介いただきました。多額の費用と時間を要するFOWLP試作に小回りの利くミニマルファブを適用することで、コストの削減や期間を短縮する世界に唯一のビジネスモデルを実現しているとのことです。ご興味のある方は、是非、PMTミニマルファウンドリのHPにアクセスください。これまでの半導体製造からは想像できない目から鱗の世界が広がっています。
写真6 株式会社ピーエムティー 三宅氏
次にローム・アンド・ハース電子材料株式会社の米原良氏より、「三次元配線に最適な感光性電着レジストのご紹介」と題して、ご講演いただきました。光通信の分野で、オプティカルベンチなどの三次元構造への配線形成で、スプレー塗布などの技術と供に用いられたと記憶していますが、逆テーパ部へのレジスト塗布が可能などの利点を持つことから技術開発が進んでおり、露光技術の発展と相まって、その展開が期待される技術となっているようです。MEMSデバイスも三次元構造を持つものが多く、MEMS関連企業にとっては、大変興味深いご講演となりました。
写真7 ローム・アンド・ハース電子材料株式会社 米原氏
フジコミーティングからの3件目のご講演として、三次元半導体研究センターの八木公輔研究員より、「三次元半導体研究センターのSi加工技術」と題して、Deep-RIE技術について、ご講演いただきました。TSV形成時のシードスパッタ工程での不良原因となるスキャロップの軽減を目的として深堀レシピを開発されており、Cuの埋め込み性の改善を図られておられます。Deep-RIEで一般的に用いられるBoschプロセスの他に、非Boschプロセスにも取り組まれており、用途により組合せたり、使い分けたりすることで、多彩な形状制御を実現されています。MEMS企業も様々な形状を加工していますが、その製造レシピを公開しておりませんので、その一端を垣間見た気にさせていただけたご講演でした。
写真8 三次元半導体研究センター 八木研究員
フジコミーティングからの最後のご講演は、三次元半導体研究センターの金山天研究員より「微細配線の高信頼化に向けた取組」と題して、再配線層の高信頼化について、ご講演いただきました。有機インターポーザーの配線の微細化とともに、配線不良が増加しており、その解決策として、Cu配線を保護するキャップメタルのピンホールレス化に取組まれております。材料の最適化や膜厚や皮膜状態の制御手法の検討により、キャップメタル厚5nmでのマイグレーション耐性が大幅に改善されており、今後の技術開発の進展が期待されるご講演でした。
写真9 三次元半導体研究センター 金山研究員
福岡県の企業からのご講演として、アスカコーポレーション株式会社の池田昭和様より「ウエハめっき・ワンストップサービス」と題して、ご講演いただきました。NiやAg、Pd、Ni-Auなどの各種めっきライン、特に主力商品であるUBM・BMワンストップサービスについて、ご紹介いただきました。このサービスでは、表面めっきから裏面めっきまでを一貫加工することにより、短納期、コストや在庫の削減を実現しているとのことです。特徴は、アスカ独自の薄ウエハ(70μm)反り制御技術により、反りの少ない加工を実現している点です。MEMSでも成膜によるウエハの反りが量産時の課題になることが多いので、そういった技術を確立していることは、大きな強みとなると感じます。今後のMEMS企業との更なる連携を期待したいと思います。
写真10 アスカコーポレーション株式会社 池田氏
本日の講習会の最後は、ファンドリーサービス産業委員会の浅野委員長より、「MEMSファンドリーネットワークとサービスのご紹介」と題しまして、MEMSを開発したい企業を支援する仕組みをご紹介させていただきました。また、委員会を構成する大日本印刷、富士電機、日立製作所、みずほ情報総研、メムス・コア、マイクロナノオープンイノベーションセンタのサービスの特徴や、技術支援していただいている産総研の概要をご紹介させていただいた後、別会場を移動して、委員会企業や産総研による技術相談会を開催いたしました。別会場ではありましたが、多数の参加者に足を運んでいただき、活発な議論が交わされ、半導体実装とMEMSとの技術交流を図ることができました。今後、講習会に参加された方々とMEMSファンドリーネットワークとのコラボによる技術開発や製品開発がなされることを期待したいと思います。
