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2013年12月10日 (火)

μTAS2013参加報告

2013年10月28日から30日まで、ドイツ・フライブルクで開催されたThe 17th International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences, µTAS 2013 Conference (µTAS 2013)に参加しました。フライブルクはドイツ南西部バーデン=ヴュルテンベルク州にある都市です。フランクフルトからドイツ新幹線で2時間の位置にあり、スイス国境近くに位置します。環境都市とも知られ、アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクを中心とする大学都市でもあります。µTAS 2013はマイクロ流体デバイスに関する研究者が1000名以上参加する本分野において最大級の学会です。4日間で基調講演8件、オーラル発表約100件、ポスター発表約570件もの発表がなされ、そのテーマはマイクロ・ナノ工学全般に渡り、一分子検出、核酸やタンパクなど生体分子の検出デバイス、細胞の制御など幅広いものでした。

Photo_3          会場;メッセフライブルクの外観

Photo_5          基調講演開始前の会議場

DNA検出の発表は、学術的なものの方がいくぶん多い印象でした。それらは、ナノポアなどのデバイスを用いて一分子DNAハンドリングしているものが中心でした。商業化を目指していると思しき検査系の発表では、ボッシュやキアゲン、アボットといった企業が関与したものが多かったです。遠心力を駆動力に用いたデバイスについてはフライブルグ大学より報告がありました。血液中のウィルスを標的としており、核酸抽出からPCRを行うものです。血液からプラズマ細胞を分離するカートリッジが別にあり、遠心力を駆動力に選択した利点を活用しておりました。バイオ系の有力企業であるQiagen社との共同開発とのことで動向を注目すべきものと考えられました。同様に遠心力を用いるものの、チップ形状ではなく、研究用マイクロチューブ内で核酸抽出とLAMP法によるDNA増幅を実現するLabTubeという新たなプラットホームをMITが報告していました。Bosh社との共同研究であり、食の安全分野への応用を想定しているとのことでした。Labtube_2

テキサス大学からはPDMSとPaperをハイブリッドさせたマイクロ流体デバイスの報告がありました。両者の優位性を組み合わせようという試みで、コストの削減まで加味した研究であり、実用化への意識が感じられました。我々のテーマにおいても、コストダウンは一つの重要なファクターなので、参考になりました。発表内容は最先端のものであり、研究向けだけでなく、ポータブル型に設計されていたり、スマートフォンとの連動可能なものであったり、コストの低減化を試みていたりなどと、実用化を見据えたものがありました。

ヴァージニア大のLanders教授へのインタビューも行いました。本分野での第一人者であるとともに、企業との連携で実践的な研究を行っていらっしゃいます。市場、プロトタイプのスペックに関する課題、競合についての情報が得られました。

本プロジェクトの推進において、市場や技術、競合などの有益な情報が得られました。当初の目的が達成できたものと考えています。

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