2017年1月20日 (金)

【平成29年01月の経済報告】 

 

 本項は、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。

 厳冬の中、平成2901月の経済報告をお届けします。
 業務の参考として頂ければ幸いです。  

 内容は、以下のPDFをご参照下さい。

「2017.01.pdf」をダウンロード

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2017年1月12日 (木)

~ 平成29年ロボット3団体 新年賀詞交歓会、今年も盛況のうちに終了 ~

 平成29年1月11日(水) 12時から、(一社)日本ロボット工業会、(一財)製造科学技術センター及び(一財)マイクロマシンセンターによる「ロボット関連三団体・平成29年新年賀詞交歓会」が、八芳園(東京都港区白金台1−1−1)1階「JOUR」にて開催されました。

  会場では、3団体を代表して(一社)日本ロボット工業会 稲葉善治会長(㈱ファナック会長)から、3団体における本年の活動や、新年の抱負を含めた冒頭挨拶を行い、それに引き続いて、ご来賓の糟谷敏秀経済産業省製造産業局長から、第四次産業革命とも呼ぶべき昨今のIoT/CPS、AI等の技術開発/事業活動において、3団体の活動が我が国産業界に大きく寄与するものとして本年も大いに期待するとのご祝辞を賜りました。

  本賀詞交歓会には、ロボット分野、マイクロマシン/MEMS分野等の分野が脚光を浴びいている背景もあり、425名もの大勢の業界関係者が参集し、時間の許す限り、交流・歓談に花を咲かせておりました。この機会をお借りしまして、ご参加頂きました多くの皆様方に御礼申し上げます。

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本年もよろしくお願い致します。

一般財団法人マイクロマシンセンター事務局一同



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2017年1月 4日 (水)

マイクロマシンセンター平成28年の10大ニュース

 
 新年あけましておめでとうございます。

 昨年は国内では熊本震災をはじめとする災害や多くの悲惨な事故・事件などが、そして海外でも多くのテロや紛争、英国のEU離脱、米国や韓国の政治情勢など、いろいろなことがありました。尻上がりに経済は良くなりつつありますが、波乱の中での年明けには違いありません。そのような中においても、IoT/CPS技術はここ数年の進展がさらに加速され、それらの実装が急速に進むことで、産業・社会の姿を大きく変えていくものとされています。

 それらIoT/CPSのフロントエンドを支えるのが、スマートセンシングの技術です。当マイクロマシンセンターは四半世紀にわたり、まさにこのスマートセンシングに必須のナノ・マイクロ技術分野における研究開発や普及促進等を担ってきています。その中核を成すMEMSデバイスについては、ヨール社(仏)によれば、スマホや自動車用途が世界市場をけん引し、2015年の120億ドルから2021年には200億ドルと、年率約9%で伸びるとされています。特にスマホなどに単独で入れられるセンサに加えて、医療用や産業用などのIoTシステムに連なるスマートセンシング分野や、それらを支えるエネジーハーベスタなどが大きく伸びると見られています。

 当センターでは、6年前に着手したグリーンセンサ・ネットワークのプロジェクトを皮切りに、道路やライフラインのインフラモニタリングシステムなど、MEMSによるスマートセンシングシステムの研究開発を行っています。さらに、このIoT時代に対応するために一昨年に発足したスマートセンシング&ネットワーク研究会において、様々なIoT関連のプロジェクト立案などを行ってきました。その結果を受けて、昨年からは、経産省/NEDOによるIoT横断技術開発の一環として、エナジーハーベスタも含む学習型スマートセンシングシステム(LbSS)の開発をスタートさせ、広くIoTシステムに応用されるようなスマートセンシングのデファクト的な技術開発を目指しています。

 また、最先端のMEMSデバイスの試作開発を担う拠点として発足した、マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)の運営も6年目に入り、センター自らが行う研究開発のみならず、MEMSデバイスユーザーによる試作開発ファンドリとしての利用が大きく伸びつつあります。
当センターとしましては、本年もMEMS/スマートセンシング技術の開発や普及に真摯に取り組み、我が国のIoT/CPS推進に微力ながらも貢献してまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。

 皆様方には以下の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

< 10大ニュース>
(1) NEDO公募事業「IoT推進のための横断技術開発プロジェクトに提案の「学習型スマートセンシング(LbSS)の研究開発」が採用され、プロジェクトを開始して精力的に推進」

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト」において、技術研究組合NMEMS技術研究機構が提案した「超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステム(LbSS:Learning based Smart Sensing System)の研究開発」が採択されました。

 本研究開発では、工場等の設備の稼働状況等の把握を目的とするスマートセンサモジュール、高効率MEH(Micro Energy Harvester)などの自立電源、及びスマートセンシングフロントエンド回路を開発し、動的センシング制御可能な無給電のスマートセンサ端末を実現します。さらに、同時に開発する学習型スマートコンセントレータとの連携により、従来の環境発電で収集可能な有価情報量を100倍化することを可能とする学習型スマートセンシングシステムの基盤開発と実証を行います。

 その概要及びキックオフの様子は以下を参照ください。
http://www.nanomicro.biz/mems/2016/07/index.html

(2) ナノ・マイクロビジネス展をIoT時代の到来に合わせてリニューアルし、9月にパシフィコ横浜でMEMSセンシング&ネットワークシステム展として成功裡に開催(2017年は10月に幕張メッセでCEATECと同時開催

 MEMSセンシング&ネットワークシステム展として名称と開催時期を変更しリニューアルした本展示会には多数の皆様のご来場を頂きました。同時開催の報告会、シンポジウムも盛況のうちに実施することができました。2016年9月14日(水) から16日(金)までパシフィコ横浜で開催された「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2016」は、3日間の開催期間を終え、盛況の内に閉幕しました。

