2026年7月 6日 (月)

マイクロマシンセンター各種委員会及びMEMS協議会活動について

 今年はどんよりして湿っぽい梅雨らしい天気が続いておりますが、マイクロマシンセンターでは各種委員会及びMEMS協議会の活動を精力的に実施しております。

 まず、5月13日に、第45回先端技術交流会を開催し、「最新の半導体実装技術とMEMSの融合」をテーマに、産業技術総合研究所 ハイブリッド機能集積研究部門3D集積技術研究グループ 菊地克弥研究グループ長、及び東京大学 生産技術研究所 野村政宏教授にオンラインにてご講演を頂きました。(詳細は、先月号のブログ記事をご覧ください。)

6月29日には、今年度第1回の国際交流委員会(委員長:東京大学 伊藤寿浩教授)をオンラインで開催し、今年度の国際関連イベントの開催状況や、既に開催された第29回国際マイクロマシンサミット2026(英国・サウサンプトン、6月14日-17日)の参加報告がありました。(詳細は、今月の別のブログ記事をご覧ください。)

また、6月25日には、MEMS協議会活動をサポートする産業交流委員会を書面開催し、本協議会の昨年度活動結果と今年度活動計画など、MEMS協議会推進委員会の議題について報告いたしました。

 さらに、7月8日には第1回産業動向調査委員会を、7月24日には第1回MEMS事業者連携委員会を開催する予定としております。
 
 さて、MEMS協議会活動全般をとりまとめるMEMS協議会推進委員会は、7月1日、霞が関官庁街に隣接したAP虎ノ門会議室で開催されました。(写真1)

 まず、岡徹理事長(MEMS協議会会長)(写真2)による主催者挨拶として、MEMS事業者連携委員会において引き続きMEMSの競争力回復に向けた政策提言等に努めることや、MEMSファウンドリ事業が工程受託を中心に事業量を増やし、着実に活動を進めていることなどのお話がありました。

 次に、経済産業省情報産業課デバイス・半導体戦略室長の清水英路様(写真3)から、最新の半導体・デジタル戦略を巡る動きについてのご説明がありました。我が国産業の国際競争力強化と「強い経済」の実現の観点から、国産のフィジカルAIモデルを開発し、ロボット基盤モデルの開発能力を強化するとともに、ロボットOEMの育成やモーター、減速機、センサー、蓄電池等の重要部品の設計・製造能力を強化する施策を講じることで、2040年に米中と並ぶ第三極として世界シェアの3割超、20兆円市場を獲得するというものでした。そのためにMEMS協議会の参加企業とも政策の実現、具体化のため議論して、連携、政策協調されたいとのお話でした。

 経産省からはこのほか産業機械課、ロボット政策室、イノベーション政策課、IEC課、医療・福祉機器産業室から政策紹介が、またNEDO、産総研関連部門からは活動紹介などがおこなわれ、またアカデミアの観点からのご意見に加え、MEMS協議会メンバーからは、本日の説明を聞いて産業の立場からも微力ながら貢献したい、日本成長戦略会議の戦略17分野の中でフィジカルな部分が結構あって日本の強みを生かせるMEMSの領域もあるのでそこで経済合理性を企業としても突き詰めなければならない、といったご意見をいただくことができました。

 最後にご来賓や、MMC賛助会員・アソシエートメンバー等も含め50名を超える参加者で行われたメンバー交流会では、企業や大学の枠を超えた本音の議論が繰り広げられました。本メンバー交流会のようなリアルに顔を合わせて議論を行う機会の重要性・貴重性を改めて実感したところです。(なお、交流会にはMMCの賛助会員様をご招待しています。)


(写真1)2025MEMS協議会推進委員会
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    (写真2)岡理事長   (写真3)清水デバイス・半導体戦略室長

(MEMS協議会事務局 濱田直春)

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2026 第29回「国際マイクロマシンサミット」(イギリス・サウサンプトン) 参加報告

 マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/ナノテクノロジーに関する課題や展望につき意見交換する
場です。日本の提案により1995年3月に京都で開催されたのが始まりで、以後、各国持ち回りで開催されています。第29回マイクロマシンサミット(図1)が、イギリスのサウサンプトンで、2026年6月14日(日)から17日(水)まで開催されましたのでご報告いたします。
 今回は特別のテーマを決めず、半導体 NEMS, 量子コンピューティングや他のマイクロナノに関連する最新技術が発表されました。日本からは東京大学大学院精密工学専攻の伊藤寿浩教授がチーフデリゲイトとなり、マイクロマシンセンター(MMC)の国際交流担当の武田と2名で参加いたしました。今回のジェネラルチェアは、イギリスのサウサンプトン大学のNick Harris教授で、会場はサウサンプトン大学でした。

