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2012年5月17日 (木)

2012年 第18回「国際マイクロマシンサミット」が台湾・新竹にて開催される。

   第18回(2012年)「国際マイクロマシンサミット」が4月23日から26日まで台湾・新竹にて開催されました。ご存知のように、マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/マイクロナノテクノロジーに関する課題などについて意見交換する場です。通常の学会と異なるのは、各国・地域の代表団が組織的に集まって、質の高い、まとまった講演と、影響力のある人々と意見交換できることが特徴となっています。今回のオーガナイザーは台湾National Tsing Hua(国立清華)大学のWeileun Fang教授でした。新竹市(Hsinchu City)は、特にマイクロエレクトロニクス分野で世界を牽引する先端技術研究都市であって、Industrial Technology Research Institute (ITRI)に代表される5つの国立研究所に6000人の研究者・スタッフが従業しています。この研究所から生み出される技術や設備を使って、約350のTSMC, UMCのようなハイテク企業を含め、台湾の半導体や液晶関連企業が起業する、世界でも最も注目されるオープンイノベーションのモデル地区でもあります。このことから今回のサミットでは異例とも言える、サミット会合の前後に丸2日間の研究所と、最先端企業の技術ツアがありました。この研究所や企業ツアは別のブログで報告します。日本からの派遣団は、MEMS協議会国際交流委員会委員長の下山東大教授を団長とする5名で、中国(10名)、ドイツ(8名)、台湾(8名)、イタリア(6名)に次ぐ規模でした。

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写真 1 MMサミットが行われた会場

今回は20の地域、75人のデレゲート、13の展示出展者、48の報告がありました。初日の4月24日は開会式として、新竹サイエンスパークのHsiano副所長、APMの創始者で日本にも馴染み深いLin会長、General ChairのFang教授から挨拶があった後、18のカントリーレビューがありました。今回はそれ以外のセッションとして「マイクロ技術におけるエコシステム」と「実用化の現状と将来」「その他」の3セッションが開催されました。特記すべきはFang教授を中心に大学のスタッフに支えられて完璧に近い運営がなされました。

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写真 2  レセプションでの案内図

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写真 3 会場の様子(1)

「マイクロ技術におけるエコシステム」は10の発表テーマがあり、MEMSの研究施設、国家プロジェクト、省エネ等がテーマでした。ドイツからの報告で、2014年から開始されるフレームワーク2020と言う欧州の大型PJの参加者が、中小企業が60%占めることが示され、欧州では最先端分野で中小企業が活躍されている様子が判りました。IMECからは研究紹介トピックスの中でファブリペローを使った光学素子と、MEMSを使った電子鼻の紹介が印象的でした。MEMSを使った電子鼻(electronic nose)は日本では研究が殆どされていませんが、海外の主たる研究所は大変力をいれています。日本からは今仲MNOIC所長からの話題提供がありました。

 「実用化の現状と将来」は産業界からの報告や大学から生まれた新規な技術等が主で、11の発表がありました。ドイツmemsfabから、AIMと言うSOIウェハー不要のエアギャップを低価格で形成可能な技術を用いた加速度センサーの特許、製造、実用化の過程の紹介があり、その製造も含めてmemsfabの最近の売上が飛躍的に伸びている報告がありました。オランダのNMTからはマイクロ流体やバイオMEMSを中心としたベンチャーやSMCの動向がありました。以前から欧州には強大なバイオ、製薬国際企業があって、この分野は日本と違って進んでいる印象がありましたが、2011年には30余の企業が生まれています。統計から最近4年間で100のベンチャーが生まれ、平均7年で失敗し、平均9年で成功し、市場に出せるには10年以上かかることを示され、起業成功には長い時間が必要との報告でした。2011年には15の企業が継続できているとの報告がありました。ECを代表し、シーメンスからは具体的なセンサーシステムのプロジェクト紹介がありました。E-BRAINSと言うRFセンサースマートシステム、MIKOAと言うエネルギーの管理、ASYMOFと言うハーベスティングのPJと、システマティックな構成で、既に多くの成果が出ているようです。ドイツIVAMと言う強力な工業会は、ドイツ、EC、一部海外から300を超える企業からなるものですが、欧州ではマイクロ・MEMSはSMCが中心であることもあって、大変重要な位置付けになっており、交流や広告、ネットワークとして有効に使われています。日本からは唐木TIA N-MEMS WG委員長が日本の超高齢化社会における課題を報告されました。

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写真  4  会場の様子(2)

(私が知る限りでは)今回、始めて導入されたと思われるパネルディスカッションがありました。パネターが全面に並ぶのではなくて、モデレータであるGianchandani氏(米国団長)がMEMS産業化におけるポイントを整理し、各国のデレゲートがコメントを出す形式です。4つの大テーマ①ベンチャー、②ファンドリー、③技術プッシュか市場プル、④国家PJを課題提起し、意見を集約していくものです。①のベンチャーでは、投資額を3年以内に使い切って中断するベンチャーが50%に達し、少なくても3年x3倍の9年必要、英国では1.8Bilionポンド支援している等、②のファンドリーでは如何に優れたプロセスプラットフォームを持っているか?多くのMEMS企業がファンドリーを実施している等、③は興味ある内容ですが、産業領域で異なっていて集約は困難、自動車は100%市場から、技術から開始した商品は上市のタイミングが重要、同時誘発的であるべき、プラットフォーム重視、④ではホライズン2020と言う、欧州にて2020年まで実施される成長と雇用の促進のため800億ユーロの研究・イノベーション投資を提案に付いて意見が出され、中小企業はトライアルのための投資を必要とすること、ハイテク企業に優遇を、クラスターへの投資、集積化や応用展開への投資の必用性、等が議論となりました。

来年は上海で開催される予定です。世界のマイクロ・MEMS領域の状況が鳥瞰できる「国際マイクロマシンサミット」に皆さんも是非ご参加ください。

(一般財団法人マイクロマシンセンター MEMS協議会 三原 孝士)

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