 今回も各ブースには多くの来場者が訪れておりましたが、セミナー会場にも多くの聴講者にお出で頂き、立ち見が出るなど関心の高さが見て取れました。

 最終日には、第22回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウムが13:30から16:30まで開催され、ここでも満員の聴衆が熱心に聞き入っておりました。

 次回は2017年10月4-6日に幕張メッセでCEATEC JAPAN 2017と同時開催を予定しております。

会期中の様子は以下を参照ください。
(初日) 
http://www.nanomicro.biz/mems/2016/09/mems-2016-e738.htm
(2日目)
http://www.nanomicro.biz/mems/2016/09/mems-2016-abd6.html

(3日目)
http://www.nanomicro.biz/mems/2016/09/mems-20163-e26e.htm
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第22回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウムの概要は以下を参照してください。
http://www.nanomicro.biz/mems/2016/09/mems-2016-5c96.html

(3) スマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会を本格的に開始し、3つのWGでの検討がそれぞれULPAC、LbSS、SSIの各研究の開始に繋がる

 2015年10月にMEMS協議会の下に発足したSSN研究会では、新たなプロジェクトの立案を目指して、3つのWGを立ち上げて精力的に検討を行ってきました。そのうちのLbSSとSSIはそれぞれ(1)と(4)に記載しています。

 「センサ端末同期用原子時計(ULPAC:Ultra-Low Power Atomic Clock)の研究開発」については、道路インフラモニタリングシステム(RIMS:ROAD Infrastructure Monitoring System)の2015年度加速テーマとして採択され、2016年度以降もプロジェクト内で継続していくことが決まりました。

 RIMSで用いられるようなセンサ端末群は、ネットワークを介して時刻同期をすることで、データ取得の正確な時間を把握し、かつ、データ転送の効率化を図っています。もし、その時刻同期を不要とすることが出来れば、ネットワークの構築や運用にかかる負担を大幅に低減することができます。そこで、正確な時を刻む原子時計をセンサ端末に搭載可能なサイズや消費電力、価格にすることが出来るかを解析や試作を通して、技術的に検討しています。
 
(4) 経済産業省のエネルギー使用合理化国際標準化委託事業の公募に採択され、「スマートセンシング・インターフェース(SSI)国際標準化プロジェクト」を本格的に開始

 SSN研究会の中で、新たなセンサネットワークの市場創出を目指し、センサ端末における共通プラットフォームの標準化についてWGにて検討を行ってきました。その検討を受けて、スマートセンサと端末モジュール又は自立電源と端末モジュールをつなぐインタフェースに関する国際標準化をテーマに、経済産業省の平成28年度エネルギー使用合理化国際標準化委託事業の公募に提案を行い、3月末に採択が決定しました。今後、国際標準化規格作成に向け実証作業を含めて検討を進めています。

(5) 日本開催が3回目となる第22回国際マイクロマシンサミットが5月、新宿において「高齢化社会におけるセンサ・MEMS」をテーマに成功裡に開催

 国際マイクロマシンサミットは21年前の1995年にマイクロマシンセンターが提唱して始まり、その後は毎年同程度の規模で継続されている国際会議です。通常の学会と異なり、各国の代表が、産業政策や科学技術政策、教育まで含めて議論するのが特徴になっています。日本での開催は、第1回の京都、第8回の広島、今回の第22回が3回目になります。今回のサミットのテーマは、「高齢化社会におけるセンサ・MEMS」であり、健康・医療やライフスタイルに対応するマイクロシステムに関する話題が多く出されました。

 次回(2017)の開催場所は26日の各国代表者会議で、スペインのバルセロナに決定されました。(2017年5月15-17日)

 マイクロマシンサミットの会期終了後の技術ツアーとして筑波地区の最先端技術を巡るイベントを企画しました。最初にフジキン先端事業所で、半導体装置用制御機器の紹介があり、高度の流体制御技術を用いたチョウザメの飼育の見学でした。フジキンはニードルバルブの世界的企業ですが、この技術を応用した様々な事業に挑戦されています。午後の最初の見学はKEKのフォトンファクトリーです。特にSOR光を使った計測や分析は世界中の研究者が利用しています。また普段は見ることが難しい見学として筑波大学・バイオマス研究施設を見学しました。これは淡水の藻を育成してバイオマス材料として利用する試みです。再生エネルギー研究施設に多くの研究者が興味深々でした。最後は産総研・サイエンススクエアを見学しました。

サミットの報告については以下を参考してください。
http://www.nanomicro.biz/mems/2016/06/mms2016-ebba.html

(6) MNOIC(マイクロナノオープンイノベーションセンター)の工程受託コースの需要が増大し、人的な体制も強化し産業界のニーズに対応

 当センターの研究支援サービスMNOIC(マイクロナノ・オープンイノベーションセンター、つくば産総研内)は、事業開始後5年を経て、本格稼動ステージに進み、着実にユーザが増加し、我が国有数のMEMSファンドリーになりつつあります。工程受託の充実、研究施設の拡充、技術ノウハウの蓄積、人材育成を活動の柱として、産官学連携を通じたTIAのオープンイノベーション活動を強化しています。

 また、人材育成に力を入れており、8月には2016MNOIC実習講座「インフラおよび産業機器モニタに利用可能な、MEMSセンサの回路・システム実習」を実施しました。

これらの状況は以下を参照ください。
http://www.nanomicro.biz/mems/2016/08/2016mnoicmems-a.html

(7) RIMS/UCoMSが3年目のNEDOステージゲート・中間評価で高い評価を得て通過し、来年度より本格実証の段階に

 2016.11.1に開催されたNEDO研究評価委員会「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」(中間評価)分科会において、「道路インフラ状態モニタリング用センサシステム開発(RIMS)」及び「ライフラインコアモニタリングシステムの研究開発(UCoMS)」の説明を行った。現在これらの評価が行われており、2017年1月末ころには結果が決まる予定です。