写真11 ファンドリーサービス産業委員会 浅野委員長
MEMS講習会の翌日には、三次元半導体研究センターの見学会を開催いたしました。最初に、三次元半導体研究センターの野北寛太副センター長より、三次元半導体研究センターの概要について、ご紹介いただきました。プリント配線板製造技術とシリコン基板製造技術の双方から、研究・開発、試作・評価を支援できる世界で唯一の研究センターとのことで、見学会でも幅広い分野の設備が揃っていることに驚かされました。めっきラインをはじめ、大型基板向けのラミネーターや露光装置、プリント基板用穿孔機や部品実装機など、プリント基板関係の設備の他、シリコン基板向けの設備も揃っており、その試作品を評価する設備と合わせて、総合的な研究が可能な設備を見学させていただきました。これだけの設備を維持管理するのは大変なことと推察いたしますが、研究員の方々が対応されていると伺って、生産技術の伝承が危惧される中で、大変とは思いますが、恵まれた環境で研究できていると感じました。ここで地力をつけた研究者の方々が、企業との連携で、製造業の底上げをしていただけることを祈念して、今回のMEMS講習会のご報告とさえていただきたいと思います。最後に、この企画にご協力いただいたご講演者やフジコミーティングの皆様、ご参加いただいた皆様に、改めて御礼申し上げます
今回は「MEMS技術を利用した地域活性化」をテーマに、公益財団法人福岡県産業・科学技術振興財団との共催で、福岡地区の企業とのビジネス交流を目的として、開催いたしました。今回は、FUJICO(Fukuoka Univ. Jisso Consortium)を中核としたオープンな技術交流会であるフジコミーティングとのコラボにより、半導体実装分野とMEMS分野の双方から総勢56名の研究開発者が集まり、技術の融合による新たな可能性について議論する貴重な場となりました。
写真1 講演会場の様子
写真2 公益財団法人福岡県産業・科学技術振興財団
三次元半導体研究センター 野北 副センター長
講習会では、主催者および共催者の挨拶のあと、本日の基調講演として、九州大学の都甲潔主幹教授から「生態を模倣した味覚・嗅覚センサデバイスの開発」と題して、研究開発されている味覚センサと嗅覚センサについて、ご講演いただきました。開発された味覚センサは、味を数値化することで、曖昧だった消費者のニーズ分析を可能としており、商品開発への応用も進んでいます。味覚センサの製品化は、20年以上も前になされており、蓄積されたデータも多く、うどんやコーヒーなどの好みの地域差や年齢差などの分析結果などをご紹介いただきました。この技術は、これまで官能試験などにより評価してきた商品の味を数値化することで開発効率を向上するだけでなく、将来的には商品に味覚情報を付けることで、自分好みの商品を正確に選べるようになる可能を秘めています。味覚センサの小型化にも取り組まれており、多少お高くても製品化したら購入したいと感じたのは私だけではないでしょう。
もう一つの話題である嗅覚センサは、味覚の数桁上の感度を要求されるもので、爆薬や麻薬などの危険物を犬以上の感度で検知できます。また、空気の質や健康状態の見える化などにより、健康促進に役立つことも期待されます。味覚に比べて嗅覚は、測定対象が複雑ですが、複数の特性の異なるケモレジスタンスセンサと機械学習を組合わせたパターン認識により、分子の識別を可能にするとのことです。大変興味深いご講演で、質疑時間が15分でも不足する程でしたが、豊かな食生活や健康な日常へのご貢献が期待されるご講演でした。
写真3 基調講演 都甲先生
続きまして、本日1件目の特別講演として、九州工業大学の坂本憲児準教授より「マイクロTASチップの医療応用」と題して、アレルギー検査チップと血液粘度測定チップについて、ご講演いただきました。九州工業大学には、半導体LSI開発の設計から製造までを可能とする国内有数の研究センターがあり、そこを活用した研究開発をされています。まず、アレルギー検査チップの背景ですが、社会問題となっている食物アレルギーの増加、特に小児では生命にかかわることが多く、小児向けの低侵襲な検査方法が求められています。そこで、広島大学医学部と連携して、好塩基球分離技術と好塩基球応答可視化技術を組合わせた高信頼で低侵襲な診断技術を確立されたそうです。検査装置はできていますが、検査チップの量産化に向け、磁性体でマイクロ流路を加工できる企業を募集中で、一日も早い製品化が待たれます。
