ナノ・マイクロビジネス展記念講演会が盛況に開催されました
マイクロマシンセンターが主催者として毎年7月に開催してきた「マイクロマシン/MEMS展」は今年から「ナノ・マイクロビジネス展」と改称されます。これを記念する「ナノ・マイクロビジネス展記念講演会」が平成25年1月24日にホテルグランドパレスにおいて開催され、会場には60名を超える方々が参加されました。
講演会では一般財団法人マイクロマシンセンターの青柳専務理事の主催者挨拶の後、中央大学竹内教授および東京大学下山教授による2件の特別講演が行われ、最後にオーガナイザーのメサゴ・メッセフランクフルト(株)の木村プロジェクトマネージャーから見本市の概要説明と出展者募集の案内が行われました。
冒頭の青柳専務理事の主催者挨拶では「微細加工技術の進展とともに発展してきたMEMS市場は昨年7200億円に達し、毎年2桁の成長を続けている。従来の材料、技術開発、デバイス製造分野からソリューション分野へとビジネス化が広がりつつある状況を踏まえ、今後はナノ・マイクロビジネスに焦点を合わせた展示会を目指す」と今回の改名の趣旨説明が行われました。
特別講演の最初は中央大学理工学部竹内健教授で「日本の半導体・ナノマイクロ技術が世界で勝ち残るために」と題する講演が行われました。東芝でフラッシュメモリの開発に従事された後、スタンフォード大学でMBAを修得されたご経験から、半導体の世界における課題と日本が世界で勝ち残るために何をしないといけないかをお話しいただきました。80年代後半に大きく伸びたDRAMメモリで日本が敗北した真の理由は円高や水平分業ができなかったためではなく、マーケティングおよびビジネスモデルの失敗であったと指摘されました。半導体の世界では、集積度を上げて低価格化し、市場拡大するというサイクルが、上手く回っている間は良かったが、市場が伸びると考えられていたゲーム機が携帯電話の台頭により思ったほど市場が伸びずに破綻したこと、およびその後企業の合併により生き残りを図ったが、これも異分野の合併ではなく同分野の合併であったため市場を拡大できずに失敗をしたとのお話がありました。これに対してフラッシュメモリは使用するにつれ破壊するため、それに対する補正が必要であることを利用し、これに対応するソフトを含めて技術優位を維持するというビジネスモデルを採ることにより、日本の優位を維持しているとの説明がありました。今後日本がこの分野で生き残っていくためのキーワードは「統合」であり、異分野の技術を統合化して常に技術優位のビジネスモデルをつくっていくことが大事であることを強調されました。例えば、メモリの世界では、今注目が集まっている「ビッグデータ」では大規模データを高速処理する必要があるので、データの性格に応じたメモリ・マネジメントが重要となっており、これを可能にするハードとソフトの協調が競争力のキーとなるとの説明をされました。ナノ・マイクロの分野は半導体に追従して発展してきているので、同様なことを考える必要があるとのことでした。
2つ目の特別講演では東京大学大学院下山勲教授から「ナノ・マイクロ技術の可能性と
ナノ・マイクロビジネス展/ROBOTECHへの期待」と題する講演が行われました。MEMSの原理から始まり、加速度センサ、ジャイロセンサ、電子コンパスに圧力センサが加わった10軸センサというように複合化が進んでいること、市場規模が急速に拡大していること、国内外の企業の動向等につき解説を頂きました。さらに、大学の研究成果を産業化した例として下山教授が開発された触覚センサの事業化として設立されたベンチャー企業である「タッチエンス」についても紹介がありました。タッチエンスは昨年の「マイクロマシン/MEMS展」で製品を出展し、来場者との議論の中で当初考えていなかったいろいろな応用が明らかになり、事業が広がったことも紹介され、今年の「ナノ・マイクロビジネス展」にさらに期待をしているとの話がありました。
最後にオルガナイザーのメサゴ・メッセフランクフルトより「ナノ・マイクロビジネス展」の概要と出展案内があり、盛況のうちに閉会しました。
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