(8) MEMS関連の標準化について、IEC/TC47に振動発電関係の新提案を出すなど、引き続き日本がリード、また、東大の鈴木先生がTC47/WG7のコンビナに推挙され、さらに神戸大の磯野先生がIEC1906賞を受賞

 IEC/TC47技術委員会傘下の、今後発展が期待される半導体デバイス分野であるWG6および、エナジーハーベスティング、エネルギー変換・伝送分野であるWG7のアドホック会議が、2016年4月6日から8日まで、中国・北京にて開催されました。議題としては、2015年10月の、ベラルーシ・ミンスクでの全体会議の審議状況の報告、および現在審議中の規格案について、コンビナから報告の後、意見交換が行われました。

 IEC/TC47技術委員会傘下の、MEMS関連の分科会であるSC47Fのアドホック会議が、2016年6月9日から10日まで、中国・成都にて開催されました。議題は、WGと同じく、ベラルーシ・ミンスクでの全体会議の審議状況の報告、および現在審議中の規格案について、コンビナから報告の後、意見交換が行われました。この中で日本からの提案である「MEMSエレクトレット振動発電デバイス(PL:東京大学 鈴木雄二教授)」が現在CDV回付中である旨の報告がなされました。また、Future workとして、神戸大学 神野伊策教授からMEMS圧電薄膜の信頼性評価についてのプレゼンテーションが行われました。

 IEC/TC47技術委員会の国際会議が、2016年10月3日から7日まで、ドイツ・フランクフルトにて開催されました。ここでの議案は、2015年10月の、ベラルーシ・ミンスクでの全体会議の審議状況の報告、および現在審議中の規格案について、コンビナから報告の後、意見交換が行われました。Future workとして、東京大学 鈴木雄二教授から「低消費電力電子機器向けの力学的環境発電デバイスの試験方法」についてのプレゼンテーションと、今後の日本からの環境発電に関する提案予定が示しました。

 また、神戸大学の磯野教授は長年にわたり、IEC/TC47/SC47Fにおける国際標準化開発のプロジェクトリーダー及びエキスパートを務めてこられ、規格案作成・提案から標準化審議のフォローまで一貫して関われた功績が認められ、IEC1906賞を受賞されました。

 東京大学の鈴木教授も長年のIEC/TC47での貢献が認められ、WG7のコンビナーに推挙されています。

IEC/TC47/WG6,7アドホック会議(4月6-8日)の概要は以下を参照してください
http://www.nanomicro.biz/mems/2016/04/iectc47wg6768-0.html
IEC/TC47/SC47Fアドホック会議(6月9-10日)の概要は以下を参照してください
http://www.nanomicro.biz/mems/2016/06/iectc47sc47f691.html
IEC/TC47/技術委員会の国際会議が(10月3-7日)の概要は以下を参照してください
http://www.nanomicro.biz/mems/2016/10/iec-tc47104-7-a.html

(9) エネルギー・環境先導研究で実施中のMEHとIRiSが、2年間で良好な成果を出しつつあり、最終段階を迎える、共にイノベーションジャパン2016への出展が好評

 イノベーションジャパンは2016年で13回目となる国内最大規模の産学マッチングイベントであり、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主催し、8月25-26日に東京ビッグサイト西1ホールで開催されました。

 このイノベーションジャパン2016に「高効率MEMS振動発電デバイス先導研究(MEH)」と「革新認識システムの先導研究(IRiS)」が出展しました。それぞれ、パネル展示、デモンストレーション、プレゼンテーションを行い、来場者からは好評を得ました。

プロジェクトの概要は以下を参照ください。
http://www.nanomicro.biz/mems/2016/07/2016mehiris825-.html

(10) 先端技術交流会、MEMS講習会、海外調査報告会等各種イベントを好評裡に開催し、普及啓発活動が順調に推移

 第4回MEMS協議会海外調査報告会を2016年1月21日に新テクノサロンで開催し、約40名の方にご参加いただきました。このイベントはマイクロマシンセンター/MEMS協議会(MIF)が行っているMEMS関連の海外調査及び国際標準化の状況について報告するものです。毎年のように北米や欧州を中心に学会等のイベント、海外の大学や研究施設、関連企業の訪問見学を行ってきましたが、今回は特に特別報告として世界の家畜に関連する報告を企画致しました。

 第31回マイクロナノ先端技術交流会を2016年3月2日に新テクノサロンで開催しました。今回は「嗅覚センシングの新たな可能性について」と題しまして、生産ラインなどの整った環境から屋外へと活躍の場を広げている匂いセンシング技術につきまして、東京工業大学精密工学研究所の中本教授から「ロバストにおいセンシングシステム」、九州大学味覚臭覚センサ研究開発センターの小野寺准教授より「においを図るバイオセンサシステムの開発」と題しましてご講演いただきました。

 第32回マイクロナノ先端技術交流会を2016年9g津20日に新テクノサロンで開催しました。今回は「バイオとエレクトロニクスの融合の新展開、サブタイトルとして、「生体とデバイスのしなやかで細やかな出会い」と題して、人とデバイスをつなぐ最新の取組みを、東京大学生産技術研究所教授の藤田博之先生から「MEMSとバイオの融合ナノシステムの取組み」、東京大学工学研究科教授の染谷先生からは「人と機械を調和する伸縮性エレクトロニクスの最善性」と題してご講演をいただきました。

 2016年10月21日に一般財団法人マイクロマシンセンター(MMC)の新テクノサロンにおいて、第26回MEMS講習会「IoTを支えるセンシング技術、”見える化“ に取り組むIoT活用事例」を開催致しました。MEMS講習会は、MEMS協議会に所属するMEMSファンドリーネットワーク企業を中心に企画され、都内と地方都市で年に1回ずつ開催しています。

第4回MEMS協議会海外調査報告会の概要は以下を参照してください。
http://www.nanomicro.biz/mems/2016/02/4121-4e83.html
第26回MEMS講習会の概要は以下を参照してください。
http://www.nanomicro.biz/mems/2016/10/26mems-3687.html