Mms2026_01図1 第29回マイクロマシンサミット概要

 今回は参加国・地域が例年より少なく、欧州から3カ国1地域(イタリア、ルーマニア、イギリス、イベリア)、北アメリカから1カ国(カナダ)、アジアから1カ国(日本)、オセアニアから1カ国(オーストラリア)の7国・地域から15名のデリゲイトの参加がありました。また、新たな参加国はございませんでした。最も参加者の多かったのはイベリア地域(スペイン)で5名が参加しました。会場の様子及び集合写真を写真1、写真2に示します。

Mms2026_02写真1 会場の様子

Mms2026_03写真2 集合写真

 第1日目はイギリスのチーフデリゲイトのサウサンプトン大学のNick Harris教授の開会の挨拶(写真3)の後、各国の現状を報告するチーフデリゲイトからのカントリーレビューとデリゲイトからの関連するプレゼンの計12件の発表がありました。日本からは伊藤チーフデリゲイトから日本の半導体デジタル戦略、AI/半導体戦略、産総研ハイブリッド集積研究部門、ムーンショットでの畜産センサ及びMEMS関連プロジェクトとして、ハプティックMEMSやスマートテキスタイルの取組み状況等の紹介がなされました(写真4:伊藤チーフデリゲイトのプレゼンの様子)。各国とも半導体、MEMS、フォトニックスと量子技術を一体として予算がついて研究開発を実施していますが、予算は縮小傾向にあることが分かりました。

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写真3  Nick Harris教授の開会の挨拶の様子

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写真4 伊藤チーフデリゲイトによる日本のカントリーレビュー報告の様子

 また、2日目は「Future technologies and evolution」として以下の4つのテーマでそれぞれに関連する5件(計20件)の講演とパネルディスカッションが行われました。
・Session 1: Capabilities and Infrastructure
・Session 2: Advanced Packaging and Integration
・Session 3: Quantum and Photonics
・Session 4: Hardware for the Mind: Innovations in Memristive and Neuromorphic

Session1のパネルディスカッションの様子を写真5に示します。

Mms2026_06写真5 Session1のパネルディスカッションの様子

テクニカルツアーとしては、6月17日(水)にサウサンプトン大学の施設見学を行いました(写真6:テクニカルツーの様子)。

Mms2026_07写真6 テクニカルツアーの様子

  高電圧ラボ、教育施設、PEM(Printed Electronics Material)ラボ及びZeplerクリーンルームを見学しました。Zeplerクリーンルームは当初予算£120Mをかけて建設された1,600m2のクリーンルーム(クラス10~10,000)で、イギリスにおける最大のクリーンルームとのことでした。Siの200mmのプロセスとフォトニックスの150mmのプロセスの一貫生産が可能で、MPW(Multi-project wafer)サービスを実施しています。特長としましては、日本以外では初導入のJEOLの200kVのEB露光装置を有するとともにガラスファイバー製造ラインも保有しています。

 次回のMMS2027は来年の6月に、イタリアにおいて、Institute for Microelectronics and Microsystems, CNR-IMM LecceのDr. Luca Franciosoがオーガナイザーを務め開催することが決まりました。開催場所に関しては、複数都市が候補として挙げられましたが、後日イタリア内部で関係者と調整した上で決めることとなりました。また、今回は特定のテーマを決めず、広く半導体 NEMS, 量子コンピューティングや他のマイクロナノに関連する最新技術としましたが、特定のテーマを決めた方が良いとの意見がチーフデリゲイト会議で出され、今回参加のチーフデリゲイトで構成するステアリング会議を開催し、そこでテーマを決定することになりました。今後もマイクロマシンサミットにおいて、世界各国のMEMS関係機関との国際交流を深め、世界のMEMSの最新動向を入手して、情報発信してまいります。

(MEMS協議会 国際交流担当 武田宗久)

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2026年6月 5日 (金)

国際標準化 IEC/TC47/SC47F 春季会議・MEMS標準化ワークショップ(神戸開催)(2026年5月14日~15日)参加報告

 IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)/SC47E(個別半導体デバイス分野)、SC47F(MEMS分野)の国際標準化WG春季会議が、当センターをホストとして、5月13日~15日に、神戸 三ノ宮の神戸国際会館で開催されました。

