« Gデバイス@BEANS 事後評価分科会開催 | トップページ | 第4回MemsONE技術交流会の開催 »

2011年12月20日 (火)

第22回先端技術交流会が開催される

 12月19日(月)に第22回先端技術交流会がマイクロマシンセンターで開催されました。
先端技術交流会は人材育成プログラムとして毎回最先端の研究をしておられる大学又は研究機関の講師の方をお招きして講演して頂くとともに、その分野に興味を持つ企業の参加者と講師の方々との交流を深めることを目的として開催しています。
 今回は「ナノフォトニックデバイスの最前線~メタマテリアルの応用」を全体のテーマとして、同分野で最先端の研究をしておられる理化学研究所基幹研究所の准主任研究員田中拓男様と東北大学大学院ナノメカニクス専攻の准教授金森義明様をお招きしてご講演をして頂きました。講演内容の概要は以下の通りです。

1.「ナノスケール超微細構造を応用した超小型・高機能光デバイスの研究」
  東北大学大学院工学研究科ナノメカニクス専攻 金森義明
 ここではシリコンマイクロ加工デバイスに対して光の波長以下のナノ周期構造を応用するとによって生まれる新機能デバイスについて講演して頂きました。
 最初にサブ波長格子による反射防止構造を持つ素子の紹介がありました。ナノスケールのコーン或いは直方体をエッチング加工により周期的に並べた構造を備え、ナノ構造体の形状、サイズを変えることによって反射防止特性を制御できることが示されました。
 また同様な構造によって光閉込め効果を利用して反射特性も制御できることからカラーフィルターへの応用も可能であることが示されました。
 エッチング加工によりこれらのナノ構造を形成した場合、表面の微小な凹凸によって光散乱損失が生じますが、水素中高温アニールによって表面粗さを約1/5に低減し、狙いの反射特性が得られることが示されました。
 シリコンマイクロ加工により導波路やグレーティング等の光部品をシリコン基板に形成することによって光通信デバイスへの応用が期待されている。これらの光部品にさらにMEMSの駆動機構を組合わせることによってさらなる高機能化が期待できる。例えばシリコンナノ格子と基板の間隔を可変にすることによって反射率を0~100%まで制御することが可能になる。またマッハツェンダー干渉計において片側の導波路を可動させて干渉特性を制御することが可能になる。また導波路に駆動機構を設けると、エバネッセント波を介して非接触で導波路間の光結合を制御することが可能になる。これらのデバイス化にはナノオーダ高精度な加工技術が必要であり、東北大学ではこれらのデバイスを設計通り駆動させることに成功したことを示されました。
 今後もシリコンナノフォトニクスとMEMS可動部を組み合わせることによって、新たな機能を備えるデバイスの開発を目指すとのことでした。

Pc190040_2

2.「プラズモニック・メタマテリアル」
  (独)理化学研究所 田中メタマテリアル研究室 田中拓男
 ここでは電磁メタマテリアルの原理について光の基本的性質の説明から始めて、メタマテリアルの特徴まで素人でもわかるように、丁寧に説明して頂きました。特に金属リング共振器が基本構成要素になること、その設計指針についてわかりやすく説明して頂きました。光に対応したメタマテリアルを実現するためにはナノスケールの共振器を3次元に並べる必要があり、その作製方法が大きな課題となります。田中研究室では金属イオンを含む母材中にフェムト秒レーザを集光、吸収されて金属ナノ構造を作製する手法を示されました。特に吸収率の低い近赤外光を2光子吸収させて集光点だけで金属化させる方法は画期的でした。
 またメタマテリアルの応用として高い屈折率により極薄レンズができること、透明人間化させるためのマントを作ることが原理的に可能であることを紹介して頂きました。

Pc190052

 参加者は26名で講演終了後活発な質疑応答がなされました。また全体の講演終了後、講師の方を囲んでの懇親会が開催され、聴講者の方々と交流が図られました。
参加者の皆様や関係者の方々のご協力により実りのある交流会ができました。来年度も開催する予定ですので、皆様の奮ってのご参加をお願い申し上げます。
(産業交流部 阪井 淳)

|

« Gデバイス@BEANS 事後評価分科会開催 | トップページ | 第4回MemsONE技術交流会の開催 »

講習会・先端技術交流会」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« Gデバイス@BEANS 事後評価分科会開催 | トップページ | 第4回MemsONE技術交流会の開催 »