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2016年12月26日 (月)

2016年度MEMS懇話会開催(2016年12月26日)


 一般財団法人マイクロマシンセンターMEMS協議会はMEMSを中心とした我国の産業競争力の強化を目的に、「MEMS懇話会」(MEMS協議会メンバーの委員と行政側等との情報交換や意見交換を行う会合)を例年実施しており、本年は12月26日に開催しました。

 最近、社会経済にインターネット出現以上に衝撃を与えつつあるIoT(Internet of Things)ですが、あらゆるスマートな「モノ」と現実世界とのやり取りを可能にするMEMS およびセンサ技術がその成長を大きく左右することになり、ウェアラブル、ドローン、医療機器等のIoTアプリケーションへも新しい応用分野が拡大しています。

 このような環境下において、2016年度MEMS懇話会を12月26日に東京・秋葉原、新テクノサロンにて開催しました。経済産業省産業機械課、研究開発課、情報通信機器課および新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、産業技術総合研究所からの来賓を交えて、センサ・MEMS分野に係る今後の課題について意見交換を行いました。

 最初にMEMS協議会山西健一郎会長(三菱電機取締役会長)による主催者挨拶があり、第4次産業革命におけるコア技術の一つであるMEMSセンサやネットワークの技術をさらに展開していくための場として、MEMS協議会の下に「スマートセンシング&ネットワーク研究会(SSN研究会)を設置しWG活動を進めた結果、いくつかの新プロジェクトに採択されたこと、今後もMEMS協議会が、我が国MEMS分野における真の産官学連携のハブになるべく事業を展開していること、MNOICの積極的な取り組みに対するコメントなどがありました。その後、経済産業省、NEDOから2017年度産業技術関係予算案、IoT推進やロボット・AI分野への取組みの紹介の後、MEMS協議会長谷川事務局長から、MEMS協議機活動やセンサ、MEMS市場の動向について報告がありました。

 その後に会員企業から、「最近の業況と今後の見通し」「経済産業省、NEDO、産総研への要望」や「MEMS、センサ、さらにはIoTに対する取組み」について意見発表が行われ、経済省、NEDO、産総研との方々との熱心な議論が予定時間を延長して行われました。終了後、会場をMMC会議室へ移し、懇親会を開きました。

 ご来賓の方々、MEMS協議会メンバーで合わせて約40人の参加であり、MEMS分野に関して新しいコラボレーションをもたらす機会になりそうな予感がする会合となりました。
(MEMS協議会 渡辺秀明)


      写真1 MEMS協議会 山西会長挨拶


     写真2 産機課片岡課長による来賓ご挨拶


     写真3 MEMS懇話会の様子


     写真4 懇話会懇親会の様子

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2016年12月22日 (木)

【平成28年12月の経済報告】 

 本項は、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。

 初冬、平成28年12月の経済報告をお届けします。
業務の参考として頂ければ幸いです。内容は、以下のPDFをご参照下さい。

   「2016.12.pdf」をダウンロード

   

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2016年12月 8日 (木)

IIIAE2016参加報告およびIAES Paper Award受賞報告

2016年12月5日から8日の間、京都テルサを会場としてAE(Acoustic Emission)に関する国際会議であるIIIAE2016が開催された。本国際会議は、欧州のAE関連の国際会議である8th International Conference on Acoustic Emissionと、同じく日本におけるAEの国際会議である23rd International Acoustic Emission Symposiumの共催として開催された。また、別報にもある通り、現在AEに関する学会活動をとりまとめる団体として、欧州のEWGAE(European Working Group of Acoustic Emission)、米国のAEWG(Acoustic Emission Working Group)に続き、日本における拠点としてIIIAE(International Institute of Innovative Acoustic Emission)が新たに設立され、IIIAEの設立記念を兼ねての開催となった。Organizing CommitteeのChairは京都大学の塩谷教授が務めた。
表1にIIIAEのセッション一覧および講演およびポスター発表の件数を示す。最大の件数を集めたのはCivil Engineeringのセッションであり、件数順にAE & Related NDT、Materials Scienceと続く。この傾向は、日本側の主催団体である土木学会や日本非破壊検査協会、日本コンクリート工学会などの、土木および非破壊検査を主な活動領域とする方々の参加が多かったためと推定される。講演件数は少ないものの、Medical Scienceのセッションもあり、AEの活用範囲の広さがうかがえる。

表1 セッション一覧および講演件数

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図1に講演およびポスターセッション発表者の国別一覧を示す。最大の参加者を集めたのは開催国の日本であるが、総数における日本の割合は半数を若干下回っており、欧州をはじめとして幅広い国の参加者を集めていた。

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図1 講演およびポスター発表者の国別人数

RIMSからは、高峯氏が京都大学インフラ先端技術共同研究講座およびNEXCO西日本と連名で「Efficient Damage Inspection of Deteriorated RC Bridge Deck with Rain-induced AE Activity」と題して、雨によって励起されるAEを用いたRC床版の効率的な非破壊検査手法について発表した。本発表の内容は、既に内部き裂が生じている床版の損傷を検査する手法として、継続的なAEモニタリングを必要とせず、雨滴を利用して10分程度の間に内部き裂を明らかにすることが可能であり、今後の床版検査への適用が期待されている。また、同じく大森が東京大学IRT研究機構と連名で「Elastic Wave Measurement using a MEMS AE Sensor」と題して、MEMS AEセンサであるSA(Super Acoustic)センサを用いたペンシルリードブレイク試験の位置標定精度を検証した内容を発表した。アルミニウム板上に設置したSAセンサを用いて、ペンシルリードブレイクの波形を受信し、受信波形のウェーブレット変換から、受信したLamb波の種類およびSAセンサを用いた位置標定の精度を評価した内容である。今後のSAセンサの実フィールド検証において、位置標定および受信波形判別は損傷評価を行う前提となる重要な情報である。また、Invited Talkとして、東京大学下山教授より「Super-acoustic Sensor for Bridge Health Monitoring」と題してSAセンサの研究状況についての講演が行われた。
結果、大森の投稿論文が査読時の委員によるpeer reviewで最高点を獲得し、IAES Paper Awardを受賞した。写真1にBanquetでの受賞告知の様子を示す。また、写真2に表彰式で京都大学塩谷教授より賞を受領した際の写真を写真3に受領したIAES Paper Awardの賞状を示す。RIMSにおける研究開発の成果が学術的にも高い評価に値することが認められ、非常に喜ばしいことである。