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会議が開催された神戸国際会館

 5月13日は、半導体関連技術に関する会議SC47E(DISCRETE SEMICONDUCTOR DEVICES)WG1(SEMICONDUCTOR SENSORS)、WG2(MICROWAVE DEVICES)が開催され、SC47F関係者も参加しました。SC47EとSC47Fは独立したSC(Sub Committee)ではありますが、デバイス、技術それぞれに関連するところも多く、IEC TC47/SC47E/WG1&2会議へのSC47F関係者の参加により、両SCに関連するセンサ技術などについて、WG各国エキスパートとの活発な意見交換がありました。SC47E WG1では、コンビナーのJungchul.Lee氏(韓国)より、昨年11月に開催された東京会議の議事録の報告の後、コンビナーレポートによる最近の状況報告がありました。その後、現在規格開発中の3つのプロジェクト(中国提案2件、米国提案1件)について各プロジェクトリーダーから報告があり、質疑応答を行いました。次にStability datesの確認を行い、2026年が期限の2件のドキュメントについて対応を協議しました。内1件は日本提案の「IEC 60747-14-1:2010 Ed.2.0 Generic specification for sensors」ですが、今秋のハンブルグ会議で判断することされました。他国提案の他の1件も同様です。Future Worksとしては、韓国から2件、中国から2件の提案がありました。
SC47E WG2では、コンビナーの大芝克之 氏より、前回の議事録、コンビナーレポートの報告があり、その後、2件の案件について投票結果の報告がありました。さらに、Stability datesの確認が行われました。期限が2026年のものはないので、基本的に変更は不要ですが、今秋のハンブルグ会議にて再度確認することとしました。Future Worksとしては、中国より「IEC 60747-16-7 ED1 “Attenuators”」と「IEC 60747-16-8 ED1 “Limiters”」の改訂作業を開始する旨の報告があり、承認されました。
 5月14日には、IEC TC47/SC47F/ WG1-3&MT1会議が開催され、37名(日本8名、韓国20名、中国8名、ドイツ1名)が出席し、現在審議中の規格案、新規提案等について議論されました。

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TC47/SC47F/WG1-3&MT1会議の様子

 会議では、SC47F WG3のコンビナーである磯野吉正 氏が議事進行を務められました。日本からの出席者は、神戸大学 磯野吉正 教授のほか、SC47F WG1コンビナーであるマイクロマシンセンター 標準化事業委員会 委員長 古田一吉、SC47F MT1コンビナーである熊本県立技術短期大学校 高島和希 校長、現在のアクティブプロジェクトのプロジェクトリーダーである神戸大学 神野伊策 教授、近畿大学 宍戸信之 准教授、SC47F国際幹事 マイクロマシンセンター 三原孝士、オブザーバー参加の経済産業省 芝﨑聡一郎 氏でした。会議では、まず前回会議の議事録が確認され、続いてIEC SC47F三原孝士 国際幹事から、IEC本部からの連絡事項、及び、セクレタリレポートについて説明されました。
 SC47F WG1では、コンビナーであるS.H.Choa氏(韓国)からWG活動概要と古田一吉がプロジェクトリーダーである「IEC 62047-1:Terms and definitions」の改訂予定について説明されました。また、S.H.Choa氏による改訂作業が無事終了し、「IEC 62047-4 :2026 ED2Semiconductor devices - Micro-electromechanical devices - Part 4: Generic specification for MEMS」として出版されたことが報告されました。
 SC47F WG2では、コンビナーである韓国 Hak Joo Lee氏からWG活動概要について説明されました。日本提案案件のステータスとして、近畿大学の宍戸信之 准教授から「IEC 62047-51:Test method of electrical characteristics under two-directional cyclic bending deformation for flexible micro-electromechanical devices」のCDV(Committee Draft Vote)投票結果、各国からのコメントへの対応について説明し、次の最終ステージFDISに進むことが承認されました。
 SC47F WG3では、コンビナーである神戸大学 磯野吉正 教授が、WG活動概要を説明されました。既に成立している国際規格(IS)のメンテナンスを管理するSC47F MT1では、コンビナーの熊本県立技術短期大学校 高島和希 校長からISのstability dates見直しについて説明され、各国と議論されました。今回は期限のアナウンスであり、今秋のハンブルグ会議で、審議のうえ、当該案件のStability datesの延長が決定されます。
 今後提案予定の規格案を紹介するFuture Worksのセッションにおいては、前々回、前回の会議で紹介された案件を含めて提案予定時期の確認が行われました。中国から3件、韓国から6件の提案がありました。日本は、現在Future Worksに挙げているものはありませんが、次回以降少なくとも2件の提案を挙げていく予定です。