引き続き、生活習慣病の発症や重症化要因マーカーとして注目される血液粘度を簡便・迅速に測定する血液粘度測定チップをご紹介いただきました。従来のように粘度と流体抵抗の相関を利用するのではなく、電気伝導率との相関を利用することで、必要な血液量と処理時間を劇的に減少させることに成功しています。現在は、使い捨ての測定チップを安価に大量生産できる企業や、そのチップを用いた測定器の開発企業を募集中とのことです。どちらのチップも生活に質の向上に寄与するものであり、今回の講習会が、事業化の一助にななれればと感じさせるご講演でした。
写真4 特別講演1 坂本先生
本日2件目の特別講演は、九州工業大学の矢吹智英准教授より、「マイクロ・ナノテクを用いた沸騰熱伝達の計測と促進」と題して、MEMS温度センサを用いた研究成果について、ご講演いただきました。スマホやパソコン、自動車など、CPUやパワーデバイスなどの高密度実装が進み、その効率的な冷却技術が求められています。そのブレークスルー技術として、沸騰熱伝達が注目されており、MEMSセンサを用いたメカニズム解明と、それに基づく冷却技術の開発に取組まれておられます。沸騰熱伝達では、伝熱面での濡れ性が重要な役割を担っており、超親水化することで、限界熱流束を3倍程度に促進できるため、その実現にMEMS加工の利用価値が高いとのことでした。消費電力削減の観点からは、CPUなどから取り去った熱の再利用も重要な課題となりますので、MEMS企業との連携によるMEMS熱発電素子などと組み合わせた冷却システムの開発など、今後の展開が期待されるご講演でした。
写真5 特別講演2 矢吹先生
ここでいったん休憩を挟み、休憩明けからは、半導体実装の研究開発をされているフジコミーティングから4件、福岡県の企業から1件のご講演と、ファンドリーサービス産業委員会のご紹介をさせていただきました。フジコミーティングからの最初のご講演は、株式会社ピーエムティーの三宅賢治氏より、「ミニマルファブによるFOWLP試作ビジネス」と題して、チップ面積を超える広い領域に再配線層を形成するウエハレベルパッケージング技術であるFOWLPの試作ビジネスへのミニマルファブの適用についてご紹介いただきました。多額の費用と時間を要するFOWLP試作に小回りの利くミニマルファブを適用することで、コストの削減や期間を短縮する世界に唯一のビジネスモデルを実現しているとのことです。ご興味のある方は、是非、PMTミニマルファウンドリのHPにアクセスください。これまでの半導体製造からは想像できない目から鱗の世界が広がっています。
写真6 株式会社ピーエムティー 三宅氏
次にローム・アンド・ハース電子材料株式会社の米原良氏より、「三次元配線に最適な感光性電着レジストのご紹介」と題して、ご講演いただきました。光通信の分野で、オプティカルベンチなどの三次元構造への配線形成で、スプレー塗布などの技術と供に用いられたと記憶していますが、逆テーパ部へのレジスト塗布が可能などの利点を持つことから技術開発が進んでおり、露光技術の発展と相まって、その展開が期待される技術となっているようです。MEMSデバイスも三次元構造を持つものが多く、MEMS関連企業にとっては、大変興味深いご講演となりました。
写真7 ローム・アンド・ハース電子材料株式会社 米原氏
フジコミーティングからの3件目のご講演として、三次元半導体研究センターの八木公輔研究員より、「三次元半導体研究センターのSi加工技術」と題して、Deep-RIE技術について、ご講演いただきました。TSV形成時のシードスパッタ工程での不良原因となるスキャロップの軽減を目的として深堀レシピを開発されており、Cuの埋め込み性の改善を図られておられます。Deep-RIEで一般的に用いられるBoschプロセスの他に、非Boschプロセスにも取り組まれており、用途により組合せたり、使い分けたりすることで、多彩な形状制御を実現されています。MEMS企業も様々な形状を加工していますが、その製造レシピを公開しておりませんので、その一端を垣間見た気にさせていただけたご講演でした。