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写真1 BanquetでのIAES Paper Award告知

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写真2 表彰式で塩谷教授と握手する筆者

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写真3 受領したIAES Paper Awardの賞状

その他、講演の聴講で印象に残った発表について以下に示す。
T. Nishida et al., Damage Evaluation of RC Bridge Deck under Wheel Loading Test by Means of AE Tomography
京都大学西田准教授の講演で、床版の疲労試験として広く用いられている輪荷重試験の試験進展に従って、床版に入った損傷の様子を3D AEトモグラフィによって可視化した内容であった。輪荷重試験によって進展する損傷と、AEトモグラフィにより示唆される損傷進展領域は良い一致を示しており、AEトモグラフィ法の有用性を再確認できる好例である。

H. Asaue et al., Evaluation of Water Leakage Repair by One Side Access Elastic Wave Tomography Using Rayleigh Wave
京都大学麻植准教授の講演で、漏水によって損傷を受けたコンクリート構造物の補修前後において、表面打撃によってレーリー波を励起し、AEトモグラフィにより補修の効果を可視化した内容であった。補修により速度場が全体的に速い方向に移行しており、AEトモグラフィにより補修効果の確認がなされていた。

S. Fukumoto et al., Three-dimensional source location by water propagating waves in the hydraulic test of CFRP pressure vessel
株式会社IHI検査計測福本氏の講演で、CFRP製の圧力容器において、圧力容器表面に複数設置したAEセンサから、水圧試験によって発生したAEの3次元位置標定を行った内容であった。特徴として、CFRP容器ではなく、水中を伝わるAEによって3次元位置標定を行っており、社会インフラ分野で広く用いられる圧力容器の損傷位置を調べる方法として興味深い内容である。

E. Suarez et al., Influence of an optical fiber embedded on unidirectional CFRP laminates evaluated with the Acoustic Emission and 3D Digital Image Correlation techniques
グラナダ大学Suarez氏の講演で、CFRP内に光ファイバ型のセンサ(FBGセンサ)を埋め込んで外力が与えられた際に、外力によって光ファイバ周辺に損傷が発生し、AEが発生する様子と、デジタル画像相関法(DIC法)によるひずみ分布を比較した内容であった。荷重の方向と光ファイバ配置方向が直行している場合、光ファイバ周辺に応力集中が発生していたが、同じ方向であれば応力集中は発生しなかったとのことであった。FBGセンサはCFRPに適用されるセンサとして広く研究開発が行われているが、埋め込みには注意を要することを示す事例である。

O. Ley et al., Recent advances in structural health monitoring using acoustic emission
Mistras GroupのLey氏の講演で、AEを用いた構造ヘルスモニタリングの近年の進展について、2007年に行われた橋梁のeyebarのき裂モニタリングおよび、2011年に行われたコンバインドサイクルの発電用タービンブレードに発生したき裂のモニタリングの事例を紹介したものであった。タービンのモニタリングについては、Acoustic Combustion Turbine Monitoring System (ACTMS)として実用に供されており、数か月のモニタリングの末、タービンブレードの損傷が発見されたとのことであった。エネルギー分野にもAEの適用が進んでいることを示す好例である。

(NMEMS技術研究機構 大森 隆広)

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IIIAE2016出展およびTechnical Exhibition Award受賞


 2016年12月6日(火)~ 12月8日(木)に京都テルサにおいてIIIAE2016(http://iiiae.org/iiiae2016/index.html)が開催され、そのTechnical Exhibitionに出展してRIMSの研究成果の広報を行いました。また、参加者の投票によって最優秀展示に贈られるTechnical Exhibition Awardを受賞しましたので、以下にご報告致します。

 International Institute of Innovative Acoustic Emission (IIIAE) はこれまで3つの組織(Acoustic Emission Working Group (AEWG), the R & T Committee on AE of Japanese Society of Non-Destructive Inspection, aka, Japanese Committee on Acoustic Emission (JCAE), European Working Group on Acoustic Emission (EWGAE))でそれぞれ独自に活動していたアコースティックエミッション関連の活動を統一して実施するために組織された世界組織であり、今回その第1回目の国際会議としてIIIAE2016が開催されました(写真1:IIIAE2016の入口看板)。

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     写真1 IIIAE2016の入口看板


 国際会議の方は別途報告致しますが、併催されました技術展示会(Technical Exhibition)にNMEMS技術研究機構として3小間出展し、RIMSプロジェクトの広報を行いました。RIMSの概要説明として英語パネル18枚とパワーポイントによる説明及びセラミックパッケージとPZT/Si面パターンシートのサンプルの展示並びにスーパーアコースティック(SA)センサのデモ展示を行いました。(写真2:NMEMS技術研究機構出展ブースの全景、写真3:展示ブースでの説明の様子)。

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  写真2  NMEMS技術研究機構出展ブースの全景

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     写真3  展示ブースでの説明の様子


 IIIAE2016の参加者は200名弱で多くはなかったですが、アコースティックエミッション(AE)関連の学会であったため、写真3に示しますように、SAセンサのデモ展示には興味を持って参加者が来場され、密度の濃い意見交換ができ、RIMSプロジェクトの成果をアピールできたと存じます。