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TC47/SC47F/WG1-3&MT1会議集合写真

 5月15日午前には、MEMS Standardization Workshopが開催されました。WorkshopはSC47F WG3コンビナーである神戸大学 磯野吉正 教授が進行を務められ、日本からは神戸大学 菅野公二 教授、近畿大学 宍戸信之 准教授、ローム㈱ 内貴崇 氏よりご講演をいただきました。いずれも聴講者の関心が高く、活発な質疑応答がなされました。内貴氏の講演では、近い将来、ガスセンサ関連の規格開発に取り組みたい旨表明したところ、早速、韓国から協力の申し出がありました。また、中国、韓国からも講演があり、最新のMEMSに関する研究に関して各国エキスパートの活発な意見交換がありました。
各講演のタイトルと講演者を以下に記載します。
①Dynamic surface-enhanced Raman spectroscopy of DNA enabled by engineered gold nanoparticle dimers
     菅野 公二 教授(神戸大学)
②Electrochemical Sensor for Biomedical Engineering
     Prof. Min Park (Hallym University:韓国)
③MEMS force sensor
     Prof. Wei Zhang (Peking University:中国)
④Reliability monitoring of wire bond interconnects in electronic packaging
     宍戸信之 准教授(近畿大学)
⑤Fabrication and Measurements of BioMEMS based biosensors
     Prof. Oh Seok Kwon (Sung Kyun Kwan University:韓国) 
⑥MEMS Technologies for Intelligent Power Sensing in Smart Grid Applications
     Mr. Guanying Wang (China Electric Power Research Institute, CEPRI:中国)
⑦Technical Requirements for MEMS Gas Sensors for Expanding Hydrogen Gas Sensing Applications
     内貴 崇 氏 (ローム㈱.)


(調査研究・標準部長 古田 一吉  記)

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第45回マイクロナノ先端技術交流会 開催報告(2026年5月13日)

 2026年5月13日(水)15:00 – 17:00に、第45回マイクロナノ先端技術交流会をオンラインにて開催しました。(同交流会は2003年よりほぼ年2回のペースで開催。)

 冒頭に、当センターの長谷川英一専務理事から、MEMSを巡る最近の動きとして、①(MEMS事業者連携委員会などが政策要望をしてきたところ、)「センサー類やMEMS等も含めて、我が国の経済安全保障上、需要な電子部品について、我が国の自律性・不可欠性を高める取組を検討する。」とされたこと。②日本成長戦略の中でも、フィジカル・インテリジェント・システムの中核を担う半導体として「センサーやマイコン等のアナログ・レガシー半導体の重要性も重大。」とされたことなどを報告。また、2025年度産業動向調査報告書「フロンティア領域とMEMS/マイクロナノ技術」の概要として、本報告で選定したフロンティア領域12テーマにおける2040年以降のMEMS/マイクロナノ技術の研究開発の具体例と意義について紹介しました。(本報告書はMMC賛助会員の方はHPから閲覧できます。)

 その後、「最新の半導体実装技術とMEMSの融合」をテーマに、産業技術総合研究所 ハイブリッド機能集積研究部門3D集積技術研究グループ 菊地克弥研究グループ長、及び東京大学 生産技術研究所 野村政宏教授にオンラインにてご講演を頂きました。産業界や大学から計175名の参加申込があり大盛況でした。
 最初の産総研の菊地様からは、「先端半導体集積化の鍵を握る2.5D/3D実装によるチップレット実装技術」についてご講演頂きました。内容は、実装技術の変遷とチップレットの重要性から、主要な技術と研究開発として、シリコン貫通電極(TSV):デバイス形成後にTSVを作る「ビアラスト(Via Last)」プロセス、次に裏面埋設配線(BBM: Backside Buried Metal): 積層に伴い発生するIRドロップ(電圧低下)や同時スイッチングノイズの低減を目的として、チップ裏面の自由なスペースに埋設配線(トレンチ構造)を形成し、電源ライン(VDD)とGNDラインに、TSVを用いて並列接続するプロセス、また、微細接続技術:低温・低荷重のストレスフリー接続、接続バンプの微細化・高密度化を目的として、先端部の強度が低くテーパー構造を持った錐型バンプの形成技術、さらにハイブリッド接合技術:Cu電極とSiO₂絶縁層の界面を有するウェアをW2W(Wafer-to-Wafer)で接合する技術、多層ウェア接合技術、C2W(Chip to Wafer)で接合する技術をご紹介頂きました。