写真8 三次元半導体研究センター 八木研究員
フジコミーティングからの最後のご講演は、三次元半導体研究センターの金山天研究員より「微細配線の高信頼化に向けた取組」と題して、再配線層の高信頼化について、ご講演いただきました。有機インターポーザーの配線の微細化とともに、配線不良が増加しており、その解決策として、Cu配線を保護するキャップメタルのピンホールレス化に取組まれております。材料の最適化や膜厚や皮膜状態の制御手法の検討により、キャップメタル厚5nmでのマイグレーション耐性が大幅に改善されており、今後の技術開発の進展が期待されるご講演でした。
写真9 三次元半導体研究センター 金山研究員
福岡県の企業からのご講演として、アスカコーポレーション株式会社の池田昭和様より「ウエハめっき・ワンストップサービス」と題して、ご講演いただきました。NiやAg、Pd、Ni-Auなどの各種めっきライン、特に主力商品であるUBM・BMワンストップサービスについて、ご紹介いただきました。このサービスでは、表面めっきから裏面めっきまでを一貫加工することにより、短納期、コストや在庫の削減を実現しているとのことです。特徴は、アスカ独自の薄ウエハ(70μm)反り制御技術により、反りの少ない加工を実現している点です。MEMSでも成膜によるウエハの反りが量産時の課題になることが多いので、そういった技術を確立していることは、大きな強みとなると感じます。今後のMEMS企業との更なる連携を期待したいと思います。
写真10 アスカコーポレーション株式会社 池田氏
本日の講習会の最後は、ファンドリーサービス産業委員会の浅野委員長より、「MEMSファンドリーネットワークとサービスのご紹介」と題しまして、MEMSを開発したい企業を支援する仕組みをご紹介させていただきました。また、委員会を構成する大日本印刷、富士電機、日立製作所、みずほ情報総研、メムス・コア、マイクロナノオープンイノベーションセンタのサービスの特徴や、技術支援していただいている産総研の概要をご紹介させていただいた後、別会場を移動して、委員会企業や産総研による技術相談会を開催いたしました。別会場ではありましたが、多数の参加者に足を運んでいただき、活発な議論が交わされ、半導体実装とMEMSとの技術交流を図ることができました。今後、講習会に参加された方々とMEMSファンドリーネットワークとのコラボによる技術開発や製品開発がなされることを期待したいと思います。
写真11 ファンドリーサービス産業委員会 浅野委員長
MEMS講習会の翌日には、三次元半導体研究センターの見学会を開催いたしました。最初に、三次元半導体研究センターの野北寛太副センター長より、三次元半導体研究センターの概要について、ご紹介いただきました。プリント配線板製造技術とシリコン基板製造技術の双方から、研究・開発、試作・評価を支援できる世界で唯一の研究センターとのことで、見学会でも幅広い分野の設備が揃っていることに驚かされました。めっきラインをはじめ、大型基板向けのラミネーターや露光装置、プリント基板用穿孔機や部品実装機など、プリント基板関係の設備の他、シリコン基板向けの設備も揃っており、その試作品を評価する設備と合わせて、総合的な研究が可能な設備を見学させていただきました。これだけの設備を維持管理するのは大変なことと推察いたしますが、研究員の方々が対応されていると伺って、生産技術の伝承が危惧される中で、大変とは思いますが、恵まれた環境で研究できていると感じました。ここで地力をつけた研究者の方々が、企業との連携で、製造業の底上げをしていただけることを祈念して、今回のMEMS講習会のご報告とさえていただきたいと思います。最後に、この企画にご協力いただいたご講演者やフジコミーティングの皆様、ご参加いただいた皆様に、改めて御礼申し上げます
(産業交流部 小出晃)
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