 また、IIIAE2016参加者による投票で最優秀技術展示に選ばれ、Technical Exhibition Awardを受賞しました。受賞式の様子を写真4、賞状を写真5に示します。RIMSの成果が高く評価された結果と存じます。

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 写真4 授賞式において京大塩谷特定教授とNMEMS今仲理事長

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 写真5 IIIAE2016 Technical Exhibition Awardの賞状


   (技術研究組合 NMEMS技術研究機構 武田宗久)



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2016年11月24日 (木)

【平成28年11月の経済報告】

 本項は、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。

 晩秋、平成28年11月の経済報告をお届けします。業務の参考として頂ければ幸いです。内容は、以下のPDFをご参照下さい。

 

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2016年11月23日 (水)

欧州橋梁モニタリング実態調査報告


 日本より先行して様々な活動が行われている欧州(イギリス、オランダ)における橋梁モニタリングの現状を把握するため、2016年11月15日(火)~ 11月23日(水)に下山リーダを団長とする8名の調査団(写真1、五十音順:芦塚憲一郎、伊藤寿浩、茅野茂、塩谷智基、下山勲、武田宗久、中嶋正臣、渡部一雄)を組んで、欧州橋梁モニタリングの実態調査を行った。

   写真1 調査団一同とCPSのJulieさん

 

 今回調査したのは、次の組織と橋梁である。
  • CPS及びXEIAD社(イギリス、ロンドン)
  • Queen Elizabeth II Bridge(イギリス、ロンドン)
  • Epsilon Optics社(イギリス、ロンドン)
  • Edinburgh大学(イギリス、エディンバラ)
  • Forth Bridge及びForth Road Bridge(イギリス、エディンバラ)
  • TNO(オランダ、デルフト)
  • Van-Brienenoord Bridge(オランダ、ロッテルダム)
 以下に各調査先での調査結果の概要を報告する。

(1)CPS及びXEIAD社訪問とQueen Elizabeth II Bridge調査

 イギリスでは遠望目視による一般点検の頻度は1回/2年、近接目視による主要点検の頻度は1回/6年が義務付けられ、地方は英国道路庁の基準を準用することとされている。英国道路庁は点検を管理エージェントに委託し、地方はインハウスエンジニアが実施する。

 CPS(Connect Plus Service)は、ゼネコン、コンサル会社等の4社からなるコンソーシアムであり、M25(イギリス国内の全交通量の15%を占める主要幹線道路)に関連する路線の維持管理・保守点検業務に関する30年間の契約を2009年に英国道路庁と結んでいる。

 XEIAD社は、CPSの下、ロープによるアクセス、水中ダイビング等の特殊な技能を要する点検に特化した土木コンサルタントである。

 今回の訪問では、CPSのSteve Pattrickアセットマネージャー及びXEIAD社のOlivier Garrigue CEOをはじめとするメンバーにご対応いただき、RIMSの取り組み等のご紹介やモニタリングシステムのご提案とともに、CPSの管理下にあるQueen Elizabeth II Bridgeの実態を調査した。

 Queen Elizabeth II Bridgeは、ロンドン東部においてテムズ川を渡る全長450mの斜張橋である(写真2の左)。振動、変位、温度の計測のためのセンサが2014年から一部に設置されているが、高さ30mのコンクリートの橋脚(写真2の中央)やジョイント部(写真2の右)裏側の点検は、高所でのロープアクセスによる点検が必要となっており、我々のコンセプトである設置が容易なセンサによる常時モニタリングに対して高い関心が示された。

  写真2 Queen Elizabeth II Bridge
  (左:全景、中央:橋脚、右:ジョイント部)

 

(2)Epsilon Optics社訪問

 Epsilon Optics社は、構造設計と光ファイバセンサによる計測技術を組み合わせることで、土木、海洋、航空宇宙等の様々な分野へモニタリング技術を提供していることから、同社とのミーティングをセットし、イギリスにおけるモニタリング技術の適用実態に関する情報収集と意見交換を行った。

 Epsilon Optics社は、光ファイバセンサ自体の開発は行っていないが、光ファイバセンサに対するパッチのアセンブリ(写真3)等を通して様々な分野に実装し、モニタリングに関する幅広いノウハウを有していることを強みとしている。その実績は、イギリス国内にとどまらずグローバルなもので、対象も橋梁やトンネルにおけるクラックのモニタリング、ヨットのキールや飛行機の着陸装置への負荷のモニタリング等幅広く、RIMSプロジェクトの将来のビジネスモデルとして参考となるものであった。

 写真3 Epsilon Optics社による光ファイバセンサのアセンブリ

 

(3)Edinburgh大学訪問

 Edinburgh大学では、コンクリートなどのインフラ主要構造部材を対象とした非破壊検査技術の世界的権威であるMike Forde教授の元を訪問し、RIMSの取り組み等をご紹介するとともに、Mike Forde教授に企画いただいたラボツアーに参加した。

 Mike Forde教授には、我々の取り組みに関心を持っていただき、団長の下山教授に訪問に対する感謝状が渡された(写真4)。ラボにおいては、コンクリートの崩壊を模擬するための圧縮装置にAE(Acoustic Emission)センサを取り付け、崩壊過程を解析する取り組みや(写真5)、更に医療のCTを組み込み、X線を加えた4D化を試みるといった最先端の研究紹介がなされ、橋梁モニタリングへの応用が示唆されるなど、有意義なものであった。

   写真4 Forde教授から下山団長への感謝状(左)
   写真5 ラボツアーの様子(右)


(4)Forth Bridge及びForth Road Bridge調査

 2015年に世界遺産リストに登録されたForth Bridge(写真6)は、エディンバラ近郊のフォース湾に架かる鉄道橋である。全長2530mのカンチレバートラス橋で1890年に完成している。

   写真6 Forth Bridge

 