 続いて、東大の野村先生からは、「三次元マイクロ流路を用いた半導体チップ二相冷却技術」についてご講演頂きました。内容は、データセンターの消費電力急増を背景に、半導体チップの高性能化・高密度化に伴う発熱の抑制に対し、従来の空冷や固体冷却では限界に達しつつあるため、それに代わる技術として、単相水冷や液体が気体に変わる際の相変化(潜熱)を利用した二相冷却について紹介頂きました。革新的な単相水冷技術として、チップ背面にMEMS技術で3層構造を形成し、マイクロ流路の狭窄部分でジェット水流を起こすことで、従来の水冷による冷却密度(100W/cm2)より1桁以上高い結果が得られるシステム、野村先生のご研究である二相冷却技術として、潜熱冷却の課題である気泡がマイクロ流路の壁面を覆い、液体が触れなくなるドライアウト現象により冷却効率が低下することを防ぐために、流路の壁面にマイクロピラーを形成し、毛細管現象によって液体を強制的に加熱面に引き込むことでドライアウトを抑制し、最大830W/cm2の熱流束が得られるシステム等についてご紹介頂きました。
今回もご多忙の中、ご講演を頂きましたお二人の先生をはじめ、ご参加を頂きました多くの方々に厚く感謝を申し上げます。

 (産業交流部 逆水登志夫)

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2026年5月11日 (月)

「MEMS Engineer Forum 2026(MEF2026)」出展報告

 4月21日(火)~22日(水)に、ここ数年連続して会場となっている東京両国のKFCホール(写真1)にて開催されました。MMCは、MNOIC(MicroNano Open Innovation Center)事業を紹介するパネル展示を行いましたので、報告いたします(写真2,3)。
 MEFは国内外企業からの出資によりエンジニアを中心に運営され、シンポジウムと併設技術展示会の両輪で、MEMSに関する基礎技術ならびに隣接分野の技術において、エンジニアならではの視点と技量で、新しいカタチを形成し、そして融合させるユニークな国際会議です。今年の参加人数は2日間累計で958名 (別途ライブオンライン197名視聴) と前回MEF2025から3%増加しており過去最大級の参加者数です。また、今回も世界のトップクラスの講演者を揃え、参加者も最前線で活躍するエンジニアが多く、広報活動やマーケティングに効果的な会議で、MMCからも至近距離の会場であることも魅力の一つです。


 オープニング後のセッション” Now & Future of MEMS “では“Smart Materials, Smarter Devices: Piezoelectric Thin Films in MEMS Applications”と題して、National Tsing Hua University,TaiwanのProf. Weiliun Fangから、近年の先進的な製造技術を用いることにより、圧電体薄膜はスマートマテリアルとしてマイクロセンサやアクチュエータを開発する基盤技術となってきており、LiDARやヘッドアップディスプレイ向けのマイクロスキャンニングミラー、マイクロスピーカー向けの音響アクチュエータとして使われているとの発表がありました。

 これ以外の注目講演としては、ICEP Special Sessionとして国内唯一の次世代半導体製造企業ラピダスの野中敏央フェローから” The AI Era and the Transformation of Advanced Packaging Technologies”と題して、ラピダスが主導する次世代チップレット技術として、特に大型パネル基板をベースとしたアセンブリー手法、ファインピッチ配線技術、統合設計と製造の枠組み、信頼性を確保する評価・分析手法が紹介されました。


 またスウェーデンSilex Microsystems AB,CTOのDr. Niklas Svedin氏から” The Next Decade of MEMS Manufacturing and Technology– A View from The World’s Largest Pure-Play MEMS Foundry”と題して、今後10年間にMEMSやセンサーに求められる視点として、AI(Artificial Intelligence)が先進的なセンシングやエッジコンピューティング、マイクロアクチュエイティングを急速に統合している為、MEMSはあたかも人間の知覚データを脳に提供するようにデジタルAIの世界に知覚を与える人工感覚の役割を果たすことになり、その上で先進的で創造的な企業が医療技術や自立システム、拡張現実のような高い影響力のある応用商品で強い成長性をもって先進的MEMS需要をけん引すると紹介されました。


 展示はKFC Hall Foyer(3F)・KFC Hall 2nd (2F) ・KFC Hall Annex の3か所に分かれて開催され、国内外52企業・機関からの出展があり、またスポンサー企業・機関は22社と、こちらも過去最大級と盛況でした。基調講演の前には、ゴールドスポンサー企業のショートプロモーションビデオが放映され、スポンサー企業への配慮も感じられました。
 Web上で情報収集をすることが主流の現代で、この学会の参加者との直接会話ができることは貴重です。本会議は毎年開催されており、次回は(第18回MEF)は2027年4月21日(水)~22日(木)KFCホールでの開催が予定されています。

 

Mef2026_01写真1 会場のKFCホール

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写真2 MEF2025

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写真3 MNOICパネル展示

(MNOIC 鈴木 浩助)

 

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