米国MEMS産業動向調査の報告(1)
11月3日~11月6日の3日間米国ボルチモアにて第12回IEEE Sensorsが開催されました。ボルチモアは首都ワシントンDC.から北東に50km程に位置し、会場はボルチモアの観光の拠点であるインナーハーバーを中心としたウォーターフロントエリアにあり、開催期間中は天気にも恵まれのどかな雰囲気の中で講演を聴くことができました。
ボルチモアインナーハーバーは蟹や海老料理が有名で、筆者は初日招待講演の江刺先生らと海老&蟹料理をいただきました。
筆者は11月3日の晩にボルチモアに入り、4日朝からセミナーに参加しました。Sensorsは12回目の開催であり、年々発表件数が増えているとのことでした。今回は951件の投稿があり、530件がアクセプトされ、オーラル252件、ポスター278件の発表であり、地域毎では、アメリカ221件、アジア・オセアニア142件、ヨーロッパアフリカは167件とのことでした。そして、国毎の件数ではアメリカが200件で圧倒的に多く、続いて中国46件、ドイツ46件、日本39件、イタリア19件、韓国17件の順でした。日本からの参加者はこの割合に比して少ないようでした。
国際会議はkeynote presentation以外は6つのセッションに分かれており、筆者は環境センサを中心に聴講しました。そして、聴講できなかった講演についても、講演内容によってはあとからプロジェクタ画像に講演の音声の入ったファイルがダウンロードできるようになっており、後から内容を確認できるようになっていました。しかしながら、講演によってはこのシステムに対応しておらず、聞き逃した講演も多くあり、全公演についてダウンロードできるようにして欲しいと思ったのは筆者だけではないようでした。
環境センサを中心にヒヤリングしましたが、全体的に企業からの講演は少なく、産業化までにはまだ時間を要するアカデミックな内容が多くあったと感じました。
講演内容はガスセンサに関する内容が多く、CO2をはじめとした環境モニタを中心に、非分散型赤外セン吸収方式(NDIR)の小型・省電力化を目的としたマイクロホットプレートの提案や、可変光学フィルタを用いて光源一つで濃度計測する方法等の提案がありました。
また、別のアプローチとしてイオン液体を用いる方式が提案されており、金属酸化物やNNDIR方式に比べて小型・低消費電力、安価を特長としたことをあげていましたが、応答特性、信頼性等の評価にはまだ至っていないようでした。
また、赤外線センサについても講演がありましたが、ボロメータの小型・安価化の進展がめざましく、今後高密度アレイ化はボロメータ市場が急成長していくことが予想された。
また、ポスターセッションは午後昼食後に開催されており、熱心な意見交換がされていてとても盛況だった。
また、2日目(11月5日)の晩には会場からバスで15分ぐらいの鉄道博物館にて夕食会が開催され、多くの方が参加し本学会を楽しんでいました。
<産業交流部 今本>
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