 Forth Bridge に並行して架かるForth Road Bridgeにおいては、定期点検の結果、2004年に大規模な腐食が主懸架ケーブルを構成するストランドに発見された。これを受けて、新たな橋梁としてThe Queensferry Crossingが2016年中の開通を目指して建設が進められている(写真7)。

 写真7 Forth Road Bridge(右)とThe Queensferry Crossing(左)

 これら3橋梁にはいずれもモニタリング用のセンサが取り付けられている。例えば、Forth Bridgeにおいては、包括的な構造モニタリングシステムが2002年に実装されており、リニア変位変換器、回転ポテンショメータ、傾斜計、温度センサとひび割れ検知を含む様々なセンサが備えられ、支承可動部の動きに加え、中央タワーおよびスパン接続部の3軸方向(垂直・水平方向および回転)の変位を検知することができる。しかしながら、いずれの橋梁においても信頼性のある無線センサがないことから確実な有線センサを用いているのが現状であり、我々がターゲットとしている無線化や自立電源化に関しては、現場では未だ適用されていない状況が確認できた。

(5)TNO訪問

 TNO (オランダ応用科学研究機構(the Netherlands Organization for Applied Scientific Research) )は、オランダ議会によって1932年に設立された 欧州では最大規模を誇る中立の総合受託試験研究機関である(写真8)。今回の訪問では、インフラ関連のプログラムディレクタであるPeter-Paul van't Veen氏をはじめとする7名でご対応いただき、双方の道路インフラモニタリングの取り組みを紹介しあうとともに意見交換を行った。また、デルフト大学の一角に開設されたTNOのOptics Labも見学させていただき、光ファイバセンサのデモ等、産学連携での取り組みの一端もご紹介いただいた。

 双方の課題認識が共通していたためか、帰国後すぐにTNOから共同での継続検討についての申し入れがあるなど、RIMSの国際展開に向けての足掛かりとなる成果を残すことができた。

   写真8 TNO玄関での記念撮影

 

(6)van Brienenoord Bridge調査

 ロッテルダムのvan Brienenoord Bridge(写真9)はオランダ国内で最も交通量が多いA16高速道路の一部である。

    写真9 van Brienenoord Bridge

  ブリッジの固定部分の約30m2の領域、拡張ジョイントの近傍の低速レーンの下に、ひずみゲージに加え、16個のAEセンサがTNOにより装備されている。最初のモニタリングは、2013年7月から開始されている。センサからのデータ転送には、ここでも無線通信は用いられておらず、50mのケーブルを使用して各センサを個別に接続しており、大量のケーブルが引き回されていることが印象的であった(写真10)。

 写真10 モニタリングの様子
(左:ひずみゲージの施工、右:ロガーに集まるケーブル)


今回の調査で、欧州(イギリス、オランダ)の橋梁モニタリングの実態を把握することができた。また、下山団長から各所でRIMSの紹介をしていただき、RIMSの活動を関係者に理解いただいて広報が図れた。我々の開発している技術にも興味を持って頂き、今後欧州での実証実験、その後のビジネスにおける協業を視野にいれて、今回の訪問先とは引き続き連携を図る予定である。

(NMEMS欧州橋梁モニタリング実態調査団:芦塚憲一郎、伊藤寿浩、茅野茂、塩谷智基、下山勲、武田宗久、中嶋正臣、渡部一雄)


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2016年11月11日 (金)

北米出張報告


 2016年10月30日~11月11日の間、国際交流、および産業・技術動向調査を目的に北米(オーランド、アトランタ、サンフランシスコ、スコッツデール)を訪問したので報告する。

【IEEE Sensors(10月30日~11月2日)】

 今年のIEEE Sensorsは、米国フロリダ州オーランドで10月30日〜11月2日に開催された。本学会には3年ぶりの参加だったが、図1にポスター展示の様子を示すが、以前に比べてますます盛況になっていた。特に驚いたのは日本からの参加者が2倍近く増えていたこと、エネジーハーベスタのセッションが新たに新設されていたことである。IoT社会・トリリオンセンサ社会に向けて、自立型センサネットワークへの関心が高まってきていることのあらわれだろうか?

 一方で、上記IoT社会に向けて企業からの発表が増加していることを期待していたものの、ほとんど大学や研究機関からの発表であり、ビジネス展開については正直なところ期待外れであった。本学会の参加は技術研究組合MEMS技術研究機構として出席したので、発表内容は省略し、以下に大学訪問、およびMEMS & Sensors Executive Congressの参加報告を記載する。


図1 IEEE MEMSのポスターセッションの様子


【研究室訪問】

① フロリダ大学

 IEEE Sensors最終日に東京大学教授の鈴木雄二先生とフロリダ大学に訪問した。MISTセンター(Multi-functional Integrated System Technology)の主にRF-MEMS、および低消費電力MEMSセンサを担当されているProf. Yoon氏、およびProf. Nishida氏にMISTの紹介をいただき、クリーンルームを見学させていただいた。クリーンルームの見学では、専任の方(Dr.)に案内をしていただき(図2)、装置管理や教育体制が行き届いている印象を受け、まるで企業のクリーンルームのように感じた。見学後には、Prof. Yoon氏、鈴木先生と近くのステーキハウスで晩ご飯を食べながら楽しい一時を過ごした。(図3)

図2 MISTのクリーンルーム案内の様子 図3Yoon先生、鈴木先生との会食の                          様子

② ジョージア工科大学

・Prof. Ayazi

 ジョージア工科大学では、BAW(Bulk acoustic wave)を用いたジャイロスコープやMEMS振動発電の研究を行っているProf. Ayazi氏の研究室を訪問した。Ayazi氏とは後述するMEMS & Sensors Executive Congress の会場でもお会いし、振動発電、自立型センサ端末に向けた低消費電力のMEMSセンサ等、自立型スマートセンサに向けて多くの議論ができた(図4)。技術研究組合NMEMS技術研究機構での振動発電の取り組みを紹介したところ、エレクトレットの形成手法であるアルカリ熱酸化+高温電圧印加(BT処理)に強い関心を示された。Prof. Ayazi氏のところでは、X-Yの平面で多軸MEMSアクチュエータによる圧電方式の振動発電を研究されており、発電量は少ないものの静電誘導型でも参考となる構造であると感じた。

・Prof. Tentzeris

 また、環境RFから給電するアンビエント・エナジーハーベスタの研究をされているProf. Tentzeris氏の研究室を訪問した。無線等のRF環境がある領域において、エネルギーを取り込み、LEDを発光させるデモを見せていただいた。この発電方式は、RF環境によるところが大きいが、10μW程度までの発電が可能である。課題としては特に周波数が高い場合、電圧出力がとれないとのことである。電圧出力のとれる太陽電池や振動発電等の別のエナジーハーベスタと融合し、ハイブリッドの発電構造とするのが良いだろうとのことであった。 NMEMS技術研究機構で取り組んでいる静電エレクトレット方式の発電とのコラボレーションの話があったが、NEDOテーマであり、すぐに対応できない状況である。まずは、個別企業への技術紹介までとする。図5に実験室でのメンバと一緒に撮影した写真を示す。


 図4 Prof. Ayazi氏と会議室にて 図5 Prof. Tentzens氏と実験室にて

・見学

 両研究室の訪問の間に、Prof. Ayazi氏の研究室の研究員に約1時間ジョージア工科大学のキャンパス&クリーンルームを案内していただいた。ジョージア工科大学のクリーンルームの一部を図6に示すが、とても広く、また装置も新しい設備が多く、大学保有の研究室とは思えない規模であった。読者のみなさまも機会があれば訪問されることをお勧めする。

  図6 ジョージア工科大のクリーンルーム(一部)

③ BSAC

 スマートダストの生みの親である、カリフォルニア大学バークレー校BSACのProf. Kristofer Pister氏の研究室を訪問した。 Pister氏は短パン姿でフランクに迎えてくれた(図7)。まず、最初に当センターでの活動紹介、現在の開発テーマの紹介を行った。振動発電について、ホワイトボードを前にセンサの消費電力低減、低リークキャパシタ等今後の進展を考慮し、リチウムイオン電池2400mAhであれば、センサ端末の寿命が20年以上もつことを式で示された。振動発電をウェアラブル端末等の市場に使うにはまだまだ時間がかかるだろうが、一方で、センサ等の消費電力の大きいアプリケーション、無線頻度が高いアプリケーション、そして、インフラモニタリング等の長寿命のセンサ端末が必要なアプリケーションには、まだまだ振動発電デバイスの必要性があるだとうということであった。
 また、Pister氏から、今後の取り組みとして、1cm□程度のマイクロロボットのポンチ絵を紹介してくれた。CCDとマイクロフォンを内蔵して動く昆虫形であり、6足の昆虫型やドローン構造のマイクロロボットを紹介していただいた。有害な昆虫の撃退やミツバチの代わり等、様々なアプリケーションが考えられるが、軍事用途を考えると恐ろしさを感じた次第である。

        図7 Prof. Pister氏と研究室にて


【MEMS & Sensors Executive Congress】

 本出張のメインイベントとして、MEMS & Sensors Executive Congressに国際交流およびMEMS産業動向調査の一環として参加した。この会議はMEMS & Sensors Industry Group(MSIG)が主催する会議であり、2016年は11月9日~11日にアリゾナ州スコッツデールで開催された。

 筆者は2年前にも参加したがその時には、日本からはオムロンの関口氏と筆者のみの参加であり、日本のMEMSへの関心の低さを感じていたが、今回はSPPテクノロジーズの神永氏、東北大学の田中秀治先生はじめ10人近くの出席者があった。これは、IoT社会に向けた関心の向上と、昨年度からトリリオンセンササミットをMSIGが巻き込んだことによるものではないかと考える。

 会議自体は、11月10日・11日と2日間の開催であり、講演会はMEMSやセンサ、センサ応用に関する講演が続いた。講演者はMEMS企業のトップが登壇することもあり、技術的な講演から、事業的な内容まで多岐にわたる。今回、約200名の人が参加していたが、企業トップや、投資家、研究機関などが主要な参加者であった。この会議の一番の特徴は、休憩時間や昼食では、懇親の時間がたっぷりととられており、このような場でコミュニケーションを通じて、人的ネットワークの構築を高めて、ビジネスや研究に活かしていくきっかけをつくることであることであろう。図8、9に休憩時間の様子やBanquetの様子を示す。 この会議の期間中に、InvenSense社が日本の企業に買収されるかもしれないという噂が聞こえてきたが、企業間の動きはこのような場が一つのきっかけなのかもしれないと感じた次第である。

 今年の会議の内容について、IoT(Internet of Things)への期待はこれまで同様であるが、さらに、今回は自動車関連の話題が多かった。車載用途での高性能ジャイロスコープについて、先に報告したジョージア工科大学のProf. Ayazi氏(ジョージア工科大発ベンチャーの米Qualtré社)から、バイアス不安定性の原因を取り除く独自の技術を報告されていた。また、IHSからもクリーンカー、コネクテッドカ―等の自動車動向、MEMS&センサーの動向、市場予測の報告があった。

 

図8 休憩時間の様子      図9 Banquetの様子


【所 感】

 今回、大学訪問やMEMS & Sensors Executive Congressに参加して多くの方々と会話をした。 一方で、会話する相手の方々も何らかの価値を期待しており、特に、日本の企業・大学とのコラボレーションの機会を探っていることが多かった。 事前に訪問先を国内企業に紹介して、関心のあるメンバと同行して参加する等の活動も今後必要ではないかと思う。なお、詳細は2017年1月30日に当センターで開催する海外出張報告会にて報告する予定である。


 

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